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4:休息
「ハジメさん、戻りましたよ……って寝てる」
寝袋とタオルを持って戻ってくると、すでにハジメさんはドアに背を預けた状態で眠りについていた。
普段から目が細くて寝ているのか起きているのか分かりにくくはあるけど、今は完全に寝ているようだ。目はともかく、スース―という寝息が小さいながらも耳に届いてくる。
あまり疲れているようには見えなかったものの、かなり緊張はしていたのだろう。ハジメさんからしてみれば頼れる仲間は一人もおらず、完全に敵地での行軍だったのだ。女王様一行にしてみても、敵対こそしていなくても友好的な関係ではなかったようだし。
せっかく眠りにつけた以上、起こすのも忍びないと思い声をかけるのはやめる。代わりにタオルを肩にかけてやり、もう一枚のタオルは煌々と輝く魔法石にかける。完全に明かりを遮断することはできないが、最初よりは暗くて眠りやすそうな環境になった。
僕は広間側の扉横に寝袋を置くと、その中に入り込み、一瞬で眠りに落ちていった。