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レッツプレイ!リズムゲーム  作者: 桜崎あかり
第2章

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37/60

第37話


 二番台でプレイしている蒼風あおかぜハルトは――二曲目で相手がこの曲を選んだことには特に驚いていない様子だった。

それは三番台でプレイしている夕立ゆうだちも同じだろう。おそらく、向こうとしては意図してかぶせた訳ではないようだが――。

譜面の難易度、それはレベル六である。しかも、これは普通譜面での難易度――ある意味でも壁と言われるのも納得だろう。

「あの譜面で、互角のバトルになってる――」

「プロのプレイヤーは譜面を選ばないのか?」

「そうじゃない。この場合は――」

 三番台で観戦していたギャラリーは、その様子を見て驚いている様子だが――歓声が沸くような様子はない。

その様子は二番台も同様であり――これに関しては異様の一言と言える。実際、四番台のギャラリーが若干沸いている事もー―比較として分かりやすい。

【四番台のプレイよりも、異様なのは――あのマッチングだ】

【一体、どういう展開になっている?】

【配信を見ていても――これはどうなるか分からない】

【どちらが勝ってもおかしくはないが――同点はあり得るのか?】

【同じ難易度の譜面である以上、理論値も同じになる。場合によってはドローの可能性は高いだろうな】

 配信を見てのつぶやきやコメントも拡散される中、二人のプレイは周囲に衝撃を与えているのかもしれない。

そして、結果は思わぬ所で――。

(集中力が、ハルトのスキルとでも――)

 夕立は未だにスコアが同じままのハルトに対して、若干の焦りを見せている。手に汗を――と言う訳ではないが、それは思わぬ形でミスを招いた。

(まさか――!)

 声には出さなかったが、終盤でコンボを切ってしまったのは夕立の方である。これには――周囲も驚きを隠せないのだが――。

(途切れた? コンボを切ったのか?)

 ハルトの方も夕立のスコアが気になるのだが、敢えて直接の確認はしない。

夕立の方は自分でコンボを切った事は把握している。しかし、それを表情に出す事はなかった。仮に表情を出したとしても、ARメットを被っている関係で見る事は出来ないのだが。

コンボが途切れても、それをギャラリーに気付かせない展開は別の意味でも衝撃だが――。

【決まったな】

【これは間違いない。勝負あった】

【やはり、こう言う結果になるのか】

 配信を見ていたユーザーからも終盤までのフォローを含めても、勝負は決まっていたと思うユーザーは多かった。

それ程に――このマッチングの結果を決めたのは、わずかなミスだったのである。



 筺体に表示されたリザルト画面を見て、周囲のギャラリーは沈黙した。ハルト圧倒を考えていたプレイヤーも、この展開は読めなかったようである。

「ニアミスの差で――」

「信じられない。向こうはフルコンボだぞ」

「フルコンボと言っても理論値ではない」

「こう言う微妙な差で決まるものか? どう考えても意図的な――」

「意図的な物はないだろう。ARゲームでは八百長行為が禁止されているはず」

「あれがハルトの実力と言う事か――」

 リザルト画面のスコアを見ると、ハルトのスコアはフルコンボなのに思うように伸びていないように見える。

理論値であれば、圧倒的勝利もありえただけに――この結果は周囲も想定外とつぶやいていた。

『これが――君の実力と言う事か』

 その一言を残し、夕立は筺体からは姿を消す。彼女は、何を察したのだろうか?

しかし、ハルトには何となくだが――夕立の言及している事を把握している。おそらく、今のランクよりも上の実力があるのでは――と言う事だ。

(次のランク昇格条件は――?)

 次のランク昇格条件を探そうとしていたハルトだったが、気がつくとランクⅧにまでなっている。

(道理で――そう言う事だったのか)

 夕立のランクはⅤだった事もあって、昇格には特に関係のないマッチングだった。それに加えて、ハルトが僅差で負けていた場合――。

最悪のケースは考えたくはないが、モチベが低下する様な事は避けたい。そう考えているハルトにとってはランクと言う存在はあってないような物と言える――のか?

おそらく、夕立が言いたかったのはランクにこだわらないようなプレイもいいが、ランクに小和田り続けるプレイもあるという事を教えたかったのかもしれない。

基本的にハルトはエンジョイ勢と呼ばれる特にランクなどにこだわらないプレイヤーなのだが、夕立はどちらかと言うとランクにこだわるプレイヤーだったと言える。

ハルトはプロゲーマーにも近いが、実際にプロの称号を持っている訳でもないし自称もしていない。それを踏まえると――。

(何だろう――この感覚は)

 夕立に言われた訳ではないが、何故かハルトの腕は震えている。あまりにもプレイ回数が多かったからなのかは定かではないのだが――。

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