「君は神様からのおくりもの」
冬の童話祭2020用の短編です。
なんとなく書いてみたくなったので書きました。
その、よくある童話と言うか、昔話と言うか、絵本と言うか、って感じです。
どうぞお楽しみできるのか?これ?
まあ、読んでみてください。できればお子さんを寝かしつけるネタ帳の一ページに刻んでいただけたりすると(チラ)うれしいんですが(チラ)
ある寒い冬の日。それは古い、貧乏な村にアリスと言う少女が幸せに住んでいました。
少女がある日、村を散歩していると、道にそれはそれは可愛らしい女の子の人形が落ちていました。友達が居なかったアリスはその人形を家に持ち帰ると、汚れを落とし、ほつれを直し、大事に遊んでいました。
アリスはお父さんとお母さんが居なかったので、人形という友達が出来て、寂しくなくなったと喜んでいました。
しかし、ある日、アリスが人形と遊んでいると、村の大人がアリスの家にやってきました。
「アリスちゃん、これぐらいの小さな人形を見なかったかい?」
大人の人が手で作った大きさは、アリスの人形と同じくらいの大きさでした。
アリスは迷いました。お母さんは居なくなる時、嘘だけは吐いてはいけないよと言われていたからです。
お母さんの言う事は守らなければいけない。けど、大人が言っている人形とはアリスが大事に大事にしている人形のこと。
正直に言ってしまえば、人形を持って行かれてしまう。
「ううん、私は知らないよ」
アリスは、人形を手放したくないがために、嘘を吐いてしまいました。大人が居なくなった家でアリスはどこかに居るお母さんに謝り続けていました。
「ごめんなさい。ごめんなさい……。私、嘘を吐いてしまいました。ごめんなさい……。」
嘘を吐いてしまったことに後悔したアリスは人形を持って、家を飛び出します。
靴を履くことすら忘れて村を走り回りました。そんなに大きくない村でしたが、まだ小さいアリスにとっては大きく、村を回るだけでも一苦労です。
しかも、裸足で出て来てしまったので、足がとても冷たくなって、村を半分回る頃には足が動かなくなってしまったアリスは、とうとう泣き出してしまいます。
するとその時、人形から声が聞こえてきました。
「アリスちゃん、あなたは嘘を吐いてしまったけれど、それを後悔してあの大人を探そうとしたわ。だからね、私をここに置いてお家におかえり。もう十分頑張ったわ」
アリスは人形の優しい言葉に頷いて、人形を置いて、家に帰ってしまいました。
家に帰って、冷たくなった足を温めていたアリスですが、どうしても人形が気になります。
人形の様子を見に行こうと立ち上がった時です。
コンコン、とドアを叩く音が聞こえました。
「誰だろう」
アリスがドアを開けるとそこには人形を探していた大人が居ました。
「アリスちゃん、さっきね、教会で神様があの人形はアリスちゃんにあげなさいって言っていたんだ」
そう言って手に持っている人形をアリスに渡した。
「それはね、神様から君へのおくりものなんだって」
そこでアリスは全てを打ち明けました。人形を拾ったこと、嘘を吐いてしまったこと、村に人形を置いて帰ってきてしまったこと。
「アリスちゃん、嘘を吐く事はいけない事だけど、そうやって素直に言って心から謝ればみんな許してくれるんだよ」
アリスの目には涙が浮かんでいました。渡された人形を抱き締めると、少し暖かさが残って居ました。その暖かさを腕に感じ、神様にありがとうと言って笑いました。
それからアリスは、相変わらずご飯は少ないし、部屋も狭くなったし、ベットも硬いけれど、それでもアリスはその人形と一緒に幸せに暮らしましたとさ。
一応ですが、最後アリスは牢獄に居ます。人形の声は幻聴で、最後抱き締めるのも幻覚です。
罪状は窃盗罪、貧しい村では人形を一つ盗むだけで重罪と言うことですね。
白雪姫の原作みたいな感じで、あそこまで露骨ではないけど。まあ、因果応報です。
これは幼児に嘘はいけないことを教える為と、そんな大層なものではないですが、それに近い感じで書きました。そも、嘘は吐いちゃいけないものじゃなくてバレちゃいけないものですし。・・・・・今のは忘れてください。私は子供が居ないので何とも言えませんが、子供を寝かしつける時やなどのネタとして使うなりしてもいいと思います。純粋な皆様の子供です。きっと、嘘を吐いたら謝ろうとか、嘘は吐いちゃいけないとか感じてくれるはずです。多分きっと恐らく(曖昧)
ただまあ、これにより良い影響が生まれることを祈っています。