表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕はキミに「さよなら」を告げる  作者: さくら 美羽都
3/29

~現在の僕と神様~



高校二年生の時に死んでから、三年が経った。

確か、今日は成人式。

きっと、妃奈も振り袖を着て成人式に参加するんだろうな。

きっと、綺麗なんだろうな。

きっと、きっと……

僕はあれから三年経っても、まだ暗い海の底に居る。

どうして、あの時の僕はちゃんと確認しなかったのか。

ながらスマホなんて、危険だということを知っているハズなのに。

ずっと自分を責めて、悔やんでいる。

自業自得だからこそ、自分が腹立たしい。


死後の世界は、意外と快適だ。

自由に好き勝手して暮らしている。

誰かにぶつかることもないし、悪口を言ったとしても生きている人間には聴こえていない。

あ、でも霊感のある人には何回かバレたことあるけど。

その時は生きている人が羨ましくて、つい言ってしまったんです。すみません!って謝れば許してくれたり、そっとしといてくれる。

最悪の場合、逃げる。

だって、事実だから。

生きていれば、好きな人に逢える。

触れることだって出来る。

でも現在の僕は、何の進歩もない。

ただ、生きている人に対して妬んで、自分を責めて、また暗い海の底で静かに泣くだけ。


しかし、ある日。

僕は神様に呼ばれた。

何だろう?

何かしたかな?もしかして、生きている人に対して悪口言い過ぎてるから、そのことで怒られるのかな。

どうしよう……と不安な気持ちで神様に会いに行った。

「すみません、失礼します……」

「おぉ、そこに座って」

「あの……僕は(なに)で呼ばれたのでしょうか……」

柚原(ゆずはら) 大一(たいち)よ」

「は、はいっ」

「あなたには、心残りがありますか?」

「心残り……あります!心残り、めちゃくちゃあります!」

「そうですか」

「彼女に……伝えたいことが、あるんです」

「何を伝えたいのですか?」

「それは……」

僕が彼女に対して、言いたい内容を躊躇っていると

「分かりました」

「あの……」

「あなたを生き返らせましょう」

「えぇっ!?本当ですか!?」

「ただし、条件があります」

「条件……」

「一週間以内に逢いたい相手を見つけ出して、伝えたい内容を言い切るのです。くれぐれも、その相手にはこのことを口外しないようにする必要があります」

「もし、一週間以内に見つからない場合や口外してしまった場合は……」

「あなたの存在を全て消し去ります」

「えっ」

「あなたが存在していた記憶も想い出も全て消し去り、元々あなたが存在していない世界を創ります」

「そう……ですか」

「しかし、条件も約束も守れるならば、あなたはこれからも、この世界で生きることが出来るでしょう」

「分かりました、お願いします!」


こうして、僕は神様からチャンスをもらい、明日いよいよ生き返る。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ