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愛と正義のひーろー! 3・・・さくら書く

 「愛と正義のひーろー! 大根!うーまん!」

 白いワンピースに身を包んだ少女が、緑のロングブーツに包まれた足を大の字に開き、地を踏みしめると、流れるようにポーズを取った。

 「もしもーし、果堅さん。なぜにポーズを決めるのですか・・・?」

 「オヤクソク!」

 「はあ、さようで・・・」

 理恵が突っ込みを入れるも、いい笑顔で乗り切った果堅が、さわやかスマイルを魅せた。

 きらり輝く、萩波にだけ渾身の一撃を食らわせる魅惑のスレンダーボディ。まっ平らな胸を飾るのは、職人技としか思えない大根のマーク。細い腕と細い足を包むのは、繊細なできばえのドレススーツだった。

 ・・・それを傍で見上げる真っ白一色、けれども内面真っ黒のある意味商標に偽りありの玉英さん。

 泣いて逃げる果堅を捕獲して作らせた(作ると約束するまで責めあげたらしい)、「果堅お手製の愛する玉英の体にぴったり合った魅惑の愛情スーツ」(こう言わないと玉英スネル)に身を包んでいる。

 「このテザワリ、このホウセイ、かじゅノアイジョウガコモッテル・・・」

 今日もよだれを垂らしつつ、見上げる先は・・・果堅。

 「あのミジュクなカラダをイカニシテかいはつスルカガわたしのシメイ」

 囁く声は悲しいかな、側にいた理恵にしか届かなかった。・・・果堅に聞こえなかったのはこれ幸い!

 「使命違う!」

 すかさず突っ込むも、玉英さんたら、繊細な白魚のような手をわきわきさせて、淫靡な想像を・・・想像だからね! かき立てる。理恵は思わず腰をくねらせた。

 「オニイサマのミジュクモノ。ワタシナラかじゅヲ気持ちヨクデキル。デモ、ナカセタクナルきもち、ワカル・・・」

 その指、果堅の何処に突っ込むおつもりですか、その舌先、何処に落とすつもりですか、玉英さん・・・。

 その質問は投げかける前に、玉英の淫靡な微笑の前に消えうせた。

 「かじゅナイタカオイチバン」

 「この子、なんかちがうぅ!」

 理恵は玉英には逆らわないようにしようと、心に誓った。

 

 「愛と正義のひーろー! トマトレッドちひろ!」

 真っ赤なワンピに身を包んだ美少女が、果堅をまねしてポーズを決めた。流れるような一連の動き。きっと夕べも夜なべで練習していたんだろう・・・。

 「オウランに頼んでビデオだってまわしてポーズのチェックしたのよ」

 その後オウランに、こんなポーズが良いとか、あんなポーズがいいとか言われて、気が付いたら、おいしく頂かれてたけど。いや、うにょごにょ。

 真っ赤に染まった可愛い千尋を、理恵は見下ろした。

 「ちいちゃん・・・もどってこーい」

 しかもオウラン君ったら、油断も隙も無いね!

 何されたのか分かるわ。ちいちゃん。

 その、首筋の赤い点々で。・・・みーんな大人の階段上ってるのねー・・・。


 「愛と正義のひーろー! らいすぱんまん! ぇ、と。名前続けた方が良いかしら? 榊」

 一生懸命みんなを真似するも、いかんせん、勢いが足りない。優雅なのだが、切れが無い。

 しかも少し動くたびに、スカートの裾が翻って・・・雪那は困ってしまうのだ。

 「雪那、それ裾短すぎる。誰の趣味?」

 などと言わずもかな。な事を呟いた理恵だった。


 犯人はこいつだ。間違いなく。

 「お嬢様、そのスレンダーながらも、溢れる色気! この榊、今ほどお側にお使えしていて本望だと思ったことはございません!」

 ・・・榊さん。

 麗しの美貌がかすむほど、興奮しまくってますよ。なんか目線がやばいです!

 「ゆ・・・雪那ー!!!逃げてーっ! 超、逃げてーっ!」

 捕まったらひん剥かれて、嘗め回されそうな勢いだ。

 「ああ、いけない。お嬢様、わたくしとしたことが、小道具のひとつを忘れてしまいました・・・ささ、ご一緒に取りに参りましょう?」

 小道具?某パンマンに小道具なんてあったっけ?

 某パンマン号なんて、小道具じゃなくて大道具よね?

 「赤い縄が無いといけませんよ。丁寧にかわいらしく拘束して差し上げますから・・・」

 「ひいいいっ!!!雪那あああっ!逃げてー!」

 なんか違う小道具だったよ! ってかそれ小道具じゃないから!

 絶対なんか違うものの小道具だからあ!

 雪那の腰をさり気ない手つきで抱き寄せると、エスコートしながら館へ向かう榊の後姿に、理恵が待ったをかけた。

 が・・・。

 にっこり微笑んだ榊の微笑みの前に、あえなく石化してしまい、阻止が適わなかった。雪那はと言えば、榊に魅入られたように、榊の眼差しに囚われている。だめだありゃ。

 多分十八禁の世界に突入するのは間違いないようだ。

 

 と、そこへ。

 「理恵ちゃん、理恵ちゃん、似合う?」

 癒やしの存在、恵美が更衣室から飛び出してきて、くるりと一回ターンした。

 「ごっふうっ!!」

 理恵はクリティカルヒットでダメージを食らった。

 クリームイエローの淡いワンピースドレス。裾はAラインで自然な広がり。ロングブーツもクリームイエロー。太ももの真珠の艶めきが垣間見える、絶対領域。背中に流したマントの色も淡いクリームイエロー・・・限りなく白に近い配色だ。

 そしてつややかな長い黒髪は、頭の両脇でツインテール・・・ご丁寧にカール済み。誰がこれを仕掛けたんだ! 理恵はプルプルしながら、恵美の姿を凝視した。眼を離したらもったいない! 網膜に焼き付けて、脳みその皺一本一本にまで刻み付けてやる!

 仕掛けた人に一言言ってやりたい!

 「ーーーあんた、神だ!」

 空に向かって一声。

 「理恵ちゃん?」

 恵美が小首をかしげて理恵を見上げた。

 その小動物の動き!

 「た・・・たまらん・・・」

 理恵は本日何回目かの恵美の仕草で絶頂を味わった。


 そして。

 感激にプルプルしている恵美と果堅(引っ付いている玉英は無視の方向で)と、チヒロと、黒いつややかな皮製のワンピーススーツに身をつつんだ理恵。

 彼女達の前にはきわどいボンデージスーツに身をつつんだ明燐の姿が。

 ご丁寧に皮のバラ鞭持参。・・・何も言うまい。

 「だめだめ! 切れがないわ! そこはもっと、小悪魔的に!」

 「某パンマンモノに、小悪魔的いるの!?」

 涙目の理恵に、恵美と果堅が頷いた。真っ白に燃え尽きた風情の理恵の姿が哀れだ。

 そして、軍隊の鬼を垣間見せる彼女、明燐。

 「そこはこう!」

 腰を回してシナを作り、下僕を見下すように目線は上から! 理恵殿違う! チヒロ殿、もっと魅惑的に! 胸は張り、でも張り出しすぎず、絶妙のラインを心がける! 果堅・・・様は、玉英さまの言うとおりに! 「ふぎゃああああっ!」

 そして・・・

 「「右足を腰から差出し、魅惑的に微笑む!」」

 恵美と明燐の声が重なった。

 「そうそう、恵美殿、よくご存知ですね!」

 華のように明燐が微笑んだ。それにはにかんだ微笑を向けて恵美が笑う。

 「ええ。むかし、誰かにそう教わったような・・・誰だったかな~・・・」

 霧の向こうに隠された何かを、思うような眼差しで、恵美は遠くを見た。

 「魅惑の太ももで男を撲滅できるようになるまで、特訓しますからね! さ、理恵殿、もう一回!」

 ぱしんっと鞭が走った。

 


 胸をあえがせ、いい笑顔の明燐が、仄かに染まった顔を上げた。

 ものすごく淫靡だ。ベッドの上なら似つかわしい表情なのだが。

 「良く出来ましてよ! 紛れもないS性を持った女王様の出来上がりだわ!」


 「女王さまちがいますぅっ!!!!」

 理恵の涙声が木霊した。


 「えーと、明燐さん、女王様製造じゃなくて、私達の目指すところは、某パンマン。愛と正義のひーろーなんですが・・・」

 恵美が至極まっとうな言葉を口にした。

 その言葉の意味するところを理解した明燐は、引きつった笑顔を恵美に見せると。

 「大差ありませんわ!」


 ・・・開き直った・・・。


 「・・・ひーろーモノニハ、アクヤクがヒツヨウヨね・・・めいりん。オニイサマニレンラクヲ」

 その呟きを、玉英の腕の中で喘いで(!?)いた果堅が拾った。

 慌てて脱兎のごとく駆け出す、半裸の果堅を、明燐の鞭が再度拘束する。

 「いやーああああ、萩波こわいいいいっ!」

 「うふ。ウフフフ。セイギノひーろー、かじゅヲタスケテ、カンシャシテモライマショ」

 カンシャのお礼は、ベットで返してくれればいいから。ね? 果堅・・・。


 

 果堅の明日はどっちだ!


 あ、でもこのままだと、美少女戦隊バーサス王様・魔王様って言うより、萩波と玉英の一騎打ちのような気が・・・します・・・。

 ああ、今日もアルファーレンは出れなかった・・・。間違いなく玉英最強。兄ちゃんがんばれー。


 

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