表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レッツプレイ!リズムゲーム  作者: 桜崎あかり
第2章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/60

第21話


 三月三日、オケアノスの周囲にあるチェーン系列のコンビニではひな祭りフェアを実施している。

しかし、オケアノス内に入ると――同じ系列のコンビニでもフェアは実施されていない。これにはオケアノス的な事情も存在しているのだが――。

「おかしいなー―ひな祭りフェアがやってない」

「あのフェアは特定芸能事務所が絡んでいる。つまり、そう言う事だ」

「そう言う事って――?」

「オケアノスでは利益至上主義的な思想や方針、ノウハウを受け入れない――そう言う事なのだろう」

 オケアノス内に建てられたコンビニの前で立ち止まった二人組の男性は、雑談をしていた。

その内容は――芸能事務所に批判的なものであり、特定まとめサイトにとっては儲け話と言っても過言ではない。

しかし、こうした話題がオケアノスでは歓迎されていない事もあって、ゲームエリア等ではこの話を出せない事情もある。

ここ最近ではあるゲームで起きたチート問題から拡散したARゲームに対するモラル崩壊――と言った事もネット上では話題になる事があった。

さすがにこうしたニュースは全国で流れる事はないのである。あくまでもローカルニュース扱いで、詐欺事件や地域の話題よりも重要度が低いのも原因か。

【オケアノスにおける情報戦って、どのレベルなのか?】

【こっちでも分からない。まとめサイトでも偽情報を掴まされている所が、ここ最近で目撃されているようだ】

【まとめサイトが? それはWEB小説ではないのか? 実際、そういう物を題材にした作品もあるし】

【果たしてそうだろうか?】

【偽のレーヴァテインがあっさり摘発されたり、なりすましアカウントの一部が凍結、更にはなりきりアカウントまで――】

【そう言った状況が何の関連性があると?】

【それが分かれば苦労はしない】

 ネット上のつぶやきでも、高度な情報戦が展開されているように見えた。

実際、まとめサイトも偽のまとめを記事にしてしまうミスは確かに存在するが――。

もしかすると、どれが真実なのか分からなくなっている事情もあるのかもしれない。

「やっぱり、SNSテロ禁止条案が早いのか――」

 二人組とは別の男性が、ながらスマホでつぶやきサイトをチェックする。

他の客にぶつかったりはしていないので、大丈夫だ――という認識だろうが、オケアノス内における歩きスマホは禁止されているはずだ。

『歩きスマホは禁止――入口の看板を見ていなかったのか?』

 渋い男性ボイスで彼のスマホを取り上げたのは、破れマントにARメット――メットからはデュアルアイが薄く光っている人物である。

ARゲーマーがオケアノス内で目撃されるのは――ネット上でも知っていたが、ここまでとは予想外と彼は思う。

「ぶつかっていないからいいだろう?」

『ぶつかる、ぶつからない――そういう問題ではない。オケアノスに来た以上は、ハウスルールは守ってもらいたいものだな』

「他人の迷惑にならなければ、自分の勝手では? 実際、他の――」

『他の――プレイヤーとでも言いたいのか?』

 男性の方は周囲のプレイヤーの中にも歩きスマホをしている人物がいるのでは――と言おうとしていた。

実際、有名なスマホゲームで接触事故を起こして重傷者が出たニュースも有名で、それを踏まえて何か言おうとしていたのだろう。

しかし、彼は周囲を見回しても――同じような人物はいない。近くにいないだけと考えるが、それも無駄に終わる。

「そ、そうだ! ルールを守る人間が一〇〇%な訳はない――違うか?」

『確かに、お前の言う通りだ。わずか数人がルールを破り、その人物は君の視線に入っていないだけ――そう言いたいのだろう』

 二人の口論がエキサイトする頃には、既にオケアノス内のARアーマーを装着した警備兵を連想するガーディアンが駆けつけた。

彼らの目的はオケアノスのハウスルールを破る来場者を取り締まる――そのやり方は様々だが、暴力行為に訴えないのが最大の特徴である。

 その後、男性はハウスルールを破ったとしてガーディアンに連れて行かれた。

さすがにけが人も出ていないので出入り禁止の様なペナルティはないにしても――彼が何らかのペナルティを受けるのは確実だろう。

「自分勝手な人物が出てくれば、それだけ厳しいルールを導入せざるをえなくなる。それだけは――避けなくてはいけないのよ」

 ジャックはため息交じりにつぶやくが――その声はボイスチェンジャーの声と異なり、女性の声だった。

ボイスチェンジャーの故障ではなく、意図的に電源を一時的に切ったのかもしれない。



 お昼時、配信スペース兼自宅で昼食にしていたのはアイオワである。

今の時間は配信スペースを他のバーチャルゲーマーに貸している為か、二〇畳はあると思われる個室兼ゲーム部屋を使っていた。

この部屋は基本的に水物の持ち込みは禁止、食べ物類はイートインスペースに限定している決まりだが――特に他の動画配信者もいないので、その辺りは自分ルールになっているかもしれない。

「相変わらず、あのニュースは取り上げないのか」

 こちらにも4Kテレビが置かれており、サイズは五〇と若干大型である。

こちらに関しては格ゲーの大会を個人で行う際――映画鑑賞会を個人で行う等の用途かもしれない。

さすがに、このテレビでニュースを見るのは、ちょっとさみしい状態だが。

「同じオケアノスの名前を持つアミューズメント施設――訴えられそうだけど、何故に訴えないのかな――」

 アイオワの取り上げないと考えていたニュースとは『オケアノス・ワン』と言うアミューズメント施設に関してである。

草加市内でも数店舗あり、実際にオケアノス内でも一店舗だが展開していた。客足も好調と言うべきであり、これはタダ乗り商法なのでは――と思う部分もある。

それが両方とも訴える気配もなく、むしろ先に出来た筈のオケアノスが『オケアノス・ワン』を訴えないのもおかしいと――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ