~現在の僕と神様~
高校二年生の時に死んでから、三年が経った。
確か、今日は成人式。
きっと、妃奈も振り袖を着て成人式に参加するんだろうな。
きっと、綺麗なんだろうな。
きっと、きっと……
僕はあれから三年経っても、まだ暗い海の底に居る。
どうして、あの時の僕はちゃんと確認しなかったのか。
ながらスマホなんて、危険だということを知っているハズなのに。
ずっと自分を責めて、悔やんでいる。
自業自得だからこそ、自分が腹立たしい。
死後の世界は、意外と快適だ。
自由に好き勝手して暮らしている。
誰かにぶつかることもないし、悪口を言ったとしても生きている人間には聴こえていない。
あ、でも霊感のある人には何回かバレたことあるけど。
その時は生きている人が羨ましくて、つい言ってしまったんです。すみません!って謝れば許してくれたり、そっとしといてくれる。
最悪の場合、逃げる。
だって、事実だから。
生きていれば、好きな人に逢える。
触れることだって出来る。
でも現在の僕は、何の進歩もない。
ただ、生きている人に対して妬んで、自分を責めて、また暗い海の底で静かに泣くだけ。
しかし、ある日。
僕は神様に呼ばれた。
何だろう?
何かしたかな?もしかして、生きている人に対して悪口言い過ぎてるから、そのことで怒られるのかな。
どうしよう……と不安な気持ちで神様に会いに行った。
「すみません、失礼します……」
「おぉ、そこに座って」
「あの……僕は何で呼ばれたのでしょうか……」
「柚原 大一よ」
「は、はいっ」
「あなたには、心残りがありますか?」
「心残り……あります!心残り、めちゃくちゃあります!」
「そうですか」
「彼女に……伝えたいことが、あるんです」
「何を伝えたいのですか?」
「それは……」
僕が彼女に対して、言いたい内容を躊躇っていると
「分かりました」
「あの……」
「あなたを生き返らせましょう」
「えぇっ!?本当ですか!?」
「ただし、条件があります」
「条件……」
「一週間以内に逢いたい相手を見つけ出して、伝えたい内容を言い切るのです。くれぐれも、その相手にはこのことを口外しないようにする必要があります」
「もし、一週間以内に見つからない場合や口外してしまった場合は……」
「あなたの存在を全て消し去ります」
「えっ」
「あなたが存在していた記憶も想い出も全て消し去り、元々あなたが存在していない世界を創ります」
「そう……ですか」
「しかし、条件も約束も守れるならば、あなたはこれからも、この世界で生きることが出来るでしょう」
「分かりました、お願いします!」
こうして、僕は神様からチャンスをもらい、明日いよいよ生き返る。