3話 だばぁしないだけではない
父母姉が呆然と、耳を疑う中
一番それを信じたくない本人は頭を抱えていた。
カップ麺?そんなことってあるか?と
姉は身体強化、友人は氷を扱う。
先輩は火を起こせるし、先輩の彼女さんは雷を落とせたはずだ、と
少なくとも、そんなにしょぼい能力が他にいるのか?
(カップ…かっぷ…かっ…かっと…)
「カットバン!そうだ!カットバンだな!だろ?絆創膏を使うことであらゆる傷を…」
〔違うんだ、カップ焼きそばだ。カップ、焼きそば。〕
「んぉぉぉぉうもぅん…」
現実を受け止められず変な声が出る。
〔空腹だろ?カップ焼きそばを召喚してみるといい。〕
「はぁ…」
テーブルに手をかざして念じると未開封のカップ焼きそばが出てきた。
心底落胆した。
〔パッケージを剥がして中身を取り出しかやくをいれて、お湯を注ぐイメージを浮かべてみてくれ。〕
「…あい」
かやくは中に入り他は蓋の上、カップ焼きそばのパッケージの中にお湯が満たされていく。
「そうだ!なあ、こうやって熱湯を召喚できるってことは!」
〔カップ焼きそばのパッケージの中にしかお湯は召喚できないよ〕
「はぁぁぁぁ〜〜〜」
多分、このため息は日本海溝より深い。
3分経った。
〔ここの家のシンクはベコンッてなるよね?そしたら、ここの家のシンクをイメージするんだ。すると…〕
空間の歪みができ、テーブルがあったそこにはシンクが映っている。
「え?なに?お湯捨て用ワープホール?」
〔捨ててみたまえ。キャベツのことを考えながら。〕
すると後ろの方と目の前から同時にベコンッと音がした。
そして蓋を剥がすと…
〔そう、蓋の裏にキャベツがくっつかないんだ。〕
心底どうでもよかった。
そしてこの一部始終を見ていた家族は笑いをこらえることすらやめ、ただただ同情の目を向けていた。
ちくしょう。
「じゃあなに?俺は…夏休み明けにみんなが異能力者になってる中カップ焼きそばを召喚するの?」
〔誇っていいんだぞ。〕
「なぐりてぇ〜」
とりあえず食事を終わらせた家族は各々とりあえず普段通りの生活に戻った。とりあえず。
カップ焼きそばを食べ、風呂に入り、歯を磨こうとしたら、歯には青のりがついていなかった。
本当にどうでもよかった。
部屋に戻り頭を悩ませていたら、扉をノックされた。
「てる、今いい?あたしなんだけど」
姉の声が聞こえて、姉が部屋に来てくれたことに少しだけテンションがあがった。
お姉ちゃんとは変なことにはなりませんがとりあえずお姉ちゃんが明日から生きる為のことを教えてくれる回は次回になります。
一応次回から夏休み明け編の予定