その30:準備 後編
さて、魔工銃の説明が終わった所で、俺の従魔……スニルについてだが、俺の想像以上のチートぶりを発揮している。
どんなチートぶりかって?そうだな……あれは魔工銃が完成してはしゃいでいた時の事だーーー、
◇◼◇◼◇
「とうとう完成した……」
丸2日を使い、不眠不休で造り上げた魔工銃版『ベレッタm92』が黒い艶を晒しながら、俺の手にその確かな存在感を惜しみなく伝えてくる。『グリップ』にオリジナルのロゴを付けたのも正解だった。
我ながら見事な完成度に、自画自賛したくなるが……必死に堪えて(ニヤニヤして)いると、ーーーガタンッ!と音がしたので視線を向けてみると、液体化したミスリルが入った樽がひっくり返っていた……だが不思議な事に、中身が溢れていない。
すると樽の中からスニルが、ポヨンポヨンと出てきた。
犯人はこいつだったか……基本的にじっとしているのに、どんな心境の変化だろうか?
「おいおい、あんまりはしゃぐな……って、おい!!」
こっちに近づいて来たから、少し注意しようと思ったら事もあろうに俺の魔力と、持っていたベレッタm92を取り込みやがった! 完成からまだ1時間も経ってないのに……。
「てめぇ……」
これはれっきとした宣戦布告だ……断じて許す訳にはいかん!魔力を拳に集中させ、ファイティングポーズをとる。
「ようやく本性を……って、あれぇ?!」
ただのグーパンチを叩き込もうとしたその瞬間ーーースニルがペッ、と吐き出した物体が二つ俺に向かって飛んできた。余裕でキャッチしてその物体を確認するとーーー、
「おいおい、まじか……」
俺の両手に収まっていたのは、スニルに取り込まれたはずの『ベレッタm92』だった。
今わかる事は、こいつが俺の不眠不休で造り上げた魔工銃を、たった数秒間でコピー&複製した……ということだ。俺の苦労は何だったのか?
目を見開きながらスニルを見ると、ドヤァとした雰囲気で此方を見て?いた。
「……カートリッジも複製できるか?」
プルンと頷くスニル。
どうやら可能らしい。
「フフフ……」
自然と口元がにやける……このスライムが居れば可能性は無限大だ!複製に手間がかかる為諦めていた、あれもこれも実現できるではないか!
チラリ、とスニルを見るとブルッと震えたような気がしたーーー
◇◼◇◼◇
ーーーとまぁ、そんな事があったわけよ。
それで調子に乗って色々とやらかしたわけだが……今はいいだろう。何か多いな……このパターン。
それと、魔工銃とは別にもう1つの兵器をご紹介しよう……その名も、空中滞空式対人兵器『ドローン・ポット』である。
形状はいたってシンプルで、様々な兵器が内臓された円柱型のポットに、プロペラを付けたようなデザインだ。
この兵器の特徴は、一定範囲内に入った敵を自動で攻撃する機能を搭載している所だ。特に集団戦においては、素晴らしい活躍をするだろう。
説明ばかりになってしまったが、とりあえずこんな所だ。
とっておきの切り札もあるが、それはまた後々ーーー、
「エリスさん……」
すると、絹音さんが不安そうな顔で俺を見つめていた。そりゃそうか……娘の命が懸かってるんだもんな。
俺に協力する条件の一つに"糸奈の救出"が入っている、が……そんな事は言われずともやるつもりだ。
不安そうな表情で、少しだけ震えている絹音を片手で抱き寄せる。これで少しは落ち着くだろう。
「安心しろよ絹音……糸奈は必ず助ける」
「はい、よろしく……何とぞ、よろしくお願いします……」
消え入りそうな小さな声で……されど、何よりも切実な想いを込めて絹音は、自分よりも年下の少女に愛する娘の事を託すのであった。
◇◼◇◼◇
翌日の朝。
開発したアーティファクトを【アイテムボックス】に入れる。色んな物が散乱していたが、一瞬で地下基地にあったものが片付き、ガラリと雰囲気が変わる。
学園祭が終わった後の体育館ーーーと言えば、何となくだが伝わるだろうか?
ただ、メインウェポンのベレッタm92と、属性カートリッジ、サブウェポンのミスリル製コンバットナイフは常時装備するため【アイテムボックス】に入れてはいない。
そして……、今日は俺が指定した開戦日だ。あちらさんも準備をしていると思うが、全てを叩きのめすだけである。俺が残した宣戦布告を信じるかどうかは、あちらさん次第だが……あの男(豚)の事だ。多分、俺を捜索をしたと思うが結局は無意味に終わった。
「さて……行くか……!」
ーーーできる事はやった。
ーーー切り札も幾つか用意した。
ーーーあとは殺るだけ。
ーーーきっと大丈夫。
ーーーもしかしたら死ぬかも。
ーーー捕まえられる。
ーーーそうなったら凛は?
ーーー俺は?
ーーー拷問される……。
またあの時のように
「ハァー、ハァー……」
気がつくと、全身が小刻みに震えていた……呼吸荒くなり、足に力が入らなくなってくる。
「ーーーさん、エリスさん!」
絹音が何か言っているが、俺の耳には届かない。
消したはずの弱い自分。
忘れたと……乗り越えたと思っていた拷問の記憶。
体が徐々に冷たくなっていき、汗が滝のように流れてくる。
段々と意識が遠退く中、最後に脳裏に浮かんだのはーーーあの夜に見せた、凛さんの笑顔だった。
「……ッ!」
倒れる寸前で踏ん張り、なんとか持ちこたえる。
そうだ………、何弱気になってるんだ?約束しただろーーー凛さんを、
「独りにしないって……」
あの夜、俺は自分に誓ったーーー彼女を独りに……、孤独にさせまいと。
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まいど、四葉です!
「えっ?」と、思う所があったと思いますが……次回、その謎が明らかに!ーーーっと、勿体ぶってみましたw
次からは、しばらくエリスがいない間の出来事が明らかになります!カッコいい凛さん等を頑張って書きますので!w
次回の更新も土曜日の18時です!よろしくお願いします!




