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僕はキミに「さよなら」を告げる  作者: さくら 美羽都
19/29

さよなら ~僕はキミに~




時刻は19時30分。

僕は、いたたまれなくなり店員さんに手紙を託して、僕はカフェを出た。

もう、諦めよう。

もう充分、待ったよ僕は。

カフェを出て、神様と約束の神社へ行こうと歩き出した時 ──

「た……大一!」

「えっ……」そこには僕の大好きな、待ち焦がれていた妃奈(キミ)が、居た。

「ずっと……待っててくれてたんだね」

「えっ……と、どうして……」

「本当は行くつもりなかったの。だって、行ったら大一が今日、消えちゃうのを肯定してしまうから……」

「いや、妃奈が」

「だからね」

「うん……」

「行かなきゃ、伝えたいことが伝えられないんだから消えないと思ったの」

「むちゃくちゃだ……」

「本当にそうなら、逢わなかったよ。本当に」

「流石に、それは困るかな……」

「でしょう……?大一が嘘をついてるとは思えないし、それに最後の最後まで逢わないのは……絶対、後悔すると思って」

「それで、来てくれたの……?」

「だって逢えないままで、お別れなんて……絶対に嫌だもん……」

「妃奈……優しいね」

「そ、そんなこと無いし!ふ、普通だし」

「ははは。そんなところも好きだよ」

「なっ!?」

僕はあまりの嬉しさに、外だということも忘れて妃奈を抱き締めた。

「ちょっ!?ここ外だから!人、居るからっ!」

「ごめん。もうちょっとだけ」

まさかの最後の最後に、大好きな人に逢えるなんて思ってもみなかった。

きっと逢えないまま、僕は消え去るんだとばかり思っていたから。


僕は妃奈と、神様と約束していた神社に向かっていた。

「さっきのカフェで、僕の手紙を受け取ってね」

「えっ、大一が手紙!?」

「大袈裟だなぁ」

「え、だって今まで、大一から手紙なんてもらったことないじゃん!」

「まぁ……そうだね」

僕が妃奈(キミ)に遺せるのは、きっと手紙しかないと思うんだ。

お世辞にも綺麗とは言えないけれど、一生懸命に心を込めて書いたんだ。

妃奈(キミ)の為に。

「ふふふ、楽しみだなー」

「まぁ、そんな良いもんじゃないと思うよ」

「えっ!?そうなの~!?」

良いことぐらい、書いといてよ!と言われたけれど、そんなに悪いもんでもないと思う。

可もなく不可もなく、ってところだろう。

“伝えられなかったこと”も手紙に書いてある、と伝えた。

「うん、分かった」とだけ妃奈に言われて、僕たちは無言で歩いて行った。

もうすぐで、神社に着く。

「僕は、もう死後の世界で生きていくから……妃奈のことを見るのは、今日で……さよならだ」

「えっ……どういうこと……?」

「全部、手紙に書いてるから」

「手紙じゃなくて、口で説明してよ!」と言われたけれど、神様から「もう時間だ」と言われた。

「もう時間だから……行くね。最後に逢えて良かった。僕は、妃奈のことが大好きだったよ。手紙に伝えられなかったことも書いたし、もう思い残すことはないよ。本当にありがとう!そして……“さよなら”」

「嫌だ!“さよなら”なんて言わないでよ!思い残すことは無いって……あっ」

妃奈は、まだまだ僕に話したかったみたいだけど、僕は神様によって消えた。

涙の妃奈(キミ)を一人、置いて僕は再び死後の世界へと、戻って来た ───






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