桜庭悠の一日(シーナ視点)
アル視点の裏側です。
シーナのキャラがかるく変わってしまった気が……。
せっかく気持ちよく寝ていたのに、目覚まし時計のせいで起こされちゃった。
ああ、眠い~。
<おい、起きろ!>
アルの声が、ガンガンと響いた。
<うるさいよぉ。シーナ起きてるもん>
<テメェじゃねぇよ!>
何でアルは朝なのにこんなに元気なんだろ?
いっつも不思議。
<さっさと起きろやぁ!!>
うう……。
うるさいよぉ……。
なんでみんな、高校に通うんだろう。
だって義務教育じゃないんでしょ?
なんでみんな、テストでいい点取ろうとするんだろう。
低い点数取ったからって、定期テストじゃなきゃ卒業できるよね?
よくわかんない。
シーナが普通じゃないからそう思うのかなあ?
わかんないから、寝よっ。
目が覚めたら、まだ授業中だった。
しばらく先生のお話を聞いてたら、また眠くなっちゃったから寝ることにした。
次に目が覚めたら、部活中だった。
カイトの話がつまんなかったから、まだ寝てることにした。ぐう。
寝てる時、よく夢を見る。
部活のみんなといる夢や、教室で友達とおしゃべりする夢。
でも、現実と絶対に違うことがある。
それは、シーナの思ったとおりに体が動かせること。
シーナの思ったとおりに喋れて、シーナの思ったとおりに動ける。
周りも、悠ちゃんじゃなくてシーナとして扱ってくれる。
悠ちゃんが多重人格ってことを知らないクラスのお友達も、ちゃんと「シーナ」って名前で呼んでくれる。
それはシーナの世界。
シーナが体を持って生まれてきたら、こうなったんだろうな、っていう世界。
だからシーナは、寝るのが好き。
悠ちゃんやアルも知らない、シーナの秘密。
あ、悠ちゃんがそろそろ寝るみたい。
また明日も、いい夢見れるといいな。
じゃあ、おやすみなさ~い。
悠とシーナの絡みが少ないのは、シーナがいつも夢の世界に行っているからです。
決して忘れているわけではありません。……たぶん。




