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色違いnoあらかると  作者: 桜乃 葉
第1章
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第20話

「のあさん。大丈夫?」


李華ちゃんが声をかけてくれるが、全然大丈夫じゃない。

こんなことがあっていいのだろうか?

あの美少女が男で、しかも一緒に住んでいる相手だなんて、嘘にしても趣味が悪すぎる。

いや、信じたくはないが嘘でないことは理解しているつもりだ。


「ん?それじゃあ玉木くんは慎弥だと知っていて告白したってこと?」

「ゴフッ!!」

「のあさん!!ナイス会心の一撃!!」


しまった!!ただでさえ瀕死だったのにトドメを刺してしまった。

だが、相手が女の子以上にかわいい慎弥(女)では変な気を起こすのもわかなくもない。


「はぁ…」


もう何度目のため息か数えたくもない。


「で、何でみんなは私にこの話を教えてくれたの?慎弥の為を思ったら隠しておいた方が良かったんじゃ?(あと玉木くんの尊厳の為にも)」

「部長に頼まれたのもあるけど、慎弥に…」

「おもしろそうだったからっていうのもあるけど、慎にぃに…」

「ボソッ……石川先輩が慎くんに近寄りにくくなればっていうのもあるけど慎くんに…」

「「「昔みたいに心から笑って欲しいから」」」


三人の声が重なる。


慎弥は今だって笑わない訳じゃない。

でも三人が言っている本当の笑みとは違うのだろう。

だって私の知っているのは今の慎弥であり、過去の慎弥ではないのだから。


「でも、それと私に話すことが、どう関係してくるの?」

「李華ちゃんから、石川先輩は『s2kr』をもう一度見たくて転校して来たと聞きました」

「えぇそうね」

「私は以前、先輩のことを、たまたま知った『s2kr』の情報に興味本位で近づいた人だと思ってヒドイ対応をしてしまいました」


それは仕方ないのかもしれない。

慎弥もそうだが紗菜ちゃんも動画の件でヒドイ仕打ちを受けた経緯がある。

私のように急に近づいてくる相手に警戒するのは当然だろう。


「私もあの時は事情も知らずに強引だったわ」

「まぁ紗菜にとってはそれ以外の要素もあっただろうしね♪」

「りっ!!李華ちゃん!!」

「あれ?何かあったっけ?」


紗菜ちゃんが気にする要素があっただろうか?すぐには思い浮かばない。


「ほら私が撮った。のあさんと慎にぃの写真」

「あぁなるほど。私が誤解させちゃったから…」

「今日だって大変だったんだから」

「李華ちゃん…もう勘弁して…」


既に紗菜ちゃんの顔は真っ赤だ。


「のあさんと一緒に住んでるって言ったら慌てて慎にぃの所に行っちゃうし…」

「まだ言ってなかったんだ…」

「その方が楽しいと思って♪」


もう伝わってるものだと思っていただけに、逆にビックリした。


「まぁ紗菜は結果的に良かったんじゃね?」

「うっ…」


玉木くんの言葉に紗菜ちゃんが反応する。


「二人で授業サボって何してたんだか」

「と・に・か・く!!広先輩が慎くんにまた動画を撮らせることが出来れば、昔みたいに笑ってくれるきっかけになるかもしれません」

「だから今日は三人が集まってくれたんだ?」

「協力してくれますか?」


その為に、私に何が出来るかはまだわからない。

それでも心強い味方がいるのはありがたい。


「そもそも一人でもやるつもりだったんだから助かるわ。こちらこそよろしく」

「じゃあまとまったところで実際どうするかの話にいこうか」


玉木くんの言葉にみんなが頷き、私達は時間の許す限り、行動の内容を話し合った。


******

「まぁこんなところでどうだ?」

「うん。広さんの案でいこう」

「私もOKです。そろそろ慎くんも帰ってきちゃうし」


ある程度の大枠が決まったところで今日の話し合いは終了となった。

だが私には一つだけなんとしてもスッキリさせておきたい問題があった。


「ねぇ。未だに慎弥があの子だってことが信じられないんだけど…」

「のあさんまだ納得してなかったんだ?」

「それもしょうがないかもしれませんね。今まで何年も慎くんだって気づいた人はいませんでしたから…」

「じゃあ慎弥にウィッグでも被せてみたら?」

「いや…今の慎弥じゃわからないんじゃ…?」


昔は小さくて女の子に見えていたのかもしれないが、今は成長してそんな要素は全くない。


「でも意外といい考えかも♪」

「李華ちゃん…おもしろがってない?」

「昔の真子ちゃんウィッグ持ってくるねー♪」

「……………」


自分で言い出したこととはいえ、私はなんとしても慎弥にウィッグを被せなければいけないらしい。







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