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Fighters  作者: 秋本そら
Contradict
26/33

26.迷惑な「贈り物」

 一方その頃、音楽室を出た18人はというと……。

「取り敢えず一度、一番最後に智子を見た場所に戻ってみようよ」

 というさくらの一声で、本棟2階にある渡り廊下と本棟3階に行くこととなった。全員で手を繋ぎ、君代の異能で渡り廊下へと瞬間移動をする。

 18人をいっぺんに運ぶのは体力をかなり消費したようで、渡り廊下に着いたとき、君代は息を荒くしていた。その君代の体力の一部の回復をひながしたため、ひなも多少の体力を使ってしまった。

「——いませんね。3階に向かいますか?」

 文香が問いかけ、

「そうだね、行こうか」

 と波が答える。

 流石に今度は瞬間移動は使わない。敵もそこまで大人数はいなかったからか、スムーズに3階へと向かうことが出来た。

 しかし3階に着いた途端、一気に敵が押し寄せ来た。そう、先程2年生が3階を通った時は敵を倒さず、結界を張って通り過ぎたため、まだ敵が残っていたのだ。

 そして次の瞬間。

「……うっ!」

「……あっ!」

 不意に敵が撃ってきた矢が、油断していた18人のうちの2人、君代と咲に当たった。しかも、2人とも複数本当たっており、致命傷は負わなかったが、回復に時間がかかりそうだ。

 彩が次の瞬間には結界を張った為他の人に矢は当たらなかったが、2人に当たってしまったのは大きな痛手だった。君代が怪我をしてしまうと大人数での瞬間移動が出来なくなり、行動スピードを速めることができなくなる。そして咲が怪我をしてしまうと、治癒能力が他人のためではなく自分自身のために使われてしまうのだ。

 結界の中で、波が2人から矢を引き抜く。咲から怪我が消えていくが、このままだと自分の怪我を治しただけで体力が尽きてしまいそうだ。ひなの力添えにも限りがあり、しかも先程君代が瞬間移動をした際に力添えをしたため、ひなもあまり体力は残っていない。


 そのときだった。

 外から途轍もなく大きな音が聞こえ、窓の外から光が漏れ、大きな振動が18人を襲ったのは。

 文香が窓から外を見て、叫ぶ。

「——中野だ!……しかも智子もいる……そんな!2人で、戦ってるなんて!」

 その声につられて皆が窓の側に駆け寄り、本当だ、智子とあいつがなぜ一緒にいるの、なぜ智子は1人で、などと皆が戸惑いを露わにした。どう考えても智子が劣勢だ。

「どうにかして智子のところに行かなきゃ!」

 誰かが叫ぶ。皆、考えていることは同じだ。

 だか、今の状態では動けない。今この瞬間にも君代の体力は怪我によって削がれていくし、咲の体力も異能の使用によって削がれていく。彩もずっと結界を張り続けていればそのうち体力は持たなくなる。体力回復の異能なのに、少し矛盾しているようにも感じてしまうが、ひなの異能だって、使えば体力を使ってしまう。いざ結界が破れてしまったときのために、戦闘担当の人たちはずっと警戒してすぐに動けるようにしている。

 今、智子と小百合がいる校庭まで行ける者は、誰もいなかった。

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