17.再会
さて、別棟の3階では……春奈、留美、愛音、朝が敵と戦っていた。
「はるちゃん、いくよ!」
「うん!」
愛音と春奈は先程渡り廊下で使った『画鋲攻撃』を仕掛け、朝が燃え上がる炎をなんとか操っていく。留美は団子状の土の礫を次々に投げていく。
しかし、予知能力者である文香がいないので、先ほどまでは避けられた攻撃が避けられなくなっていた。また、電気を操る智子がいないため『画鋲攻撃』の威力が格段に下がった。
2人がいない影響は、予想以上に大きかったのだ。
どんどん4人は怪我をし、体力も失っていき、追い込まれていった。
「……どうしよう……」
「このままだと、やられちゃうよ!」
4人が焦り、絶望が忍び寄り始めた、その時だった。
「——朝、下がって!」
文香の声だった。
朝がさっと後ろに下がると、少し前まで朝がいたところに氷の槍が襲いかかる。
4人が後ろを振り返ると……
「……文香!」
「文香だけじゃない!先輩も!」
「みんな、大丈夫だった⁉︎」
「はい、なんとか!」
ようやく、2年生と1年生本隊が合流できたのだ!
彩がさっと手を伸ばし、2年生と1年生本隊を包み込む結界を張った。
「みんな、大丈夫だよ!今結界を張ったから!」
「ありがとうございます!」
彩だけではない。咲が4人の怪我を治し、ひなが4人に力を与えた。ひなは彩にも力を与えている。
彩もひなも、ずっと異能を使っている。確実に体力が減っているに違いないが、そんな様子を全く見せなかった。
「……で、1年生はどんな異能を持ってるの?」
波が問いかける。それに答えたのは、文香だった。
「春奈が風を操ります。うちは未来予知で……」
文香が説明を終えると、うんうん、と波がうなづく。
「なるほどね。2年は今分かってる限りだと……」
彩が説明をして、今度は文香がうなづいた。
「主戦力は主に1年生、そのバックアップが主に2年生……か」
音也がぽつりと呟いた。
「そうだね。ずっと彩が結界を張るわけにもいかないし、主に戦ってもらうのは1年生にお願いして、それをうちらがサポートする形だね」
咲も言う。2年生は一斉にうなづいた。
「ええ、そうした方がいいかと思われます」
文香たち1年生も賛同した。
「そろそろ……異能を解除していい?」
「きつくなってきた……」
「大丈夫です!」
彩が異能を解除し、それに伴ってひなも異能を解除する。1年生は戦いに備えた。
しかし、一向に敵は襲いかかってこない。
というよりかは……ずっと静止している。
嬉しそうな声が聞こえる。
「やっと見つけた」
10人が振り返ると、そこにいたのは……。
「ずっと探していたの。
貴方達——うちらの味方をね」




