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レッツプレイ!リズムゲーム  作者: 桜崎あかり
第1章
18/60

第18話


 アイオワのプレイしていた一番台は、既にギャラリーがいなくなっていた。むしろ、別の台へ移動したと言うべきか。

彼女としては余計な雑音がない事で有利という気配なのかもしれないが――それ以上に、他の台の動きが騒がしかったのには理由がある。

「あのプレイヤー、かなり強いぞ」

「上位ランカーは他の県にいたという事か?」

「この台が設置されているのは、ここ以外には秋葉原と北千住、それに竹ノ塚だ――」

「都道府県全部に置いてある訳ではないのか?」

「現状ではオンラインシステムテストをしているという話だ。将来的には――」

 他の台でプレイされていたのは、他のゲームで言う所のオンライン対戦だった。

対戦と言っても、単純にスコアを競う様な物であり――格ゲー的な対戦とは違う。

ズムゲームでいくつかの作品に実装されているマッチングの方が正しいかもしれない。

対戦の仕様はどうであれ、センターモニターや筺体内の特殊モニターでは相手プレイヤーのアクションを見る事も出来る。

相手がどのようなARアーマーを装着しているのか、ARガジェットは何を使っているかも丸わかりだった。

『これが分かったとしても――格闘ゲーム等とは違い、最終的に物を言うのは自身のスキルだ』

 待機列専用の椅子に座っていたジャック・ザ・リッパーはそこから何とか見えるであろうセンターモニターの映像で、状況を確認している。

まさかエリア限定のオンライン対戦を実装してくるとは――別の意味でも衝撃だった。

『しかし、順当に新曲追加、変則的にリアルカード生成等のシステムで来ると思っただけに――』

 リズムゲームがアップデートで追加する物と言えば、新曲と言うのが多くの機種で該当する。

それに加えて、新機種のリズムゲームではリアルカードの作成が可能だったり、プレイ動画の録画機能と言うものもあるのだが――。

『そろそろ、こちらの番か――』

 ジャックの声はボイスチェンジャーで変換されているのだが、ソレに違和感を持つギャラリーはいない。

コスプレイヤーやボイスチェンジャーで声を変えた人物位は目撃事例が多いので、逆にオケアノスを訪れる観光客も驚かないのだろう。

それに、最近では2.5次元と言う単語もパワーワードとして語られるように――AR映像のアバターも訪れたりする。

これを踏まえると、そう簡単な出来事では驚かない程の耐性が出来たのかもしれない。

《整理番号の繰り上げが行われました。まもなく、出番となりますので――》

 ジャックのARメットのバイザー部分に表示されたインフォメーションは予想外の物だった。

あと数人ほどは待つと考えていたジャックにとってはラッキーだったかもしれないが、このメッセージ表示は――。

(やはりと言うか、みなし予約が出ているのか――)

 みなし予約とは、予約だけを取ってプレイする必要がなくなったらキャンセルすることだ。

どの分野でもみなし予約は迷惑行為であり、特にレストランやホテル等ではニュースに取り上げられた事もある。

ARゲームではみなし予約が発覚するとアカウント凍結もしくは停止処分が出る事があるのだが、そこまでのペナルティを取られた事例は確認されていない。

もしかすると、普通に間に合わなかったのでキャンセルだけかもしれないが――。



 プレイが終わったアイオワは、早速センターモニターへと早歩きで向かい――早速動画のチェックを始める。

ギャラリーもまばらだった事もあり、動画の選択なども普通に出来たのは大きい。

普通は、ギャラリーが多いとその動画を見ている事が多く、選択は出来ない事が多いのだが――。

(これは――)

 二分割された左側では先ほどまでプレイしていたプレイヤーの動画になっているが、右側の動画は明らかに別の場所である。

周囲のギャラリー傾向からすると、あまりヲタクな外見をした観客もいないのに加え、足を止めて見ているプレイヤーもここほどではない。

上の方を見ると、そこには店舗名が書かれていたのだ。オケアノスとは違うARゲームセンターらしいのだが、場所は――。

(北千住――?)

 店舗名のゲーセン名に北千住と書かれていた。それとは別に場所は足立区と明記されており、もしかすると――。

ARゲーム自体、扱うゲームセンターはそれこそ都道府県全域にあるだろうが――リズムドライバーは一部エリアにしかない。

「オンラインテストをしているという話だけど――」

 気になる所はありつつも、アイオワは別のゲームも気になっていたのでオケアノス内の別ゲーセンへ移動する事にした。

丁度、他のプレイヤーも姿を見せており、いつまでも滞在をしているのもアレと考えていたからだろう。

【ジャックのプレイ――凄かったな】

【上位ランカーに迫るのは、まだまだかもしれないが――】

【しかし、ランキング上位のスコアを考えると先は長いだろうな】

【そうか? あのレベルであれば、上位プレイヤーにも勝てるのでは?】

【リズムゲームは対戦格闘などとは違う。そう簡単にスコアを上昇させてランキングアップは難しいぞ】

【それこそ運営が禁止しているチートだろう。アレさえあれば、一位も楽勝に取れる――と言う話だ】

【チートは止めておいた方がいいぞ。ろくな事にならない】

【ARゲームは正々堂々と、ルールを守ってプレイするのが一番だ】

 ネット上のつぶやきではジャックのプレイを受けてのつぶやきが拡散している。

その中で、最も正論だったのはチートを使った方が上位を狙えるのでは――と言う発言に対する返答だった。

オケアノス内でチートの目撃事例がないのは、もしかするとARゲームではマナーを守るプレイヤーが多いからなのだろうか?


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