6話 馬鹿がだばぁとやってくる
始業式後、滝沢とやりあった日の昼休み。
隣のクラスから1人の女子がやってきた。
「カップ焼きそばくんいますか!」
「もうその呼び名が辛い。」
彼女の名は米田 稲穂。小さくて可愛くて…ただ、夏休み前と随分見た目が変わっていた。
白髪で目が赤く、肌も真っ白。
八ッ湖とは知り合いのようで
「前は茶髪染で目も普通で夏休み前からこんがり肌だったのにすごいイメチェンじゃん。」
と、驚いている。
「それには理由があるんです!けど、とりあえず!カップ焼きそばくんに用があるかられいくんはくらっぷ!」
一瞬沈黙。そしてカップ焼きそばくんが口を開く。
「シャラップ?」
「そうとも言います!」
〔いやその間違い方はおかしい〕
「とにかく!カップくん!私にもカップ焼きそばをくれませんか!能力のせいでお腹ぺこぺこなんです!」
またも沈黙、疑問符がその場にいた全員に浮かぶ。
そこへ曜がやってきた。
「あ、いなちゃ〜ん…?いたいた…やっぱりここだったか。」
でっけ。
「ようちゃん!この人たちに私の能力を教えてあげなさい!」
「あ〜はいはい…いいよえっとね…。」
米田稲穂は大変な食いしん坊で、身長134cm。その体のどこに入っているか分からないほどによく食べる。
にしては痩せ型で、よく驚かれていた。
そんな彼女のきっかけは、夏休みの食べ歩き。
縁日で夏休みのお小遣いの殆どを使う後先考えない馬鹿さ加減が、彼女の体に異変をもたらした。
しかも制約を二つもつけられてしまった。
それが、「この世の有機物無機物なんであれ無限に食せるが、調理が何一つ出来ず更に身体が日光に極端に弱く変化する。」という能力。
そう、彼女は後天的に能力によってアルビノとなり、さらにはインスタントすらろくに作れなくなっていた。
「カップ焼きそば持ってきたんですけど!湯捨て口がべりべりしまして!だばぁーっ!」
「それで俺のとこに来たと…。」
「だばぁしない能力ですよね!おねがいです!カップ焼きそばください!お金がないので肩もみしてあげます!」
「いらねぇ〜」
まあ減るもんでもなし、と増照はカップ焼きそばを召喚してふりかけをかけるところまで全てやってあげて
カップ焼きそばを彼女にあげた。
「すっごい!蓋にキャベツがついてません!お湯もどこに捨てたんですか!?消えました!すっごい!」
〔ははは、本望だなぁ増照!〕
「畜生複雑だ。」
「わたひとおほほだひになりまへんかかっふはきほははん!」
「なんて?」
こうして増照に、新しいお友達が増えた。やったね。
こういう子すき。