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レッツプレイ!リズムゲーム  作者: 桜崎あかり
第3章

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48/60

第48話


 四月一日、この日はエイプリルフールである。ネット上では様々なニュースが流れているが、それらがネタなのでは――と考えるユーザーが多い。

ある意味でもSNSで混乱が多いであろう一日なのは間違いない――と言える。

【どれがフェイクなのか――まとめサイトでも困惑している部分があるようだ】

【どうして?】

【芸能事務所絡みとか政治家絡みでもフェイクニュースが出回っているらしい。それを間違って放送するニュース番組が出たら――】

【しかし、いくつかのまとめサイトでは誤報を拡散して炎上している話だ】

【一体、何が起こっているのか?】

【この事態は――何処かで見覚えがある】

【何処で? 同人漫画とか同人ゲームとか言い出すなよ】

【フィクションの世界であれば、WEB小説サイトを探せばあるだろう。もっと違う場所だ――】

【確か、そのサイトは――】

 ネット上では、案の定とも言うべき状態になっていた。ある意味でレーヴァテインが想定していたであろうSNSテロに近い混乱が起きているのかもしれない。

こうした混乱に便乗し、悪質な手段で宣伝を繰り返して大炎上をしたのが――あのプロジェクトを悪用しようとした芸能事務所である。

しかし、該当するサイトや芸能事務所の名称等をサイトで書きこむ事は出来ても表示は出来ない。草加市ではこの芸能事務所の名前自体がNGワードと化していた。

ジャパニーズマフィアと同格まではいかないが、そこまでの立ち位置になってしまったのは――間違いなく『リアルゲームプロジェクト』絡みだろう。

そうでなければ、ここまでの排除思考にはならないはずだ。あのプロジェクトで芸能事務所がやろうとしていたのは、明らかにIP乗っ取りその物だったからである。

【あの乗っ取りがなければ、芸能事務所の印象も変わったはずだが――】

【大手事務所を追い抜こうという考えは悪くない。しかし、やり方はまずかった】

【あれではネット炎上禁止法案をデスゲーム禁止法案と同じノリで作られても文句は言えない】

【目的のためならば手段を選ばない――そう言った企業が増えれば、コンテンツ業界が壊滅するのは目に見えている】

【特定芸能事務所二社で全てが独占された世界――WEB小説の主流になっているネタだな】

【やはり、そう言った勢力を壊滅させていくような小説が人気の出る作品と言う事か?】

【それは違う――俺TUEEEな芸能事務所がリアルで存在する事自体が――】

 何処までが真実で、何処までがフェイクなのか――見分けがつかなくなっている閲覧者もいる為か、書かれている事を鵜呑みにして拡散するケースが増加していた。

こうした状況を――何としても変えるべきと考えている人物こそがレーヴァテインなのだが、それ以外の人物も様々な手段で変えようとしている。

その事例の一人が、先日に様々な暴露発言とも言えるような放送を行ったユニコーンだろう。



 数日前、夕立ゆうだちはユニコーンと接触をしていたのである。しかし、最初は彼女のリアルを知らないので外見に驚いた様子だったが。

「これで、証明してもらえるか?」

 ユニコーンが身分証明として見せたのは――バーチャルゲーマーユニコーンの動画サイトトップにある初期ユニコーンアバターだ。

「確かに。その画像は、一部しか知らない画像だから証明にはなるだろうけど―ーコピーされる可能性があるから」

「画像流出などはSNSでは十八番だからな――」

 ユニコーンも少し困惑を見せるが、それ以上に証明できるような物がないのも事実。

それに加えて、ここであのユニコーンを見せるのも――周囲を混乱させかねないだろう。

しかし、あれを超えるような証明がないのも事実。どうするか悩む部分ではある。

「それを踏まえて、更に別な証拠を第二パスワード代わりとして見せてほしいわ」

 彼女が疑うのは当然のことだろう。ユニコーンと言う同名プレイヤーも複数人存在し、更にはゲーム等でもユニコーンの名前を持つキャラクターもいる。

それらを踏まえて本物と証明して見せろ――と言う夕立の方も疑り深いという状態かもしれないが。

(彼女の言う事も分かるが、これ以上――何を証明しろと?)

 若干悩みつつも、ユニコーンは自分の座っているテーブルの目の前に置かれたメニューを眺める。

単純に眺めているだけだが、ここで飲食もできることには驚いていた。フードコートと言う割には、様々なジャンルもあるのだが――。

飲み物、食べ物、ご当地もの――様々な物が文字で書かれているが物自体の写真がない。

「それらのメニューは、こうすれば――映像を見る事が出来るわよ」

 夕立がARガジェットを商品名の書かれている隣にあった特殊なバーコードを読み取ることで、ARガジェットの画面にはアイスコーヒーが表示された。

商品名だけが数百も載っている割に、画像だけがないのは――こう言うためらしい。中には、テーブルに置かれているコードを読み取ってメニューをダウンロードするような仕組みもある。

こうした技術の発展は驚くばかりだが、従来のメニューと同じと認識してこのメニューを見ると違和感を覚えるのは間違いない。

(じゃあ、これで――)

 画像を見ることなく、ユニコーンはあるメニューを注文する事にした。注文もARガジェットを利用する物なので、自前のガジェットで注文をするしかない。

その理由として、ガジェット内の電子マネーで支払いを行う為――らしいのだが。ちなみに、このフードコートでは食券も販売されているので、そこから注文をする事も可能のようだ。



 二分としない内に運ばれて生きたのは、空のタンブラーである。それは夕立の使用している物と同じであるので、おそらくは――。

「ドリンクバーです。それと、注文の品は――少し時間がかかりますので、もう少しお待ちください」

 ユニコーンもドリンクバーを注文したようだ。それに加えて、何かを注文したのも分かったが――何を注文したのかは夕立も分からない。

タンブラーを持ってユニコーンが向かったのは、ドリンクバーの機械が置かれたコーナーである。そこには、ジュースやコーラ、サイダーといったファミレスで見かける部類以外にも――。

「これにしようかな――」

 ホットコーヒー、緑茶、紅茶、ウーロン茶と言った物、更には抹茶の様なあまり見かけない部類もある。

しかし、ユニコーンが選んだのは――更にマニアックな飲み物だった。

「それを持ってこられた以上、信用するわ」

 夕立もユニコーンが持ってきた飲み物を見て、さすがに信用するしかないだろうと判断した。

なりすましアカウントでは、まず分からないであろう飲み物を彼女は一杯目に持ってきたのである。

「そう言ってくれると助かる」

 満面の笑みでユニコーンが持ってきた飲み物、それは――炭酸水と呼ばれる物であるのだが、一見してもコーラ等との違いが分からない。

しかし、ユニコーンが選んだのは炭酸の泡では見分けがつかないのだが――強炭酸と呼ばれるカテゴリーの炭酸飲料で、レモン果汁をプラスした物だ。

「アルコールが注文できない事に対してか? その注文は」

「違うぞ。私は元々アルコールが苦手だ。シャンパン以外は――基本的に飲めない」

 夕立の一言に対し、ユニコーンの方はひきつっているような顔で回答した。オケアノスではアルコール類を出す事は全面禁止されている。

ソレに対して何か言いたいのか――と夕立は考えていたが、それは杞憂らしい。


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