テスト勉強
更新するのが遅くなってすいませんでした。
先日やっとテストが終わりまして……今回部長のセリフに、軽く本音が混じってます。
「だぁー! わかんねー!」
私の隣で、カイトがへな~っと机に倒れ伏せる。
「もう数学やだ……見たくもねえ……」
「痛いほど気持ちは分かるんだけどね、やらにゃならんのだよ」
「なんで、テストなんてモンがこの世にあるんだよー!」
そう、とうとうこの時期がやって来ました。定期テストです。
この学校では赤点(40点未満)をとると「恐怖のカンヅメ」なるものが行なわれ、貴重な夏休みが大幅に奪われてしまう。
そのためどんなに勉強嫌いの人も、この時期だけはみんな死に物狂いで勉強するのだ。
……それは私たちも同じことで。
だからこうして部室に集まり、ノートと向き合っているわけです。
「数学ってさぁ、やる意味なくね? 」
完全にやる気を失くしたカイトが、シャーペンを口と鼻の間に挟みながら言った。
なんでその状態で喋れるんだろう……?
「因数分解とかさ、三角比とかさ、実生活で使わねぇじゃん。せいぜい使うのって、算数までだろ? 数学なんてやったところで────」
ゴンッ
「いっ……てぇ!」
カイトがシャーペンを落として、頭を抱え込む。
後ろには、分厚い辞書を持った瑠衣君が立っていた。
……かなり痛そう。
そして里香ちゃんが今の音にすごく反応してたんだが……。
「────ぁにすんだよ! いてぇじゃねぇか!」
『集中できない。こっちまでやる気失くす』
瑠衣君がタブレット端末をカイトに見せながら、冷たい目で見下ろす。
「だからって辞書はねえだろ!」
『丁度手元にあったから』
「絶対今の衝撃で単語がいくつか吹っ飛んだ……」
カイトはまだ辞書がヒットした場所をさすっている。
「俺の数少ない脳細胞ちゃんがぁー」
『大丈夫。人間て3%しか脳味噌使わないから』
「そういう問題じゃねーっ」
すると、ふと気になっていたことがあったので、聞いてみた。
「そういえば、カイトって意外に赤点取ったことないよね」
「おうよ! いつも40点台ばっか取ってるぜ?」
……それって逆にすごくない?
「俺ヤマはるの得意だからさー。俺って天才?」
『無駄な才能』
「いいじゃねぇか、赤点とってないんだから」
『いつか絶対とるね』
「いーや、俺は伝説の男になってやる!」
何の伝説だよ! という突っ込みはさておいて。
今まで黙々と勉強をしていた春馬君が、おもむろに立ち上がった。
そしてそのまま2人に近づくと────
ゴンッ
「いっ!? ────てぇッ!」
頭を抱えてうずくまる2人と、両手に分厚い参考書を手にして立っている春馬君。
こんな時でも声を出さないのは、さすが瑠衣君だと思う。端末落としてるけど。
そして里香ちゃん、もう目輝いてますけど。
「……やろっか?」
あくまで笑顔で。なのに半端無い威圧感。
「……すみません」
瑠衣君も、黙って頭を下げている。
そう。この部活で一番怒らすと怖いのって春馬君なんだよねー……。
うん、黙ってやろう。
この後2人はものすごい集中で勉強を行い、カイトはなんと数学で80点台をとりましたとさ。




