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Fighters  作者: 秋本そら
Conceal
19/33

19.裏の戦い

(シナリオは……どこまで進んだのだろう)

 小百合はため息をついた。

(まだあの子が怪我をした頃だろうか……)

 自分で戦争がどんな状況なのかぐらい小百合のことだ、知ろうと思えばすぐに知れた。だが、小百合はそれをしようとしなかった。

(自分で始めたくせに……戦いを好む性格なのに、その性格でさえも、()()()()()()()()()のよね。今更、分かりきったことだけど)

 ふっと小百合は悲しそうに笑う。

(そう考えると、なにもかも無意味なような気にさえなる。いっそのこと、私の創造主が私のことを殺せればいいのだけれど。

 でもあの人は私のように全ての異能を操れるわけでもなく、魔法の力を持っているわけでもない。

 ——ああ、でもこれさえ渡せば可能なんだった)

 小百合はそう考えながら、服の上からポケットの中に入っている()()に触れた。


『中野小百合』

(……なんですか、創造主さん)

 小百合はわざと、幻聴にそんな風に答えてみた。

『……呆れた。割と真剣な話をするのに』

(はいはい、真剣に話すよ。今後に関わるからね)

『……なんか性格変わった?』

(んなわけあるか)

『あ、そう?——で、今どこなの』

(分かってるでしょ?体育館だけど)

『私はもう"最後の場所"まで来てるよ。なるべく早く終わらせたいし、早くきてよ』

(いいけど。少しだけ待ってて)

 小百合は一言そう答えると、瞬間移動の異能を用いた。


「待ってたよ、中野小百合」

 その人物の髪が、風でなびく。

 小百合の短い髪も、風で揺れている。

「そうか。おまたせ」

 それを聞いて、ふふ、と小百合の創造主は笑った。

「さて、どうしようか?

 お前を完全に消し去ろうと思ったら……やっぱり私の命もなくなるね。私は別にいいけども」

「どうして?」

「私は()()()()()()()()()

「……」

 小百合は黙ったままだ。

「もしもお前が死んだとしても……まだ私が生きていたら、また再びお前を生み出すことだってできるだろうからね。その為に、私は死ななきゃいけない」

「……なるほどね」


「……さて、始めようか」

「そうだね。せめて私たち以上の犠牲者が出ないことを祈ろう」

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