Ⅵ:体内への侵入
ガトールークは、メーダゲートの前に立って、うろを凝視した。
うろの口がうごめき、がばっと、大きく開く。
今だ!
ガトールークは、うろの中に飛び込んだ。
「やった!
───…えっ、わっ!」
うまくいったと舌を巻いたが、飛んできたシードヴィッツにしこたまぶつかり、体勢を崩す。
しかも、地表に根がのぞいていた割には案外底が深く、彼は、ひどく尻餅をついてしまった。
彼は立ち上がろうとして、
「あいたたた…
まったく、なんだってんだ…
い、痛っ」
…再び、座りこんだ。
どうやら、腰を痛めてしまったらしい。
ガトールークは、上方を見上げる。
自分の入ってきたらしいうろが、はるか上に、小さく見える。
あんなに落ちたのかと、ガトールークはため息をついた。
…
「…え?!」
ガトールークは、自分の視野の異常さにようやく気がつき、はっと顔を上げた。
確かめるように、あたりを見渡す。
自分の真横に、収縮を繰り返して鼓動する、ぼんやりと赤紫に光る固まり。
そこから伸びる、何本もの筋。
その先に繋がる、青い半透明の袋。
そして、その袋のひとつひとつに、
─────四人の人間、ホビットの影!
ガトールークは勢いよく立ち上がり、
… しばし忘れていた腰の痛みに、うずくまった。
彼は自分の背中をさすって再び腰を下ろし、まだ握っている“腕”を見つめながら、思案する。
────いったいこのメーダゲートは、何のためにここに?
ただ単にシードヴィッツを作るだけでよければ、ここにする必要は薄い。
メーダゲートはどうやら弱くない魔物らしい、エネルギー集めには困らないだろう。
ならば、たまたまここに来たというのだろうか。
それにしては妙にやり口が悪質だ。
魔界を離れて暮らす非力なホビットたちに人間をとらえさせるなんて。
それ以前に、こんなにわかりづらい場所に隠れたホビットの村を探す方が難しい。
おそらく狙ってここに来たはずだ。
人間を狩るのがメーダゲート自身では、何かいけないというのだろうか?
「…ダメだ、わかんない」
ガトールークが頭をかきむしる。
彼は諦めて、
…それから、はたと思い立った。
手を組んで、唱える。
「ロー・フロート!」
ガトールークの体が、ふわりと風をまとい、宙に浮く。
これでとりあえず、腰の痛みを気にせずに移動可能だ。
ガトールークは手始めに、青い袋のひとつに近寄り、注意深く観察する。
まんまと“腕”につかまっていたなら、その先端の青い部分が膨らんで、こんなふうに収容されたのだろう。
この袋の中に入っている男────おそらくジムシーであろう彼は、眠ったような表情だ。
ガトールークは、親指の爪を噛む。
いったいメーダゲートは、彼らから何をエネルギーとして奪っているのだろうか?
少なくとも、肉体そのものでないことは確かだ。
不可思議な大樹の中で、ガトールークは首をひねる。
ひとまず彼はそこを離れ、今度は、拍動する固まりに近づいた。
おそらくこれが、メーダゲートの生命線だ。
どうにかして破壊してしまえば、この樹自体の活動は停止するだろう。
「でも…」
それだけではだめだ。
できることなら、石になった人たちも、元に戻したい。
しかし、そんなことが、はたして可能なのか。
いったい、どうすれば…
ガトールークは、うつむいた。
うねる“腕”の先端をぼんやりと見つめる。
…そして、
…眉間に、しわを寄せる。
─────その瞬間、
突如、床が大きく波打った!
ガトールークは、あわてて高く浮かぶ。
床はうごめくことをやめない。
そして壁から、あの“腕”が、無数に現れた。
それは間違いなく、ガトールークを見据えている。
「…しまった…!」
気づかれたのだ。
メーダゲートの“体内”に、異物が侵入してきたことに。
安易に魔法を使ったのがいけなかったのかもしれない。
ガトールークは、上に下に飛び回り、先刻この“腕”に破られたばかりのバリアを併用して、なんとか猛攻 を避ける。
しかし、無理だ。
このままではいつか、自分もやられてしまう。
なんとか打開策を見つけなければ!
しかし、焦燥は結論に追い付かない。
わからない、 どうすれば、一番いいのか…
彼が唇を噛んだそのとき、
“腕”の一本が、ガトールークの背中に振り下ろされた!
激しく床に叩きつけられ、彼は体を丸める。
青い先端が、そろって、ガトールークを向いた。
…ここで、終わりなのか?
ガトールークは歯ぎしりした。
…そのとたん、
…ふと、ロコの声が、耳によみがえる。
『ホビットはよわいから、まもってやるって。 でもネ、ふつかにいっぺん、“いけにえ”のにんげんを つれてこないと、ぼくたちを、“えねるぎー”にするっ て…』
そう、言っていたのだ。
おそらく、メーダゲートが。
ホビットたちが常用している、人語で。
彼は、この大樹のような魔物に話しかけるという発想がなかった自分を叱咤する。
ガトールークは、顔を上げて、叫んだ。
「待ってくれ、メーダゲート!」
《命が惜しくなったか、人間》
────声が、返ってきた!
《自ら我が内に入り込み、そのうえ命乞いとは、愚かしい限りだ》
強烈な重低音に震撼し、ガトールークはめまいがした。
床に手をついて、やっとのことで体を起こす。
「いいや、命乞いじゃない」
《なんだと?》
「だってここにいる人たち、
…まあ確かに石だけど、食べてエネルギーにするんじゃないってことは、
…おおかた、まだ完全には死んでないんじゃないかな、って」
《…ほう》
腕の狙いが、緩んだ。
《少しはできるようだな》
訊けば答えてくれる。
ガトールークは確信し、尋ねる。
「なあ、お前はどうして、ここにいるんだ?」
《魔界の命だ》
「…魔界の命?」
《この地域を我が軍の拠点にする》
「…軍?!
そ、それ、どういうことだよ?!」
大樹は、得意げに語る。
《我が国メーダブロードは、人間界に侵攻する。
そのために我は、ここに派遣されたのだ。
魔物を増やし、かつ人間のいない地を手に入れるためにな》
…
「…じゃ、イエローホビットたちを利用する目的は何だ」
《それは簡単だ、我が目立たぬように、ただそれだけだ。
ホビットならば、地中から正確に忍び込むことができ、人間の敵意も買わない。
まさにおあつらえ向きという訳だ》
ガトールークは、なおも訊く。
「いったい、人間の何をエネルギーにしているんだ」
《負の感情だ》
「負の?」
《そうだ。何の為に奴らを殺さずに石にすると思っている?》
メーダゲートは、言った。
《貴様はなかなか物分かりが良いらしい。
我の知能に組み込んでやろう。
世界を支配する快感に溺れるが良い》
ガトールークは、沈黙した。
─────…今にも、笑い出しそうだったのである。
なんて単純な魔物!
調子に乗って、手の内を、あっというまに、すべて明かしてくれた。
もうためらう必要はない。
今、メーダゲートは油断している────
─────チャンスだ。
ガトールークは、腰の痛みをおして立ち上がり、ふらふらと、鼓動する固まりに近づいた。
《どうした、喜びにうち震えているらしいな》
ずっと左手に握っていた、“腕”を、右手に持ちかえる。
《さあ、我が意志となれ》
右腕を、振りかぶった。
「…悪いな、メーダゲート」
《何だ》
「俺は、今のままがいいんだ!」
ガトールークは、力いっぱい、“腕”を、振り下ろした。
青くとがった先が、メーダゲートの心臓をとらえる。
《ぐあっ…
こ、これは…
貴様…なぜ我の…触手を…っ》
「拾ったんだよ、メーダゲート」
ガトールークは、微笑した。
「お前が落としていったから」
拍動を速めながら、しかし石化してゆく固まり。
生き物の石像をおおっていた青い袋は溶けてしぼみ、筋は切れて落ち、崩れる。
壁から現れた無数の腕が再びガトールークに狙いを定めるが、それらもまもなく、石柱と化した。
…しんと静まり返った岩壁の中。
上方から一筋、おそらくうろのすき間から、光がかすかに漏れてくる。
とりあえず、明かりを得るために、クリスタルをポケットから取り出した。
ガトールークは浮き上がり、ジムシーの石像のもとに近寄る。
…石になったままである。
他の三人と一匹も、戻る気配はない。
ガトールークは、うつむいた。
「…どうしたらいいんだろ…」
…途方に暮れていても仕方がない。
とにかく、まずはここから脱出しなくては。
ガトールークは体を浮かせ、もと来たうろのところまで向かう。
…確かにすき間はあるが、体の小さな彼がやっと通れるほどの空間しかない。
ホビットの長老はまだしも、四人を運び出すことは不可能だ。
ガトールークはポケットにクリスタルをしまい、
…狭いすき間に、両手を突っ込んだ。
「トワイライト・トゥエール!」
岩壁に、白い輝きが満ちる。
「光の加護を!」
ガトールークの、ただでさえ傷ついていた手が、しびれるように痛みはじめた。
しかし、ためらっている暇はない────
彼は、奥歯を食いしばった。
と、 ────そのときだった。
近づいてくる靴音。
ガトールークの耳元に、声が届く。
「ガトールークさん?! ガトールークさん、いるの?!」
…セレスティーナ?!
その声の主は、すぐそばにまで迫ってきている。
「ガトールークさん、この中にいるんでしょ?!
聞こえたら、返事をして!」
ガトールークは、両手から力を抜いた。
光が空間に融けてゆく。
彼は、声をあげた。
「セレスティーナ!」
「ガトールークさん! どこにいるの?!」
「樹のうろの中だ!」
まもなく、セレスティーナの顔が、すき間の向こうにのぞいた。
「よかった…!
探したんだよ、ガトールークさん!」
セレスティーナが、涙を浮かべる。
「僕のせいでガトールークさんが死んじゃったんじゃないかって、ずっと心配で…」
「何言ってるんだよ、俺はそんなに簡単に死なないぞ!」
ガトールークは、笑った。
彼は、続けて尋ねる。
「セレスティーナ」
「うん、何?」
「この下に、こいつにエネルギーにされた人たちが、石になってるんだ」
「…石に…?」
「ああ、この魔物を倒したはいいんだけど、戻らなくって…
どうしたらいいと思う?」
セレスティーナが、首をひねった。
「…僕はよくわからないけど、とりあえず、ここから出してみたら?」
「…ああ、そうだな」
「ちょっと待って、穴を広げるよ」
ガトールークがうろから少し離れると、セレスティーナが、槍の後ろで、岩を砕きはじめた。
彼は細身でかわいらしい見た目だが、魔族であることに変わりはない。
しかも、人間界では“鬼”と呼ばれ恐れられる、オーガ種である。
ガトールークなんかより、ずっと力があるのだ。
あっというまに、狭かったすき間は大穴に変わり、セレスティーナがひょっこり顔を出した。
「このくらいでいいかな?」
「ああ、助かったよ。ありがとう」
ガトールークは、右手を横に払った。
四人と一匹の体が浮き上がる。
ガトールークは石像たちを岩壁の出口へと向かわせ、セレスティーナがそれを受け取った。
終わりに、ガトールークも、ふわりと穴から抜け出した。
セレスティーナが、ガトールークを抱きすくめる。
「よかった…本当に、
ガトールークさんが、なんともなくて」
「い、痛ててて!」
「…えっ」
「せ、セレスティーナ!
俺あの、さっき腰打って…っ」
「え?!
ご、ごめん」
セレスティーナがあわててガトールークの体を手放す。
「…じゃ、やっぱり、どこかしら怪我して…
…もう」
「へへっ、心配かけてごめんな」
あきれ顔のセレスティーナに、ガトールークは、いたずらっぽく笑う。
…それから彼は、石像となった人間たちに、目をやった。
「どうすればいいんだろう…
生きてはいるはずなんだ、
でも、戻し方がわかんない…」
腕組みをして考えこむガトールーク、
────その背後で、突如、何かうごめく音。
「ガトールークさん、う、後ろ!」
彼はセレスティーナの一声で我に返り、身構えて、振り向いた。
…小さな黄色い体の生き物が、伸びをしている。
「あーあ、一体全体どれだけ眠っておったのじゃろ。
はあ、恐ろしい夢じゃった」
────!!!
ホビットだ。
石化していたホビットの長老が、動き出している!
ホビットは、上方の穴から漏れる昼下がりの光を背に浴びて、目をこする。
「…そうか…
わかったぞ、そういうことか!
あ痛っ」
「が、ガトールークさん、無理しないで」
もはやセレスティーナの忠告など、彼の耳には入らない。
「おじいちゃん、そこどいて!」
「な、なんじゃあ?!」
ガトールークは、ホビットの長老を抱え上げる。
左手を掲げて、残った四人を、外へと繋がる穴の下に移動させて、横たわらせる。
「あの、ガトールークさん」
セレスティーナが、耐えきれなくなって訊いた。
「…これって、どういうことなの?」
「日光だ」
ガトールークの笑みをはらんだ声が、弾む。
「皆、“眠って”いたんだ。
もちろん、メーダゲートに都合のいい形で仮死状態にされてたって言った方が正しいけどな。
でも、
…日の光に当てれば、目覚める」
光を受けてきらきらと輝き、体に色を取り戻す、人間たち。
やがてそれらは、ゆっくりと起き上がる。
「はっ…ゆ、夢?」
「な、なんだ?」
「俺たちどうしてこんなとこにいるんだ?」
「っていうか、ここ、どこ…?」
ガトールークは、小脇にホビットを抱えたまま、彼らに笑顔を見せる。
「お、やっと気がついた!
お前たち、森の中で気絶してたんだぞ?
このナイトが外に送ってくれるらしいから、安心しな」
四人は、安堵の表情を浮かべる。
セレスティーナが、ガトールークに目をやった。
ガトールークが、彼に、ウインクする。
セレスティーナは、うなずいた。
伝えないほうが、ホビットの一族、数人の人間、双方にとって幸せなこともあるのだ。
ガトールークが、繰り返して礼を言う人間たちを魔法で浮かせ、上方にある穴から、外に出す。
彼は、セレスティーナに言った。
「じゃ、あの四人、宜しくな」
セレスティーナが、首をかしげる。
「ガトールークさんは、どうするの?」
「俺は、ホビットたちに挨拶してから行くよ。
いろいろ無理も言ったしな」
「そう…
それじゃ、先に行くね」
「ああ、いろいろありがとな」
セレスティーナの体が、ガトールークの魔法によって風をはらんだ。
ガトールークはセレスティーナを送り出し、ホビットの村の方へ、きびすを返す。
「おい、若いの、放さんかいっ」
「あ、ごめんよ」
彼は気がついて、ホビットの長老を下ろす。
長老は、ガトールークを先導して、短い脚を繰り、歩いていった。
岩壁の一部と化したクリスタルは、再び土にいだかれ、白い輝きを取り戻していた。
「いやはや恐れ入った、まさか本当にあなたがメーダゲートを倒してくださったとはのう。
感謝の言葉もない」
ホビットの長老を筆頭に、ホビットたちが、ひざまずいた。
どうやら、この集落において、感謝を表す動作らしい。
ガトールークはしゃがんで、彼らに目線を近づける。
「そんなのいいんだよ、
…俺、
なんか、その…
…ちょっと、面白かったし」
頬を紅潮させるガトールークを見て、ドットが立ち上がる。
「面白かった、か…
…アンタ、マジで変わり者だよな」
彼は、付け加えた。
「…でも、アンタのそういうとこ、キライじゃないぜ」
「…ドット」
「アンタ、なかなかやるな」
「へへっ、ありがとう、ドット」
ガトールークは照れくさくて、思わず肩をすくめた。
「ガトールーク!」
ロコが、ガトールークの腕の中に飛びこみ、彼の胸に顔をうずめる。
「ガトールーク、ありがと!
ガトールーク、やっぱり、すごいネ!」
「いいや、俺、ロコがいなかったら、石になってたよ。
ロコが、メーダゲートがしゃべれるんだって教えてくれたから、やっつけられた」
「…そんなこと、おしえた?」
「うん、教えた」
「そうだっけ?
でもぼく、やくにたった!えっへん」
胸を張るロコ。
ガトールークは、ホビットを地面に下ろし、体を浮かせる。
「じゃ、そろそろ行くよ。
わがままきいてくれて、ありがとな」
「いかないで、ガトールーク」
ロコが、うるんだ目で、彼を見上げた。
「また会えるさ」
ガトールークは、ロコの頭をなでた。
「ときどき遊びに来るよ。
あ、お前の方からロッキンレイに来たっていいんだぞ?」
「いく、すぐいく!
ガトールーク、まっててネ!
ぜったい、いく!」
「ああ、待ってるよ」
「…うん」
ロコが、涙を拭いて、
…笑った。
「それじゃ皆、元気でな」
ガトールークは、ホビットたちの感謝の言葉を背に受けて、今はもう魔物の製造元でなくただの通用口となった、洞窟の最奥へ、浮遊しながら、向かっていった。
ガトールークは、ようやく地上に戻ってきた。
既に、陽が傾いてきている。
あまり寒くならないうちにさっさと戻ろうと、彼は、地面すれすれを浮遊しながら、歩みを速めた。
と、そのとき。
「ガトールークさん」
聞きなれた声が、彼を呼ぶ。
彼が声のする方を振り向くより先に、
「わ、…うわわっ」
ガトールークは抱き上げられ、ペガサスの鞍へと押しやられた。
「よかった、会えなかったらどうしようかと思ってたんだよ、ガトールークさん」
セレスティーナが、ガトールークの後ろに乗った。
「セレスティーナ、待ってたのか?
先に帰ってくれてよかったのに」
「毒食らわば皿まで、って言うじゃない」
申し訳なさげなガトールークを適当に座らせなおしながら、セレスティーナが、返した。
「ここまで来て、腰痛めたガトールークさんをほったらかしにして帰れると思う?」
「だから、ほったらかしでよかったのにって…」
「よくないよ!
だいたい、あんなふうにずーっと魔法で飛びながら帰るつもりだったの?
いくらなんでも疲れちゃうよ!」
「まあ、だって帰るんだし、多少疲れるくらい…」
「へー、そう」
セレスティーナが、ガトールークをまなざして、
…にやけた。
「…な、なんだよ、その顔」
「ぜーんぶジェニファントさんに言っちゃおーっと、
ガトールークさんが落っこちて腰痛めて立てませーんって、僕が一番に言うんだー」
ガトールークの顔から、さあっと血の気が引く。
「な…っ、お前、頼む!
それだけはやめてくれ!
いやほんとに、おおごとになるし、殴られるから!」
「嫌だよ、僕もう決めたんだもーん」
「やめてくれってば、セレスティーナー!」
赤みがかった空を、白銀のペガサスが一閃、東の空へと、駆けていった。