その1:プロローグ
処女作です!
楽しんで頂けたら幸いです。
突然だが、皆さんは『白』という色をご存知だろうか?
雪や雲、ティッシュや紙……等々の色の事だ。「最後の2つは同じじゃないか」って? 気にしたら終わりだ諸君……エアーリード、空気を読もうぜ!(滝汗)
ゴホンッ……話が逸れたな。何故こんな馬鹿げた質問をしてるかと言うと、今俺がいる場所が四方八方『白』一色だからだ……自分でも意味不明な事を言っている自覚はある。だが、そうとしか言い表せないのだ。
右か左か、前か後ろか、上か下か……方向感覚が狂ってしまいそうになる。きっと宇宙で体験できる無重力とはこんな感じなんだと思う。
空間の継ぎ目は一切無く、そこにあるのは奥行きのわからない『白』だけ。
なぜ俺がこんな所に?ーーーと思ったが、答えは既に予想がついている……認めたくはないが俺は、
「死んだのか」
俺こと、村雨圭は死んだ……それはもう呆気なく。砂浜に作った砂の城が波に呑まれて跡形もなく崩れ去るくらい呆気ない最期だった。
農業が盛んなとある田舎町に、農家の長男として生まれた俺は、地元の高校にそこそこの成績で入学し。高校3年の秋ーーー収穫した野菜を乗せた大型トラックに轢かれて死んだ……つまりは事故死だ。
今まで、ニュースで報じられる交通事故を他人事だと思って18年間過ごしてきたが、まさか自分の死因になるとは……世の中どうなるかわからない。『明日は我が身』とはこのことだ。
「カゲロウ◯イズかよ……」
バーッと通ったトラックに引きずられる某超有名ボーカロイド曲のような最期だったな……思わず自分で自分に突っ込んでしまう。
「……ん?」
ここまで来てようやく。本当に今さらだが、ようやく俺は違和感に気付いた。
「死んだはずなの俺が何で自我を保ってる? なぜ声が出せるんだ?」
まさか死後の世界に心身共に来られる日が来ようとは……生きてみるものである。
魂だけの状態というアンハッピーセットにならなくてよかった。映画館でポップコーンだけを買って映画を観るようなものだ。
と言うことは既に三途の川をスウィミング&バタフライしてきたとでも言うのか?! 去年他界したクソばb……ゲフンゲフン、じゃなくておばあちゃんに会ってないぞ俺!
「おや、気が付きましたか〜?」
「?!」
気のせいだ……何か聞こえたがきっと気のせいだ、それが今まで聞いたことのないくらいの可愛い美声だったとしてもだ!
「あのー」
無視だ無視。こんな所にいるやつがまともな人間であるはずがない!
「ノックしてもしもーし! 無視はいけませんよ~!」
「無視しろ俺、無視しろ俺……って、なぜそのネタを!!……あっ」
いつの間にか実体を視認できたことに内心驚きながら顔を上げると、いつからそこにいたのかは分からないが、豪華な玉座に座った少女がいた。
なぜか、左脇にポテチを抱えて右手にはコーラを持っているが、今はあえて突っ込むまい。
それは置いといて、少女と言ったが訂正しよう……少女ではなく美少女だ。
エメラルドグリーンの大きな瞳、綺麗な砂金のような金髪をツインテールにした全体的に幼さを残すも、纏う雰囲気はどこか神々しくもある。
だが……まず一ついいか?
ビシッ!と、効果音が鳴りそうな香ばしいポーズで、指を突きつけて叫ぶ。
「フー・アー・ユー! 誰だよお前!?」
「誰とは失礼ですね! 人のこと指差しちゃいけないって、小さいときお母さんに言われませんでしたか?!」
「うるせぇ、余計なお世話だ!!」
訂正しよう、美少女ではなく残念系美少女だ。いきなり説教とか、本当になんなんだこいつ?
「聞いて驚くがいいです!私はなんと……女・神・様なんですよ!!」
2度目だが訂正しよう、残念系ダ女神だ。それにしても女神様……ね〜。
自然と目線がそのオーバーハングすらない絶壁(胸)に集まるのはしょうがないと思う。
「何ですかその目は! 人のむ、胸をそんな目で見るのは止めてください! セクハラで訴えますよ!」
だって……突然そんな事言われてもね〜?
「そういえば、ここどこだ?」
自称女神|(笑)のツッコミを無視して、疑問に思ってた事を聞く。
辺りは相変わらず白く、女神|(仮)の回りだけ少しキラキラしてるーーー様な気がする。 でも、俺はトラックに轢かれて死んだはず。
「ここですか? ここは私が作った空間ですよ〜」
さらっとすごい事言うな……そもそも空間って作れるのか? いったい何と何をクラフトしたんだか……。
「何で死んだはずの俺が、そんな所にいるんだ?」
「意外と驚かないんですねぇ……で、貴方がここにいる理由ですがー、そ……それはですねぇー……海よりも、谷よりも深あああぁぁぁぁああいワケがありm「良いから言え」あ、はいスミマセン。それがぁ~」
急に目が泳ぎだすダ女神様。その目尻には心なしか涙が溜まり、内股になりながらモジモジと上目遣いでこちらを見ている。その仕草に心がドキッと……、
(いや待つんだ村雨圭! 俺は間違っても変態と言う名の紳士ではないし、ロから始まってンで終わる不名誉の称号の保持者でもないはずだ!)
そんな俺の心の葛藤を無視して、目の前のダ女神は衝撃のカミングアウトを爆発させた。
「すみません! 私が間違って貴方を死なせてしまったんです!」
謝罪されたと思ったら、いきなりジャンピング土下座された。投げられたポテチとコーラは、何故か空中で止まっている……これがザ・ワ○ルドか!?
そんな頂上現象をよそに、
「ま……マジで?」
「……マジです」
神妙な顔で頷く女神……どうやらマジらしい。こりゃ、あれだ。お約束だな!
そこでだ、
「それで、これから俺はどうなるんだ?」
にやりと不敵な笑みを浮かべながら問う俺を、驚愕の眼差しで見上げてくるロリッ娘。
「えっ……許してくれるんですか?」
「ああ、間違いは誰にでもあるしな」
俺自身死ぬ前はちょっと抜けてるとこがあったしな、間違いとはいえ、死んでしまったもんはしゃーない。
だが流石に「これから地獄に行ってもらいまーす!」なんて言われたら怒るがな。 その時には、俺の100の必殺技が火を吹くぜ!
「あ、ありがとうございます!」
バッ、と勢いよく立ち上がり、角度45度の見事なOZIGIをされた……女神なのに軽い頭だな、おい。 その頭に詰まってるのはスポンジか?
「で?」
「は……はい!これからあなたには、私が担当する世界……つまり、あなた達が言う所の異世界に来てもらう事になります」
「マジか!!」
本日二度目の衝撃。
とゆーのも、俺は世間で言うオタクなのだ。
ライトノベル、アニメ、漫画、ゲーム等をこよなく愛していて、それらでもよく登場する異世界に俺は密かに憧れていた。
その異世界に行けるんだ、テンションも上がるのは仕方ないと思う……うん。
「それで、容姿はこちらで決めてもよろしいですか? 都合的に……」
ご都合主義か?
ん、容姿?
ゲームみたいに決められるものなのか?
「まぁー、よほど変なのでなければいいぜ」
自分のセンスを疑う訳じゃないが……な? 疑ってないよ!ないったらない! 大事な事なので二回言いました……繰り返します、大事なことなので二回言いました。
「それはもちろん!」
どんな感じになるか楽しみだ、ダ女神様のセンスを信じよう!
あれ……妙な悪寒が。
「それでは心の準備は良いですか?」
「あ……ああ、よろしく頼む(気のせいか?)」
この時の俺は知る由もなかった……この先に待ち受ける絶望を。
「それでは私の世界にご招待〜!」
そこで俺は意識を手放した。
私の作品を読んでくださり、ありがとうございますございます!!
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