28.増援
とてつもなくお久しぶりです。4年ぶりとか意味不明すぎますごめんなさい。
またぽつぽつと更新していこうと思いますので良ければ見ていってください。
ルートレイでのスタンピードに救援に向かうことになった、C級パーティー五組とB級パーティー一組、マクリリム王国軍の遊撃隊、総勢六十名からなる一団はキュリアスから出立した。
馬を足として向かっているため、およそ二日でルートレイに到着する目算だ。
先導するのはマクリリム王国軍の遊撃隊を率いるバラエリ・ネイト中佐。バラエリは若いが非常に優秀かつ正義感の強い青年だ。その正義感故に彼はルートレイへの救援に進んで志願した。
六十名のうち半数近くは戦闘員ではない。おそらく大きな被害を受けているであろうルートレイへの物資支援のため、その運搬要員を多く抱えているため大規模な一団となっている。
実際にスタンピードの対処に割ける人員は冒険者たち二十七名と遊撃隊の八名である。
ただし、遊撃隊については補給要員の護衛にリソースを割かなければならないため、スタンピードの直接的な救援は冒険者たちになる。
バラエリたちの目的はあくまで冒険者たちの輸送とルートレイへの補給にある。
隊列は乱れず、迷いなく進んで行く。
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滑り込みでC級に認定された冒険者パーティー、閃光の地平線の乗る馬車の中ではリーダーのメラスが黙々と延々と作業をしていた。
揺れ続ける悪環境の中だがメラスの集中力は凄まじく、揺れをものともしていない。
「でな、その時颯爽と駆けつけてパーッと魔獣を一掃してやったわけよ。いやあ、自分が英雄譚に出てくる英雄の一ページを飾ってるのかと思ったね」
その横で一人ベラベラと喋り続けているのはアタッカー兼お調子者のリュースだった。一見すると正反対の性格をしている二人だが、メンバーの中で最も古い付き合いなのがこの二人だ。生まれた時から一緒にいる、互いに双子のような存在である。
「にしてもいきなり緊急依頼が舞い込んでくるなんて、幸先がいいと思わないか!」
「あんたの頭がお花畑すぎてついていけないよ。ねえ、リーダー?」
なんていいつつ唯一リュースと会話をしているのは女性でありながら盾役のイース。むき出しの小麦色の肉体は引き締まり、至る所に歴戦の勲章が刻み込まれている。
「……」
「ま、リーダーもテアも呪具の作成中だし聞いちゃいないか。一番聞いてないのはあんたの話だけどねリュース」
「これが噂のツンデレってやつか!たしかになかなかいいモンかもしれないな」
「ふざけすぎてると肋骨へし折るぞ」
「ははは、そしたらテアに助けを求めるまでよ」
「本当にバカだな」
話しすぎて、思い切り揺れた時リュースは舌を噛んだ。うっすらと涙目になりながら悶絶する。
「……いまリュースに呪いをかけた。舌を噛む呪い」
作業している手を止め、メラスがぼそりと呟くと、また作業に戻った。
「わっはっは、いいザマだな」
とリュースを嘲笑ったイースも舌を噛んでリュースに倣うことになった。
悶絶する二人と作業する二人、一人残されたサポート役のテルフィはため息をついた。
「こんなんだからいっつもガキって舐められるんですよねえ」
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一行がルートレイに近づくほど、肌を刺すような空気が濃厚になっていっていた。
辛うじて道と呼べる道は獣の郡勢に踏み均された跡が見られる。
「多すぎるな……持ち堪えられているか、ラウザント」
キュリアスで最高ランクのパーティーである明けの明星はいつもルートレイでパレードが起こる際は救援に向かっている。もう十年になるだろうか。
明けの明星のリーダーのルーファスは目にかかる金色の前髪を払いながら、車窓から馬車の行き先に視線をやった。
「ラウザントだけなら怪しいかもしれねえが、あそこにゃ腕に覚えのある奴が多い。ラウザントとパラセリがいれば全滅することはねえだろ」
明けの明星のタンクを務める筋骨隆々の男、バンスはルーファスの不安を杞憂だと笑い飛ばす。
「たしかにあのお二方がいれば最低限は持ち堪えられるでしょうが、この量は……嫌な予感がしますね」
道に残る獣の足跡を眺めながらルーファスに同調するのはヒーラーと後方支援を兼ねる明けの明星の縁の下の力持ち、ケース。明けの明星の紅一点だ。
「手遅れでないといいが……」
「おめえは相変わらず辛気臭すぎるぜ、ルーファス。いつもそうだ。オレらはキュリアス最強だぜ?もっとどかっと構えてりゃいいんだよ」
「あなたは筋肉で解決できるからいいですよねバンス。頭にも筋肉が詰まっていますし」
「相変わらずオレにだけ当たりがつええなあオイ」
バンスの返す口調は強いが、口元は笑っている。いつも通りの明けの明星のやり取りだ。
「魔獣程度ワケねえさ。キュリアス最強の冒険者、金獅子のルーファス・エルエスがいるんだからな」
ぽつぽつと雨が降り始めた。
一団がルートレイにたどり着くまであと半日かというところだった。
書き溜めていたデータが消えて萎え、そして存在を忘れていました。
が、ふと思い出して確認したら100,000PVを超えていたのでさすがに続きを書こうと思った次第です。
不定期にはなりますが更新していこうかと思います。
しかし、3年も更新されていない作品を未だに読んでくれている方がいるというのは素直に嬉しいですね。
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