24.「どこにいるの?」
「……智子を捜しに行かないと」
文香がぽつりと言う。
「あっ……そうだったね」
色々なことが急にいっぺんに起こってしまったものだから、ほとんどの人がそのことを忘れていた。
「——智子ちゃん、たしかにいないね」
そう行ったのは、さくらだった。
「どうしてさくら先輩が智子のこと、知っているんですか?」
波が怪訝そうに尋ねる。
そう。さくらは波の2個上、つまり智子の3個上だから智子とさくらは一緒に楽器を吹いたことはないはずなのだ。
波の問いに、当然のようにさくらは答えた。
「遥ちゃんから聞いたから。遥ちゃん、すごく楽しそうに智子ちゃんのこと話してたなぁ」
遥は波の1個上、つまり智子の2個上だ。智子と一緒に楽器を吹いたことがある。そして遥はさくらの1個下だ。ならば遥とさくらが会って話すことがあってもおかしくはない。
皆、納得してうなづいた。
攻撃は主に1年生と大翔の担当。
守備は2年生とさくらと佳苗、そしてありさの担当。
まだ校内には、小百合が創り出した沢山の敵がいる。ざっと役割分担だけを決めて、音楽室を出た。
智子を、仲間を探すために。
しかし、音楽室を出たはいいものの、1年生9人、2年生5人、卒業生4人、計18人のうちに、智子の居場所を知る者はいなかった。




