~新米守護霊~
3日間の『守護霊の心得について』の座学を受け、ついに僕は守護霊になった。
何だか、学校の入学式のようにドキドキ、ワクワクとした緊張が心地良い。
「では、守護霊としての責務を全うしてくれたまえ」
「「「はいっ!」」」
僕以外にも、守護霊試験を合格した人たちが居た。
平均的な合格者人数は、10人ぐらい。
何千、何万人ものの受験人数に対して合格者が10人……
かなりの狭き門を、僕はやっとの思いで合格出来た。
そして、今日からは“新米”守護霊だ。
「さて、守護霊になりたい人物を捜し、直接その本人と交渉してくれたまえ。そして見事、交渉成立となった暁には守護霊としての活動を認める。もし、交渉が成立しなかった場合は、こちらに戻ってくるように」
その他に守護霊としての注意事項や、おさらいを聞いて、僕は妃奈を捜し始めた。
「まぁ、場所は分かってるから大丈夫だと思うんだけど……」
居ない。
ここにも居ない。
あれ?ここにも居ない……
「どこだ……!?」
想い出の場所を捜し回ったが見つからず……
そりゃそうだ。手紙に書いてあった通り、妃奈はもう大学を卒業している。
小説家、ということは自宅に居るのか。
しかし、妃奈の自宅なんて行ったこともなければ、そんな話を聞いたこともないので、皆目見当もつかない。
困ったな……
何が「場所は分かってるから」だ。
ボケているのか、僕は。しっかりしろ、自分。
晴れて守護霊になれたからって、浮かれている場合じゃない!
どうやって捜そうか。
何か、見つける手がかりは……無いのか!?
一刻も早く、妃奈に逢って守護霊になったことを報告したいのに。
肝心な妃奈は、どこに居て、どこに住んでいるんだ……!?
いろんなところへ飛んで捜しても、なかなか見つからない。
それに、こんな広いエリアを全て捜し回ったとしても、1ヶ月ぐらいはかかるだろうな……
どうしよう。
新米守護霊、前途多難です。




