~僕の最期~
まさか、僕の最期がこんなにも呆気ないものだとは、思いもよらなかった。
一瞬、鋭い痛みを感じたけれど僕はすぐに、永遠の眠りについたらしい。
テスト明けの週末、僕はキミとデートの約束をしていた。
そして、僕はデートが楽しみ過ぎて浮かれていて眠れず当日、寝坊してしまった。
時計を見て、僕は大慌てで用意をして家を出た。
「寝坊した。少し遅れると思う、本当にごめん!」とキミにメッセージを送信しながら走っていると───
これは、完全に自分が悪かった。
自業自得だ。
信号のない道を確認せず、そのまま走っていたから向こうから走って来ていたワゴン車に気付かず、そのままぶつかった。
ぶつかった反動で、曲がっている最中のトラックにもぶつかった。
そして僕は救急車に運ばれ、手術室へ。
僕の意識は、その時には無かった。
AEDをしても、手術をしても僕は助からなかった。
だから、今こうして幽霊としてここに居る。
母さん、父さん、美桜、そして───
妃奈。
みんな、泣いていた。
突然、僕がこの世を去ったのだ。
僕の不注意で、息が長らえることなく絶えてしまった。
最初は家族も彼女も、頭の整理が追っ付いてなかった。
それは僕も同じで、今もそうだ。
僕は僕自身、ちゃんと理解出来ていないし、納得もしていない。
僕が、もうこの世に居ないということを。
今でも信じていない。
そう思わないと、正気ではいられなかった。
それぐらい、今の僕は現実を受け入れられなかった。
だって、今から妃奈とデートするんだ。
妃奈が観たがっている流行りの恋愛映画を観て、近くのカフェで遅めのランチとスイーツを食べて、手を繋ぎながらその辺をどこかぶらぶらして……
ねぇ、妃奈。
キミは笑顔が似合う、素敵で可愛い僕の彼女だ。
泣き顔なんて、似合わないよ。
お願いだから、泣かないで。
僕はここに居るよ!
ちゃんと……ここに居るんだよ。
幽霊として、だけど。