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レッツプレイ!リズムゲーム  作者: 桜崎あかり
第3章

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52/60

第52話


 今回のマッチングは一曲目でマッチングした訳ではない。蒼風あおかぜハルトはレーヴァテインとマッチングしたのは一曲目だが。

他のプレイヤーのマッチングが霞むほどには盛り上がる一方で――ここだけ盛りあがることには何か裏があると考えるプレイヤーもいるだろう。

【この対決、どうなるだろうな】

【勝つのはハルトだと思う。ランクⅩは不在だが――】

【彼が一番ランクⅩに近いのだったな】

【どうなるだろう? この勝負が終わってからのネットの反応が心配だ】

【そこを心配するのか? 炎上を意図的に行うのはアンチ勢力だけだ。それと芸能事務所系まとめサイトとか――】

【結局、そこを心配するというパターンは過去の事例を学んでいないことにもなるだろう】

 ネット上のつぶやき等では、マッチング結果がどうであれ――炎上する心配をしている様子だった。

実際、その他の掲示板でもこの件に関しての書き込みだけが過熱している傾向で、誰かが火に油を注いでいるとも考えられている。

(これだけの事をしておいて、奴は――動かないつもりか?)

 ジャック・ザ・リッパーは四月一日前に暴露を行ったユニコーン、別方向からリズムドライバーへ参戦したファフニール――そうしたメンバーに対し、不満を持っていた。

せめて、自分なりの決着を付けるべきだ――と。ジャックの場合は別のなりすましや炎上サイト等を釣り出せた段階で、目的は達成できている。

そのフィールドにリズムドライバーを使ったのは別の意味でも悪い事をしたという罪悪感もあるのだが――。



 このマッチングではお互いに楽曲は違う物を選んでいる。楽曲が違っても、マッチングが成立するのはリズムドライバーに限った話ではない。

そして、レーヴァテインの選んだのは――周囲のギャラリーには気付かないような楽曲だった。

《ギャラクシー》

 黄色のハイパー譜面、レベル十一。曲調は銀河を連想させる壮大なクラシックアレンジであるのだが、何の曲をアレンジしたのかは明らかにされていない。

厳密にはアレンジした元曲は発表済みだが、何処でどの曲を使っているのかは――特定された訳ではないのだ。

ある意味でもクラシックメドレーをアレンジしたとも言えなくない曲構成だが、それで炎上するなんて――あり得ないだろう。

曲名が出ても、反応出来たギャラリーは少ないので――選曲ランキングとしては低い位置の曲と言う可能性がありそうだ。

【あの譜面構成でも、表情を変化させずにクリアできるのか】

【何てメンタルの持ち主なのか――】

【表情を変化させているプレイヤーの方が、逆に集中力がないのでは――と疑われるのがリズムゲームだ。格闘ゲーム程に熱くなるような機種もあるが――】

「一体、あのプレイヤーはどのような思いでプレイしているのか?」

「これがリズムゲーマーと言う事か――」

「レーヴァテインは過去にプロゲーマーだった説もあるらしい。つまり、そう言う事では?」

 つぶやきでも直接視聴しているプレイヤーも、レーヴァテインのプレイスタイルに関しては驚く個所があったようである。

ARメットを被っているのかも分かりづらい状態で――黙々とプレイする様子も驚きだったのかもしれないが。

 一方でハルトが選んだのはアナザーのレベル十一であり、アナザーでは最初からレベル十一と言う譜面は指折り数える程度しか存在しない。

途中で調整が入ってレベル十二が十一へ降格、レベル十譜面が十一に昇格するケースだってある。それでも譜面レベルが詐称と言われるケースもあるのだが。

単純に数が少ないと調べもせずに判断すると、痛い目を見るだろう。この曲のレベル十一も昇格組だ。

【あの配置――ブレードだと、どうしても無理があるのでは?】

【三重の壁があるようなノーツ配置か?】

【そう言った配置に見えるような物もあるという事だ。レベル十当時は十一相当とまで言われていた程だからな】

【あれで十一? 特定パートだけで難易度を上げたというのであれば、調整不足だろう】

【確かに。全体を見て、難しいのであれば――変える必要性は出てくる。回復ばかりで歯ごたえないとか――そう言った部分は別の話だ】

 レーヴァテインの譜面では難易度に関しての話題は出てこなかったが、ハルトに関してはプレイしている譜面の関係もあって譜面の話ばかりである。

元々の難易度もあってか、調整不足や楽勝と言うコメントまで目立ち始めているが――エアプレイで楽勝とか言っているユーザーもいる為、単純にタイムラインを荒らしたいだけの可能性もありそうだ。



 ハルトのプレイが注目を浴び始めたのは、彼が後半パートに突入してからである。

前半パートでも目で動きを追えているプレイヤーは少ないのだが――。

「あの配置は――?」

「壁が迫ってくるような配置だったか? 違う配置と記憶しているが」

「ソレは違う曲だろう。この曲じゃない。タイトルが似ているから間違えられそうだが」

 周囲のギャラリーにも驚きの声が出始めている。どうやら、周囲は別の楽曲と間違って認識していた――覚え違いだったのである。

彼の剣さばきは目視不可能なような早業でもなければ、忍者や侍の領域ではない。あくまでも、ハルトの動きはリズムゲームにおける動きでしかないのだ。

間違ってもデスゲーム等のノリでもない――周囲で理解しているようなプレイヤーもいるが、炎上させようというギャラリーは基本的に未プレイ勢力である事が多い。

(これはリズムゲームだ――今まで身に付けた技術は使えなくても、新しく覚える技術として――)

 ハルトは初見だった動画の印象やネット上でのまとめサイト等で得た認識を――変えなくてはいけないと感じていた。

実際にプレイしてみなければ、この感じは味わえないのは事実だろう。エアプレイでは見えてこない様な世界が、そこにはある。

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