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レッツプレイ!リズムゲーム  作者: 桜崎あかり
第2章

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40/60

第40話


 オケアノス運営の重大発表、それは様々な憶測を呼ぶ。ネット上では、これが一種の世論誘導という批判もあった。

草加市の方も今回の重大発表を重く見ているようだが、特に公式ホームページ等で言及がない。緊急発表があった話題と言えば、特殊詐欺の被害増加に関して――だった。

『リアルゲームプロジェクトと言う計画は聞いた事があるだろう。聖地巡礼に似たような物を草加市がシステム化しようとして――失敗したがな。芸能事務所の暴走で!』

 しかし、草加市が過去に行おうとしていた『リアルゲームプロジェクト』の正体をユニコーンと名乗るバーチャルゲーマーが暴いたことで――状況は一変する。

そのリアルゲームプロジェクトとは――本来であれば、聖地巡礼とは全く違う要素を持った計画だったという。それが外部に流出し、ネット上で拡散していたフェイクニュースと融合した事で――都市伝説と化した。

(リアルゲームプロジェクト――名前だけを見ると、WEB小説であるようなリアル空間でゲームを行うイベントにも見える――)

 オケアノス内のコンビニにあるイートインスペース、そこでまとめサイトを見ている一人のプレイヤーがいる。

彼女の手元には若干大きめのタブレット端末があり、そこで様々な情報を収集しているように見えた。しかし、本来であれば使用しているタブレット端末はネットに接続できないはず。

それもそのはずであり――このエリアは特定電波をシャットアウトしているエリアに該当している。

(オケアノス運営さえも知らない事実を知っている者が一握りでもいるとしたら――)

 オケアノス運営、リズムドライバー運営さえも知らない事実をユニコーンは知っているかのように語っていた。

あの時に表示された映像の数々には、明らかにネット上のニュースだけでは分からないような地名や場所、小ネタの部類と言った物まである。

間違いなく、ユニコーンが何かを語りたいかの様な――。しかし、彼女自身はあそこまで言及しても自分から尻尾を出す事はしないだろう。

それこそ、スノードロップみたいに神格化されるのを恐れている可能性が高い。それに加えて――。

「ネット上ではデスゲームを広めるなという批判も多い。それ程に――この話題をネタと割り切る勢力が多すぎて――」

 アイオワは何時もの下乳が目立つようなシャツを着ている一方で、ためいきをつきながら様々な記事をチェックしていた。

しかし、思った以上に情報が少ない。ユニコーンが尻尾を出さないと考えたのは、この為だろう。

「どちらにしても、今回の件でリズムドライバーの人気が下降する事はないだろう。逆に――」

 SNS上で別の人気ジャンルを盛り上げる為に別コンテンツを炎上させたり風評被害を拡散するケースは、過去にも何度かあり――それに対する規制の声もあった。

しかし、今回の件は明らかにソレとは違う空気があったのは事実であり、興味を持って情報を集めているまとめサイトも存在はしない。誰も見ないような話題には触れないという事なのだろう。

「今回の件に興味を持ってリズムドライバーのプレイを考えるプレイヤーが出るのも――」

 逆に考えていたのが、今回の件でリズムドライバーのタイトルを知り、そこからゲームを始めようというプレイヤーだ。

こうしたプレイヤーは、夢小説における人気ジャンルを渡り歩くような勢力もいる為か――ARゲームサイドでも歓迎されない勢力である。

他にも様々な懸念はあるかもしれないが、無駄に警戒しても自分の首を絞めかねないだろう。現状の様子を見るしか方法はない――とアイオワも迂闊に手が出せないでいた。



 三月二八日午後一時、ネット上が炎上するような展開がなく――逆に静かすぎると考えるプレイヤーもいた。

【リズムドライバーの一件、どう思う?】

【一種の自作自演と言う可能性もあるが、微妙な所で引っかかる】

【あのメーカーとオケアノス運営、手を組んでいるのでは?】

【それを言い出したら、ARゲームのメーカー全部がオケアノス運営と組んでいる事になるだろう】

【しかし、あの時のリアルゲームプロジェクトと言うキーワードを見て、ふと思った――】

【聖地巡礼プロジェクトの事か?】

【実際は違っていた。その正体は、リズムゲームで世界征服をしようと考えていた物らしい】

【それこそまとめサイトの思う粒じゃないのか? そんな事で草加市が動くとでも――】

【確かに草加市がその内容を知ったら協力はしないだろう。しかし、それを伏せていたら――】

【それこそありえない。WEB小説のネタと本来のニュースが混ざっているのでは?】

【自分だってそう思った。都市伝説の類だと――】

【都市伝説でも、草加市を舞台にした者ならば複数ある。それこそ違うオケアノスが舞台だったり、別ジャンルのARゲームが――】

【そうしたフィクションとノンフィクション要素を融合させた結果が、おそらくはリアルゲームプロジェクトを悪用しようとした芸能事務所の事例だろうな】

【草加市ではSNS炎上を禁止する条例が提出されかけたのも――その時期か】

【結局は繰り返すのだな。都市伝説を――まるで、それこそテレビの特撮シリーズの如く】

 ネット上のつぶやきを確認していたのは――赤いコートを着用していた男性。彼の素顔は――フードを深く被っている関係で、確認出来ない。

彼は左手に持っていたスマホで情報を調べていたのだが、オケアノス内ではスマホは機能が制限される。その影響もあって、彼がチェックしていた場所は谷塚駅の近くにあるコンビニだった。

「これは愉快と言うべきか。SNS炎上をしないように様々な技術を使っていたのが、裏目に出たか」

 彼はリズムドライバーに対し、ある意味でも怒りの感情を持っているのだが――そこまで感情を表には出さない。

【結局、あの時の炎上を繰り返す――】

【SNS炎上のないコンテンツと言うのは、それこそフィクション内でのコンテンツを指す。現実とは違うのだ】

 あるコメントを発見した彼は、その通りだ――と言わんばかりの笑みを浮かべる。

彼こそが、ネット上で言及されている存在、レーヴァテイン本人なのだが――それを周囲が分かっていても、話しかけたり写メでSNSに拡散したりすることはない。

そんな事をすれば火に油を注ぐ事になるのは彼らにも分かっているからだ。彼の扱いはフラグを立て間違えるだけでも被害が甚大となる。

(こちらとしては――そろそろ動く時と感じていた。ユニコーンと言う人物が動いた段階で――)

 彼もユニコーンに関して興味をしているようでもあったが、プレイヤーとしての興味とは違う方向だったのは――この段階では誰も気づかない事実だった。

「イッツ――マイターンだ――」

 そうつぶやいた彼の向かう先、それはオケアノスであるのは間違いない。

そして、彼の介入は――リズムドライバーを次のステージへ進める為の布石になる。ある意味でも、運営サイドが予測しない形で。

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