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『料理は兵器』・・・大雪様著

先日の某パンマンの感想を!!


果竪――その姿を見てみたいいぃぃぃいっ!

という位に、大根マンの衣装を着た果竪の描写に思わずパソコンの前でもんどりうってしまいました!!

でも私にはそれを絵にするだけの力がないという……誰か描いて下さいと叫びたいぐらいです!!・・・以上大雪様コメント抜粋。



 ・・・んで、大雪様の許可をいただけたと言うことなので!

 先日の某パンマン衣装を着た果堅のイラスト激しく求む!

 さくらも絵師様、激しく望みます・・・。

「がはぁっ!」



極限まで見開かれる瞳


口から流れ出る大量の唾液


喉をかきむしり、うめき声が漏れる


そしてそのまま彼は倒れ動かなくなった




魔界の偉大なる魔王暗殺――




「いや、生きてます」


泡吹いてるけど


と、蒼麗が美貌の冷酷魔王たるアルファーレンの口に解毒剤を流し込む姿はどう考えても色々とおかしい。

そんな彼の手から、半分残ったクッキー?がこぼれ落ちた。


それは床へ落ちると、ジュッと音を立てて溶けていった。


その時点でどう考えても食べ物ではない


「凄いですね……この毒性、しかも無味無臭。裏市場に出回れば多くの方達を暗殺できます」


そう言って蒼麗から太鼓判を押されたクッキーだが、今のが最後ではない。


まだ机の上に沢山山盛りとなっている。


「今回は上手くいったと思ったのに」

「希子、だから作るのはやめろって言ったよね?」


その殺人クッキーの創作者である希子に灰は強い目眩を覚えた。


「ってか、何を入れたのよ希子さん」


理恵の質問に希子がう~んと考えながら材料を一つずつ呟いていく。


「小麦粉と砂糖と塩と」


うん、そこまではいいだろう。


「刺激的な味にする為にハバネロ千個」


もはや人間の食べ物ではない!


いや、それどころか全種族にとっての食べ物ではないだろう。

恵美に良いところを見せようとした魔王様の鋼鉄の胃袋を打ち砕いたのだから。


さすがは希子


彼女の家事洗濯は下手な伝説の剣よりもよほど破壊力がある。


たぶん、勇者一行なんぞより、希子一人で乗り込めばあっという間に魔王城は壊滅するだろう。


「とにかく廃棄です」


そう言って、灰はそれを火にくべていく。


「く……海に投げ捨ててしまえ」


蒼麗特性の解毒剤にてようやく意識を取り戻したアルファーレン。

いつもとは違い、その憔悴しきった面差しにアマレッティとリアナージャが心から心配する。


「海はダメですよ」


灰が魔王様に反論した。


「なんだと?」

「よく考えて下さい。海の生物が死滅するじゃないですかっ!」


希子以外の全員に衝撃が走った。


「しかも希子の料理の毒性は半永久性なんです!たとえ食べたのが一部の生物でも、それをまた食べた別の生物が死に、それをまた――という風にどんどん積み重なっていく!そして食物連鎖の頂点に立つ生物はその毒性によって魔物よりも恐ろしい化け物へと変化する筈ですっ!」


それはもはや人間界のどんな兵器よりも恐ろしい物質。


「なんて事だ……」


がくりと項垂れるアルファーレン。

しかしその横顔は項垂れていても酷く麗しい。


「ちょっと刺激的な味をプラスしただけです。他には……手が滑って洗剤いれましたけど」


手が滑って?!


「でも、良い匂いの洗剤だから風味付けにいいかなって」


因みにその洗剤は


塩素系漂白剤


「それだけじゃないだろ。他にも絶対に色々と入れた筈だ。オーブンに入れた時に暴れまくった挙げ句、思い切りクッキーと目があってしまったんですからね」


止めろよその時点でっ!


しかもクッキーと目があった?!


「灰、疲れてるんだね。クッキーが暴れるわけないじゃん」


確かにそこは希子の言うとおりだろう。

クッキーと目が合うなんてそんな馬鹿な事


リアナージャは触るのも嫌だったので、クッキーの山に視線だけを向けた。


やる気のない死んだ魚のような目がリアナージャの視線とかみあう。


「………………」

「うわっ!リアナージャ様どうしたの?!」


突然しがみつかれたばかりか、ぶるぶると震えるリアナージャに果竪はクッキーの山に目を向ける。


「何もないみたいですけど……」

「あれじゃないですか?心の綺麗な人だけにしか見えないパターンの」


なら魔族であるリアナージャには当然見えない筈だ


なんていう突っ込みは、果竪と蒼麗には通用しなかった。


「上手く出来たと思ったんですよ~。だから、船員の方達にも配って」

「逃げろ船員どもっ!」


それまで固まっていた榊が愛するお嬢様を抱きしめたまま、携帯電話に向って叫ぶ。


なんて事をしてくれたんだ


んな事したら誰がこの船の舵を取るんだ


というか船が沈むっ!


「大丈夫ですよ、海は私の支配が及びますから」


寧ろ支配下である凪国国王たる萩波がにこりと笑った。


「そもそも、料理は新しいものを生み出す技の一つと言われてるし」


それを通り越して新しい兵器を作り出した


「というか、魔王様は弱すぎます」

「なんだと?!」


希子に弱者呼ばわりされたアルファーレンを中心に怒気が渦巻く。

しかしそれをものともせずに希子は言った。


「世界最強の魔王でありながら、たかだか人間が作ったクッキーを消化できないなんて事がある筈がありません!本物の魔王なら美味しく食べてにっこり笑えます!出来ないなんて、エセ魔王だからですっ」



エセ魔王――



偉大なる世界最強にして最恐たる美貌の魔王をエセ呼ばわりした希子に、アルファーレンが衝撃を受ける。


「凄いわ」

「世界の魔王陛下にあんな事が言えるなんて凄すぎます」


理恵と恵美がごくりと唾を飲む。


もはや希子は全人類を超越した新人類と言ってもいいだろう。


「くっ!私はエセなどではないっ!本物の魔王だっ」


昔は特に王の地位になど拘っていなかったアルファーレンが、この時初めて魔王の地位に拘った瞬間だった。


「あ、まって!」


心優しい恵美が止めようとするも、それよりも早くに机の上に載っていたクッキー皿を奪い取り中身を猛スピードで食べきる魔王様。

その食べ方は高速ではあったが、思わず見入ってしまうほどの品と美しさがあった。


「アルファーレン兄貴……」

「勇者じゃ……お主こそまことの勇者じゃ」


互いに涙を流しながらアマレッティとリアナージャがアルファーレンを称える。

というか、魔王なのに勇者と称えられている時点でナニカが違うのだが。


「ふっ……」


最後の一枚を口の中に放り込み咀嚼する。


食べきった


これで自分は――


その後、アルファーレンが意識を取り戻したのは医務室のベッドの上。


しかも一週間経過した後の事だったという


境木 希子


魔王すらもICU送りにする彼女の家事洗濯はもはや人類の最終兵器かもしれない



終わり

希子さんのクッキーは、黒光りして飛ぶやつに対する最終手段ではなかろうかと・・・。魔界の魔王様を再起不能に出来るのだから、Gの付く憎いヤツに効果大では・・・。

ああ、楽しかった!大雪様、ありがとうございますー。

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