表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕はキミに「さよなら」を告げる  作者: さくら 美羽都
22/29

さよなら~僕に出来ること~




僕は妃奈(カノジョ)からの手紙を大切に持ち歩いた。

そして、僕はあることを決めた。


「何だって?」

「ですから、妃奈の守護霊になりたいんです!」

「守護霊なんぞ、難関中の難関だぞ」

「それでも、合格するまで挑戦したいんです!」

「ふん……」

神様は考え事をしている。あまり良い顔をしていないので、僕は不安に()られた。

「あの……神様」

「「誰でもいいから守護霊になりたい」なら、まだ合格出来る見込みはある。だが、特定の人物の守護霊になるには狭き門だ」

「あの……そもそも、誰でもいいから守護霊になりたいって人、居るんですか……?」

「あぁ、居るよ。生きている時に後悔したことがあるから、誰かの為に(まも)ってやりたいとか。他にも、誰かの助けになりたいとか色々」

「そうなんですか。へぇ……」

「まぁ、でも大半というか、ほとんどは特定の人間の守護霊になりたいと言って、試験を受けるんだ」

「それで……」

「合格したヤツは、ひとつまみ程度だ」

「ひとつまみ、程度……」

「特定の人間を(まも)る……それは、自分が必要なくなるまでだ」

「もし、その人にとって自分が必要じゃなくなったら……どうなるんですか?」

「その時は、こっちに戻って来るだけだ」

「それだけ……ですか?」

「他には、その護っていた人物が死後の世界に来るまで、下界へ様子を見ることも聴くことも許されない。護る人物によって、護る期間が違う。護る期間が短い人間も居れば、長い人間も居る」

「なるほど……」

「それに、守護霊の試験を受けるのは年に一度だけだ。今年がダメなら、来年まで受けることは出来ない」

「そう、ですか」

「よく考えて決めろ。ちなみに守護霊の試験は残念だが、今年は終わった」

「えっ!?」

「毎年、春ぐらいに行うらしい。日程が決まったら知らせる」

「そうなんですね、分かりました。ありがとうございます」

「あぁ」


それから僕は考えた。

年に一度しかチャンスがない。しかも、難関中の難関……

僕は他の人が守護霊について話していたのを聞いて、居ても立ってもいられずに神様のところへ来てしまった。

まさか、守護霊になるには試験に合格しなければならないなんて……知らなかった。

手紙の中で、妃奈(カノジョ)は元気そうだった。でも、きっと僕を心配させないように書いたようにも見える。

僕が守護霊になれば、妃奈を護ることが出来る。

妃奈のことは僕が───

守る。けれど、守護霊の試験ってどんな感じなんだろうか。

あっ、そういえば神様にどうやって妃奈から手紙を預かったのか、聞くのを忘れてしまった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ