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『玉蹴り』・・・大雪様著


希子は家事がダメだ


洗濯も料理も掃除も一切合切全部ダメ


しかし、そんな希子にも特技がある


玉蹴り


「ふむ……運動が好きという事か」

「いや、希子の玉蹴りは」


灰が頷くアルファーレンに真実を教えようとした時だった。


向こうから悲鳴があがる。


「っ?!恵美っ」


遠くで、金持ちの馬鹿息子達に囲まれた恵美と理恵が居た。無理矢理つれて行こうとする男達の顔は欲望に染まり、いかにもこれからいかがわしい所につれて行きますと全身で物語っていた。


私の宝を――


アルファーレンはここが海上である事も忘れ、力を解放しようとした


その時だ


ゴス


金持ちの馬鹿息子の一人が床に崩れ落ちる。


ゴスゴスゴス


ドスゥっ!


他の馬鹿息子達も次々と倒れていく――股間を手で押さえながら


そうして最後の一人になる


「くっ!それ以上近づくなっ」

「恵美っ!」

「きゃあっ」


男が恵美を盾に相手に怒鳴り散らす。

だが、それは何の意味ももたらさなかった。


「ぐはあっ!」


股間をガードされたら別の場所



恵美よりも身長の高かった事が災いしたその男は、見事に顔面に蹴りを入れられ後ろに吹っ飛んだ。


そしてトドメの


ゴスゥ


「ぐはぁ!」


股間蹴り


これで当分は使い物にならないだろう


「………………」


黙りこくるアルファーレン


もしかして、いやもしかしなくとも希子の特技って


「希子の玉蹴りは相変わらず凄いですね~」


やっぱり


見事に金持ちの息子達の股間を蹴りまくった希子は、茫然とする恵美と理恵をよそにこちらにすたすたと歩いてきた。

たぶん、彼女にとってはとりあえず目の前に不快なものがあったから蹴り倒して道を作っただけという感覚だろう。


だが……


いまだ床に倒れもんどりうつ男達に、アルファーレンは不憫さを覚えた。


「希子って、たとえどんな体勢、どんな状況からでも華麗に玉蹴りをするんですよ」


ぼんやりとしてたら蹴られますよ


眼鏡をかけた顔で微笑む灰にアルファーレンはまるで化け物でも見るようなうんざりした様子で言った。


「よく一緒に居られるな」

「慣れてくると可愛いですよ?それに長い付き合いですから」


という事は、慣れる前は蹴られていたという事か


「それはどうですかね」


これでも要領はいいんですよ


そう言う灰の笑みに、アルファーレンは薄ら寒いものを感じた。


希子


境木 希子


家事の破壊神たる彼女は、男達の大事な一物も時には破壊する


但し、それは男達が欲望のままにふるまった時だけだが


因みに、その後アルファーレンや榊も愛する少女に欲望のまま特攻しかけて見事にその強烈な一撃の洗礼を受けることとなる


そして


「なんでお前だけ攻撃されないんだ」

「いえ、されましたよ。かわしましたが」

「かわした?!」


驚くアルファーレンと榊に萩波はにこりと笑った。


「一応、これでも神なので」


さすがは神


魔王と影の総帥は腐っても神なのだと改めて認識したのだった


しかし――実は萩波が希子の攻撃をかわせたのには理由がある


それは、己が狂っていた時に逃げ出す妻が最終手段として股間蹴りを行った事


その時には見事にその一撃に倒れた事


その記憶から、その攻撃に対して敏感となっていたがゆえに、その素晴らしい学習能力によってほぼ無意識に攻撃を避け切れただけだったりする


つまり、偉大なる神とて一度は必ずその餌食となっているのだった(合掌)



終わり

悶絶。

それ以外に何の感想があるだろうか・・・。

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