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レッツプレイ!リズムゲーム  作者: 桜崎あかり
第1章
3/60

第3話

 埼玉県草加市の一角に出現したその施設は、誰もが『コレジャナイ』と否定的だったという話もあった。

ARゲーム施設の名称は『オケアノス』、これだけ広いゲーセンを建てると言うだけでも否定的な意見が多い中――オープンしたのである。

実際に正式オープン前のプレス向けイベントでは、その内部を見て驚いた記者が多かったと言う。

ドーム球場約三個分、三階建ての複数施設を融合したような構造、外見を見ただけではゲーム施設とは気づかない程のカムフラージュ――。

「本当に、この施設が大型ゲーセンと呼べるのか疑うレベル」

「これは――衝撃的な光景だ」

「ここだけで遊園地クラスの観光資源になるのは確実だろう」

 ここを訪れた記者からは、このような意見が出ていた。

その一方で、本当に観光客が来るのか疑問に思う意見もあったのは事実であり、これよりも観光資源に出来るだろうコンテンツは他にあるという意見もある。

何故、草加市はゲーム分野に出資するようになったのか? 新たな名物を生み出そうと言う声もあれば、苦し紛れと言う声もある。

実際問題として、草加市と言えば草加せんべいを名物として挙げる人の割合が多い。

ネット上では、そうしたフェイクニュースをまとめサイトとしてアップし、アクセス数を荒稼ぎした所もあったという話だ。

【まとめサイトが削除されてる】

【どういう事だ? あのサイトは昨日までは――】

【サイトごと消えているようだ。404エラーで弾かれてる】

【一体何が――?】

【どうやら、まとめサイトが芸能事務所と契約していたという事で摘発されたようだ】

 ネット上のつぶやきによると、フェイクニュースをまとめたサイトが次々と摘発されたらしい。

そして、その管理人の一人が芸能事務所に所属するプロデューサーらしい事も判明した。

こうした事件を受けて、草加市ではフェイクニュースを拡散し、アフィリエイト目的と思われるまとめサイトが規制される事になる。

更には特定芸能事務所の活動を規制する条例も一週間ほどでまとめあげ、即日適用したという伝説も――存在していた。



 それから一年が経過した西暦二〇二〇年――ARゲームブームも一時期よりは落ち着いてきたこのタイミングで、あるゲームが投入――。

ネット上である噂と共に拡散した結果、ブームとなりつつあったのである。

【あのゲームには不思議な何かが起こる話がある】

【何かが――?】

【リズムドライバーの事か】

【それそれ。そのリズムドライバーをプレイすると――】

【まさか、プレイヤーが――と言う訳ではないよな? デスゲーム禁止法案は知っているだろう?】

【そう言う類ではない。あのゲームをプレイすると――】

【あのゲーム自体、別のFPSゲームと類似している意見だってある】

【類似? ジャンルは違うだろう】

【確かにジャンルは違うし、ゲームの内容も似ても似つかない。しかし、ある部分が――】

 まとめサイトのつぶやきまとめをチェックしているのは――施設の入り口に到着した蒼風あおかぜハルトである。

開店前と言う訳でもなく、入口の自動ドアが開く音は何度もしているが――ハルトは電光掲示板タイプの施設内の地図前で立ち止まっていた。

目当ての機種であるリズムドライバーが何処にあるのか調べているのだが、この施設だけでも無数のゲームコーナーがある。

目当ての機種があるかどうかは、その店舗前まで行かないと分からない仕組み。一部の人気機種は、掲示板のインフォメーションでも乗っているので問題はないのだが――。

(リズムドライバーは人気機種じゃないのか)

 とりあえず、地図を見ても何処にあるか判断できないので、ここから歩いて五分程度の場所にあるARゲーム施設へと向かう事にした。

ARゲームでリズムゲームを専門に置いている場所があり、そこでならば――と考えての行動である。



「――しっくりくるようなゲームは、ここにはないものか」

 グレーの強化外骨格を思わせるようなスーツを装着し、SFのパワードスーツを連想する様なアーマーとメット――。

どう考えてもここにいてはいけないような外見の人物――その人物は周囲を見て回っているハルトの姿を目で捉えていた。

しかし、彼が自分には興味がない事を知ると、すぐに視線は目の前に設置されていたセンターモニターの方へと戻る。

しばらくして、この人物の装着していたアーマーとメットがCG演出を思わせるような光を放った後に――装着されていた装甲類が消えた。

メットに関しては装甲類が消滅しただけで、素顔を隠すメットバイザーはそのまま残っている。

(あのプレイヤー、女性だったのか)

(体格がマニア向けだな。変な盗撮犯に目を付けられないか不安だ)

(メットを外していない以上、女性とは限らないぞ?)

(明らかに体格を見れば女性と分かる。それに――)

 センターモニター前にいた人物を指さし、男性プレイヤーが小声で何かを話しているのだが――それが聞こえる事はない。

彼女の方は言わせるだけ言わせておけばいい――という感じかもしれないだろう。

オケアノスで盗撮行為が出来るかと言われると、スマホのカメラ機能は使えなくなり、更には一般客が認識しないような監視カメラも存在する。

ここで盗撮行為等をすれば即逮捕されるのは目に見えているのと同時に、ひったくりや痴漢行為等も不可能だろう。

コスプレイヤーはオケアノス内でコスプレをしていても、捕まる事はない。つまり、ここではガイドラインを守ればコスプレは自由と言う事らしい。

 入り口にも注意書きが存在し、そこには――高記載されている。

《オケアノスにおける犯罪行為は禁止されております》

 犯罪行為の具体例は例示しなくても分かるかもしれないが、この一文が何を示すのかは――誰の目から見ても明らかだった。

施設外の駐車場等で痴漢行為をした人物が逮捕され、警察に連行されていく。

お昼のニュース等ではオケアノスの名称は出される事無く処理されているのは、誰の目から見てもおかしいと思うが――それを誰もおかしいとは指摘しない。

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