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レッツプレイ!リズムゲーム  作者: 桜崎あかり
第3章

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51/60

第51話


 午後一時になると、様々なARゲームエリアでギャラリーが増え始めていく。その理由は様々だが――。

一番のメインは、リズムドライバーだったのは言うまでもないだろう。実際、インカムもリズムドライバーが他のARゲームよりも若干上というデータもその証拠か。

「あれがリズムゲームなのか?」

「信じられない――あれほどのゲームがピックアップされていなかったとは」

「敢えてピックアップを避けていたという気配もする」

「どうしてだ? 注目された方が売れるのでは?」

「売れ過ぎる事が問題――と考えているのだろう」

「売れ過ぎる? 税金問題とか?」

「そう言った問題で売れ過ぎると考えるのは――もっと違う分野だろう」

「注目されれば、それだけ様々な場所で注目を浴びるのを意味している。つまり――そう言う事だ」

 様々な意見はあるのだが、リズムドライバーが本当に今まで宣伝活動をしなかったのは理由があるのでは――と考えている人物もいる。

それはお金的な物とは違う何かが関係しているのではないか――そう感じている人物が多い。

『全ては――そう言う事なのだろうな。今の今までで宣伝すら行わなかったのは』

 入場口付近のセンターモニターでライブ配信を見ていたのは、ジャック・ザ・リッパーである。

ARアーマーを装着し、素顔を隠すのは――相変わらずだが。

ジャックが見ていたライブ配信は、他のギャラリーもチェックしているが――有名プレイヤーの物ではない。

単純にライブだったのでチェックしただけと言うのもかもしれないが、本当は何の狙いがあったのか?



 同時刻、レーヴァテインとマッチングをしていた人物は――何と蒼風あおかぜハルトだった。

過去にハルトとレーヴァテインはマッチング歴があるのだが、その時はハルトの圧勝である。しかし、後にこのプレイヤーはなりすましと判明した。

なりすましとマッチングした回数は多いハルトも、本物とマッチングするのは初めて――。

(ここ最近は、他のゲームもプレイしていたが――)

 ハルトは気分転換に別のゲームへ手を出す事もある。それは、特定のゲームばかりに執着するのもストレスをためる可能性があったためだ。

自分でも引き際は分かっているつもりなのだが――リズムドライバーだけは、何故か例外とも言えるほどにプレイをしている。

他のARゲームと違う機種をプレイしていたのは、リズムドライバーのプレイ感覚を一時的にリセットして仕切り直すという事もあるだろう。

詰め込み過ぎても駄目だし、逆に追い詰められるようなプレイスタイルも何かが違う――と言う事で、リズムドライバーと若干離れたプレイを考える。

結局、それに関しては上手くリフレッシュできていないので失敗かもしれない。しかし、プレイスタイルは人それぞれなのでネット上のプレイスタイルが自分に当てはまるとは限らない事情もある。

(まさか――このタイミングで遭遇するとは)

 レーヴァテインのいる場所は、何時ものエリアであって、ここではない。距離としては数百メートルなので――このプレイが終わってから向かえばリアル遭遇もあり得るだろう。

しかし、直接会ったとしても――何を聞くべきなのか、そこで戸惑うかもしれない。

「蒼風ハルト――」

 一方で、三番台のプレイでハルトとマッチングしたレーヴァテインは逆に都合がよいと考える。

ネット上で彼は有名プレイヤーの一角なのは間違いないだろう。しかし、レーヴァテインは若干の疑問を彼に持っている。

彼のリズムゲームに対する考え方は、ある意味でも本物と言えるだろう。その一方で、ネット上では彼の姿勢に批判的な勢力が中傷を繰り返している現状があった。

だったら、本気で彼に勝って見せろ――レーヴァテインは、遠くから叫ぶだけの連中にそう言いたかったのである。

しかし、自分がそれを言ってしまうと、別のまとめサイト勢力等が炎上に利用するのは目に見えていた。有名になり過ぎるというのは、そう言う事なのだろう。

(なりすましが現れるというのは――そう言う事なのか)

 過去に自分のなりすましが出現し、オケアノスに入るという段階で門前払いされる事もあった。現在は、それも解除されているが――。

そう言った事情もあって、自分から迂闊に誰かと接触するのはまとめサイト等にネタを与える事に――と言うのは考え過ぎかもしれないが、そう思わざるを得ない事情もある。

(仮に本物――だとしたら)

 ハルトはランクの方を確認する。ランクⅧ表記にはなりすまし疑惑があるように思えるが、マッチング履歴を確認すると――。

(スノードロップやアガートラームともマッチングを?)

 まさかの有名プレイヤーとのマッチング履歴がチェック出来るとは――と言う意味でも、驚きを感じていた。

勝ち負けの結果はどうでもいい。有名プレイヤーとマッチングし、マッチングを放棄せずにプレイした事は――ハルトにとっても、貴重なデータなのは間違いないだろう。

「彼とは――別のゲームで出会いたかった様な気もする」

 ハルトは一度だけブレードを素振りして感覚を確認するが――既に選曲は終わっている。

譜面レベルは十一、レーヴァテインも譜面レベル十一で横並びだ。しかし、お互いに選んでいる楽曲は違う。

しかも、同じレベル十一でも――片方は黄色でハイパーと書かれており、もう片方は赤でアナザーと書かれている。

同じ譜面レベルでも難易度の違いで配置等が難しくなっていることを意味しているのだが――その違いを分かっているのは、リズムゲーマー位だろう。

(試させてもらう――貴様の実力を!)

 レーヴァテインは赤いビーム刃のブレードを構え始めている。自分のタイミングで始めようという事か?

「レーヴァテイン――本当に噂の人物なのか」

 ハルトはマッチングしたプレイヤーは本当にレーヴァテインなのか、まだ自信を持てない状況にあった。

マッチングデータは改ざんされたような形跡もないというのに――わずかだが腕が震え始めている。


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