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episode4 模倣の眼

~イベント前日~


無月「( 。- -。)zzZZ」

ぐっすり眠っている無月。


謎の爺さん「これ、起きんか、武の鳥に月と書いて、鵡月!」


鵡月「(๑º ㅿº)ハッ!!」

驚き飛び起きる無月。


鵡月「ふぁ~、お爺さん誰?」

謎の爺さん「ワシはお主の家系、犬星家の初代当主『犬星神月』じゃ、お前さんからすれば、遠い遠いご先祖様じゃな」

鵡月「( ゜д゜)ポカーン」

神月「驚いたフリはやめなさい、お主は適応能力が高いじゃろうが…」

鵡月「バレたか…流石は初代当主、恐らくこれは現実ではなく、俺の夢の中なんだろう?」

神月「察しが良くて助かるわい、そうじゃこれはお主の夢じゃ」

鵡月「(見るなら爺さんじゃなく、好きな子とかを出してほしいもんだ)」

神月「お主、わかっていてわざと心の中で喋ってるじゃろ」

鵡月「(チッ、バレたか)」

鵡月「ワシをおちょくるとは大した奴じゃな…」


鵡月「それで、その初代様が俺に何の用なんですか?」

神月「単刀直入に伝えよう、お主に力を授けに来た」

鵡月「力?俺には力なんて必要ないと思うけど」

神月「確かにお主には危機を切り抜けるだけの才能と力を持っておる、じゃがな、それだけではどうしようもないことが、この先、起こる可能性がる」

鵡月「どうしようないこと?」

神月「今の日本は負の連鎖に陥っておる、隣国の動きも実に怪しい、それに加えて過激思想を持つ活動家の存在じゃ、そ奴等を相手する時、お主個人の力だけでは解決はできん」

鵡月「( ˙ω˙ ).。o」


神月「じゃから真面目に答えなさい」

鵡月「仕方ねぇ、その授けるという力の種類と数、メリットとデメリットを教えてくれ、それさえわかれば後は俺が試行錯誤をして役立てる」

神月「(やはり、この子は我が家系では珍しいタイプじゃな)」

神月「力の種類は現代風で例えるなら『魔眼』じゃ、左右に2つずつ、計4種類の力じゃ」

鵡月「なるほど、『魔眼』か」

神月から魔眼4種の詳細をしっかりと聞く鵡月。


鵡月「よし、これで力の把握はバッチリだな、もう起きてもいいか?」

神月「まぁ待て、少しだけ話をしようではないか」

鵡月「話って、俺には起きてやることが山ほどあるんだが…」

神月「まぁ聞きなさい、我が『犬星家』であるお主が今の任に就くに至ったのか、何故お主に重圧がかかっているのか、その理由を話そう」

鵡月「わかった」

神月「その昔、ワシの後継者、つまりは二代目犬星家当主、『犬星堅馬』が武神を裏切り、犬星家を失楽させた」

神月「その後、代々犬星には『忌子』が生まれるようになった、お主の血筋じゃとお主の祖父と父親じゃ」

鵡月「なるほど、神罰系とは睨んでいたが、そこまで昔の因縁が絡んでいたのか…」

神月「その重圧をお主に背負わせるのは心苦しいが、武神に二代目が犯した罪を許してもらうために、犬星の未来を守るため、お主には様々な問題を解決しもらい、この国を再建してほしい」

鵡月「(お腹すいた)」

神月「まったく、マイペースな奴じゃ、それでやってくれるか?」

鵡月「やる気がないなら、力の詳細をわざわざ聞いたりしないさ、後は俺に任せて爺さんは天の上から茶菓子でも食べて見守っててくれ」


神月「(その自信はどこから湧いてくるのか…面白い奴じゃ)」

神月「それでは、犬星を頼んだぞ、我が子孫よ」

鵡月「(๑•̀ㅂ•́)و✧グッ!」


眩い光が差し、鵡月は目を覚ます…。

~現代~


ギャラリーA「『クロスゴマ』の試合、凄かったなぁ俺も買って回してみたいわ♪」

ギャラリーB「有名アーティストが主題歌歌ってたり、芸能人でも遊んでる人多いみたいだぜ」

クロスゴマは新シリーズに入り、前シリーズに続き、日本の有名アーティストがアニメ主題歌を担当している、カッコいい曲だからFORTUBEで一度検索してみてほしい。


無月「ニコニコ(*´꒳`*)」

陽月「(ホント、真剣な顔してる時とのギャップが凄いわね)」


銀髪の帽子娘「そういうところが可愛いんですけどねぇ」

陽月「Σ(・ω・ノ)ノ!あ、あなた誰!?」

銀髪の帽子娘「あぁすみません、私は犬星葉瑠(いぬぼしはる)と申します」

陽月「犬星?」

無月「葉瑠、何でここに?」


葉瑠「そんなの兄さまが活躍するところを激写するために決まってるじゃないですか!」

無月「( ̄∇ ̄;)」

葉瑠は最近話題になっている、『ネットアイドル』の事務所に勤めていて、弟と同じく芸能活動をしてる。

葉瑠「それでぇ、隣の女性は誰なんですかぁ~(*σ・ω・。)σ」

無月「今回、このイベントの警護で一緒になった仲間だよ」

陽月「(まぁ気付いてないよね…)」

無月「(俺の推理が外れていたらの場合だがな)」


無月「まさか、東京から一人で来たんじゃないだろうな」

葉瑠は現在、都内で一人暮らしをしていて、無月は日頃から心配している。

葉瑠「もぉ~兄さまは心配性なんだから~、先輩達と来てるから大丈夫ですよ~♪」

無月「せ、先輩…」

お嬢様っぽい破天荒な娘「オーホッホッホ、見つけましたわよ~、葉瑠さん」

無月「(う、噂をすればやな)」

彼女は『百千万億都話(つもるとわ)』、葉瑠の先輩で後輩の葉瑠とは旅行に行く仲だ。

最近は特にネット活動を頑張っており、人気も高い、ただ頑張り過ぎていてたまに心配になる。


お団子の帽子娘「都話はホント、騒がしいねぇ~」

無月「君も来てたのか」

お団子の帽子娘「よ、久しぶりYO_〆(-∀-o)」

彼女は柏木那虎(かしわぎなこ)、同じく葉瑠の先輩で面倒見のいい子だ。

俺の知る限り、葉瑠とかなり波長が合っている子な気がする。


無月「で、とある皇女様は来てないのか」

葉瑠「まぁそりゃね」

無月「まぁそりゃそうだわな、ここ最近調査をしていて、某デパートの寄せ書きに『皇女様と月兎さんのことが大好きです!』ってファンの書き込みを見かけたと伝えておいてくれ」

葉瑠「兄さま、忙しいのにまた気を遣って…」

葉瑠・都話・那虎「(多分、何かの用事で近くを通ったついでに確認してくれたんだろうなぁ)」


陽月「犬星さん、そろそろ『赤の刹那』のイベントが始まります」

無月「あ、もうそんな時間か、スマン3人とも、俺達そろそろ行かなきゃ」

葉瑠「大丈夫ですよ~、お仕事頑張ってください~♪」

葉瑠「(そのイベントには私達も行きますから)」

葉瑠・都話・那虎「(ΦωΦ)フフフ…」


『赤の刹那』とは、イケメン男性声優さん達が集う、新選組を元にした時代劇風アニメだ。

史実にはいないアニメオリジナルキャラクターを採用しつつ、史実と若者の葛藤を描いた大人気アニメで現在かなり注目を集めている。

この『赤の刹那』のイベントが2日目のメインといった感じだ。


無月「ほぉ~凄い人数だな」

人気男性声優さん達が集うだけあって、女性ファンで溢れかえっていた。

芯のある声の男「う~む、人が凄くてステージに進めない…」

無月「あ、あれはもしや」

芯のある声の男「r(-◎ω◎-) 考え中.....」

無月「演者の方ですよね?僕がバレないように先導するのでステージに向かいましょう!」

小声で喋りかける無月。

芯のある声の男「き、君は、そうかありがとう」


彼を無事ステージ裏まで先導する無月。

イベントスタッフ「犬星さん、優野さんを連れてもらっちゃって、ホントありがとうございました~♪」

優野「人が多くて困ってたんだ、本当にありがとう」

彼は優野勝矢(ゆうのしょうや)、『赤の刹那』でとあるキャラクターのCVを担当している、人気男性声優さんだ。

ちなみに無月が小学生時代からハマっている『戦略王』5代目主人公のCVを担当していて、無月にとっては馴染み深い人物の一人である。

無月「それでは、僕はこれで、イベント頑張ってください!」

優野「ありがとう、警護方よろしく頼むね!」

無月「(*´꒳`*)/ハイ!」


『赤の刹那』のイベントが始まる。

プログラムは順調に進行され、男性声優さんと剣の道のプロとのチャンバラ対決という、少し変わった企画に移る。


司会「さぁ、それではいよいよ、ステージ内に設置された専用ステージでの、チャンバラ対決に移行したいと思います!」

葉瑠「(この流れはもしや、兄さまの活躍が見られるのでは)」

那虎「この子、またなんか妄想しとるな」

都話「ですわねぇ」


陽月「(あの3人、めっちゃ楽しんでるわね)」

無月「じー(´◉ω◉` )」

陽月「犬星さん、何故ステージを凝視しているんですか?」

無月「あぁ、いや、プロの動きに興味があってさ」


~回想~


神月「まずは第一の眼『模倣の眼』について説明するぞ」

鵡月「コピー能力ってことか、それなら力に頼らずとも得意だよ」

神月「それはあくまで通常時のお主の適応能力じゃ、潜在能力は引き出せておらん」

神月「この眼は、お主が元々持っておる『模倣の才能』を極限まで高め、骨格や体重を除いた、再現可能な相手の技を学習し、自分の技として使用することができるようになる眼じゃ」

鵡月「(どっかのペテン師みたいなチート能力じゃねぇか)」

鵡月「んで、デメリットは?」

神月「潜在能力を引き出すということは、発動中はお主の脳に多大な負荷が生じる、つまり、眼の力に頼り過ぎれば、記憶障害やその他の脳障害を引き起こす危険性があるということじゃ」

鵡月「なるほど、寿命が減るとかかと思ったが、違ったようだな」

神月「お主、いつ目の前にいる者の記憶を失うかわからぬ力なのに、ずいぶん冷静じゃな」

鵡月「爺さん、俺を舐め過ぎだぞ、俺にかかれば記憶があるフリなんて楽勝なんだよ」

鵡月「それに1日に体験したことを常に何かしらメモしておけば、力を使った後の自分が適応してくれるさ」


~現代~


バチーン、竹刀が当たる音。


若い男性声優「うわーーーー」

プロの容赦ない一撃が男性声優を襲う。

皇「フン、黄色い声援ばかり請け負って、修行が足りん」

彼は皇一(すめらぎはじめ)、剣術界で名を馳せている、現代に生きる剣豪といったところだ、意外とカッコよく、女性ファンが多い。

イベントスタッフ「ちょっと、皇さん、もう少しだけ手加減していただけませんか?」

小声で交渉をするスタッフ。

皇「彼らには声の仕事が依頼されてから、稽古に励んでもらっていた、中にか私に一本入れることのできるほど上達した方もいる、ファンの方々へ本気を伝えるなら、真剣勝負するべきでしょう」

イベントスタッフ「そ、そうですけどぉ~」


ポン、スタッフの肩を叩く音。

優野「次は僕が相手になりましょう」

イベントスタッフ「優野さん!」

優野は皇プロが言っていった『自分に一本入れることができるほどの逸材』の一人だ。

皇「ほう、優野くんか」

優野「先生とは久々の対戦になりますが、よろしくお願いします」

皇「いいだろう、相手になってもらおう」


司会「それでは、皇先生vs優野さんの試合を始めます!」

女性ファン達「キャー、優野さん頑張って~♪」

ファンに手を振る優野。


試合は始まった。

先ほどの試合とは打って変わり、攻防一体の熱い試合が展開される。

皇「(流石、声優としても一流なだけあって、彼は中々やるな、だが)」

バーーーン、優野の竹刀をいなし、突きの構えになる皇。

優野「(突きだと…)」

幕末の時代、新選組は本家屋の室内での襲撃などの暗殺任務が多く、剣を振りかざす『斬撃』よりも、天井の高さに左右されにくい『突き』を重視されていたと言い伝えられている。


ガッ、ガッ、バシーン!

皇の渾身の3連突きが決まる。

司会「そこまで、勝負あり!勝者、皇先生!」

皇・優野「ありがとうございました」

両者深々と礼を済ませ、握手を交わす。


男性ファンA「凄い試合だったなぁ」

男性ファンB「でもさ、流石に素人サイドが1勝もしないってのはちょっとなぁ…」

優野「|ω・)ジー」

イベントスタッフ「どうしたんですか、優野さん?」

優野「ちょっといいかい、この企画ってあと1試合くらいならいけるよね」

タイムキーパーを務めてるスタッフが時計を見る。

イベントスタッフ「そうですね、時間的にまだ試合できそうですね」

優野「(。-∀-)ニヤリ」


無月「いやぁ~凄い試合だったな」

陽月「それにしてもあのプロ、ちょっと厳しすぎます、流石にファンも引いています」

無月「まぁ、プロにも意地ってもんがあるからな」

変装した優野「犬星くん、ちょっといいかな?」

無月「あれ、どうしたんですか、ちょ、ちょっと…」

優野に引っ張られステージ裏に連れていかれる無月。

陽月「(あれって、優野さんだよね…)」


ステージ裏

イベントスタッフ「この人なら皇先生に対抗できるんですか?」

優野「うーん、た、多分」

無月「(๑°ㅁ°๑)」

優野「とりあえず、犬星くんこれを被って」

渡される某ライダーの仮面。

無月「これを被ってステージに上がるんですか」

言われるがままに仮面を被り、ステージに向かう無月。


司会「え、急遽エキシビジョンマッチをやる?わ、わかりました」

司会「えー、それでは、次は最後の試合、皇先生vs仮面M選手によるエキシビジョンマッチを始めます」

女性ファン「仮面Mって誰よー、優野さんの試合がもう一度見たい~|」

皇「優野くんの知り合いみたいらしいね、よろしく」

仮面M「よ、よろしくお願いします」

握手を交わす二人。

仮面M「(模倣の眼によるコピーストックを試すいい機会とはいえ、ステージ上ってハードル高いなぁ)」

ステージ上の竹刀を眺める仮面M。

司会「どうしましたか?」

仮面M「この試合って二刀流で試合に臨むことって可能ですかね」

司会「そ、それは皇さん」

皇の方を見つめる司会。

皇「私は構わないよ、ただ、小太刀はないから、二刀どちらも普通の竹刀になってしまうよ」

仮面M「それで構いません、お願いします」

皇「(二刀流は立ち回りと握力が要求される一刀流よりも難しい型だというのに、この子経験者か)」

ちなみに仮面Mは剣道未経験である。


ブンブン。

両手に持った竹刀をそれとなく振り回す仮面M。

仮面M「意外と軽いんだな、これならいけそう」

皇「中々様になっているな」

仮面M「(基本的な動きはさっきの試合から模倣の眼でストックしてある、後はそのトレースした動きをイレギュラーである『二刀流』の動きに活かせるか、その実験だ)」


都話「なんですの、あの変な仮面は」

那虎「警護してた誰かが消えて、現れた謎の仮面、うん」

葉瑠「✧*。(ˊᗜˋ*)✧*。」

那虎「この子がこういう反応してるってことは、多分彼よ」

都話「そうっぽいですわねぇ」


司会「それでは、挑戦者である仮面Mさん、エキシビジョンということでインタビューさせてください」

仮面M「え、イ、インタビュー」

司会「はい、こういったイレギュラーな参加者は稀なので」

マイクを渡される仮面M。

仮面M「コホン、本日は『京ヒム』2日目の『赤の刹那』イベントに参加していただき誠にありがとうございます、この京都という地でこのようなアニメの祭典が開かれていることは地域民として大変喜ばしく思います、この試合については、挑戦者側のピンチヒッターを任された以上、全力で試合に臨みたいと思います、願わくばこの一時だけでも応援していただけると心の励みになります」

渾身のカッコつけボイスで演説をする仮面M。


女性ファンA「あの仮面の人めっちゃいい声してるじゃん」

女性ファンB「養成所のデビューしてない新人さんとかなのかなぁ」

謙吾「兄さん、とんでもないとこにいるな…」

葉瑠「あ、謙吾お兄ちゃんじゃん」

謙吾「葉瑠来てたのか」

葉瑠「兄さま、大丈夫かな」

謙吾「兄さんは数試合の間、試合を眺めていたんだろ?」

葉瑠「観客席の後ろから、試合を凝視していました」

謙吾「なら大丈夫だよ、兄さんには『見稽古』の才能があるから」


~少年時代~


大柄な少年「これで終わりだー」

無月「その技はもう見た」

バシーン。

紙一重で攻撃をかわし、同じ技の派生技でカウンターを決める無月。

審判「勝負あり!勝者、犬星選手!」


謙吾「流石、兄さんはやっぱり凄いやぁ」

犬星父「謙吾、猿真似に憧れるでない」

謙吾「は、はい、お父さん」

犬星父「(我が犬星家の流派を子供だましと評し、猿真似に走った奴が活躍するなど全く嘆かわしい)」

謙吾「(新しい動きを取り入れ、成長を続ける兄さんがいつか道を切り拓くんだろうなぁ)」


~現代~


皇・仮面M「よろしくお願いします」

深々と礼をする二人。

司会「それでは、試合開始!」

皇「早々に決めさせてもらうよ」

皇の容赦ない突きを交えた剣技が仮面Mを襲う。

仮面M「くっ!」

紙一重ですべての攻撃をいなし、体制を整える仮面M。

皇「ほほぉ、中々やるじゃないか」

皇「(予想以上にやるというより、コイツ俺の動きを模倣している…いつ練習した)」

仮面M「(恐らく、イレギュラーがあるとすれば、達人級の居合技のみ)」

仮面M「(その奥義を引き出し、眼の力を使い、即学習からのカウンターで俺の勝ちだ)」

二刀を連なるように振りかざす仮面M。

仮面M「我流剣技、夫婦切り(めおとぎり)

皇「くっ、なんだこれは」

この日初めて体制を崩す、皇。


司会「おっと~皇先生が今日初めて手をついてしまった~」

陽月「なんですか、あの技は」

謙吾「某格闘漫画に夫婦手(めおとで)って技を使う達人級の師匠キャラがいたんだ、兄さんはそれを剣術に取り入れて二刀流とミックスしたんだと思うよ」

夫婦手とは

両手をつかず離れず同時に動かす手法。前の手は攻撃もすれば防御もする。敵の手を受け流し、突き入れ、さらに後の手も攻撃もすれば防御もする。

陽月「そんな無茶苦茶な模倣ができるんですか、てかもはや模倣ではないじゃないですか」

謙吾「兄さんの模倣は正確には模倣ではなく『学習』、だから単なる物真似じゃなく、特性を理解してそれを自分の得意技と組み合わせて違う才能を発揮することなんだ」

葉瑠「さっすが兄さま♪」


仮面M「(さぁ切り札を出してもらおうか!)」

『模倣の眼』を発動させる仮面Mこと無月。

右眼が黄色に染まり、力が解放される。

皇「こうなったら本気を出すしかないようだ、君に奥義を見せてあげよう」

仮面M「(読み通りだ、さぁ来い!)」

謎のお爺さん「そこまでじゃ!!」

突然ステージに上がる謎のお爺さん。

司会「こ、困りますよ、勝手にステージに上がられては」

皇「統一お爺様」

優野「あれは皇家の当主さんじゃないか」

統一「(はじめ)よ、奥義を使うまで追い詰められたお主の負けじゃ、この勝負はそちらの仮面くんの勝ちじゃ」

皇「お爺様、まだ私は負けておりません」

統一「お主、奥義を出しておればどうなっていたかわかるか?」

皇「と、言いますと」

統一「最悪の場合、奥義を決められず、奴をさらに強くするだけじゃったぞ」

仮面Mの方向を見つめる統一。

仮面M「(あの爺さん、感覚で俺の眼に気付いたのか…恐ろしい爺さんだ)」

本来、無月の模倣は潜在能力を開放されていない。

見稽古で基本的な動きの模倣は容易いが、短時間での技の完全学習には『模倣の眼』を使用する必要がある。


統一「と、いうことでな、司会の人よ、後は頼んだぞ」

司会「わかりました、えー、それではエキシビジョンマッチの勝利は仮面M選手!」

両者、深々と礼をし、握手を交わす。

仮面M「ありがとうございました、流石にギリギリでしたよ」

皇「フッ、すべていなしておいて何を言っている、次やる時はその顔を歪めてみせるよ」

観客「うぉーーー、凄い試合だったぞ~」

統一「仮面の人よ、お主、剣の道に興味はないか」

仮面M「興味はありますけど、今は守りたい人達がいるので…」

統一「そうか、もし、修行が必要という時はワシの道場を訪ねるといい、力になろう」

仮面M「ありがとうございます」

皇「(お爺様に認められるとは、やはり只の者ではないな)」


優野「先生に勝っちゃうなんて凄いじゃないかぁ」

仮面M「優野さん、そろそろ仕事に戻らないとなので、もういいでしょうか」

ステージ裏に戻ろうとする、仮面M。

優野「ごめんごめん、そうだったね、いいもの見せてもらったよ、ありがとうー」

ステージ裏で仮面を脱ぐ無月。

無月「(今の試合で『模倣の眼』の使用感は把握できた、この眼を使えば短時間でいくらでも技を模倣することができる、デメリットは危険ではあるが、対策と用途を間違わなければ俺の理想を叶えるための武器になる)」


陽月「犬星さん、お疲れ様でした」

無月「いでで…」

陽月「どうしたんですか?」

無月「日頃から柔軟しているわけじゃないから、皇さんの動きを模倣したら体がね…」

どのスポーツでもそうだが、プロスポーツ選手は日々過酷なトレーニングを積んでいる。

動きをただ模倣すれば、そのツケが体に襲いかかってくるのは必然である。

無月「(基礎的なトレーニングもいつかは必要になってくるかもな)」


無月「お腹空いた」

陽月「ハイこれ、犬星さんが食べたがってた、コラボカフェのハンバーガーです」

無月「おぉありがとー♪」

無月「( '༥' )ŧ‹”ŧ‹”」

このハンバーガーは葉瑠が無月のために買ってきてくれたものである。

後日、謙吾のメールで無月はそれを知る。


その後、『赤の刹那』のイベントは無事終了し、2日目午後部へと進む…。

~『赤の刹那』イベント前~


無月「あ、そうだ、葉瑠、伝えたいことがあったんだ」

葉瑠「なんですか?」

無月「一周年おめでとう、グループの子達にも伝えてあげてほしい」

葉瑠「別に気を遣わなくてもいいのに、ありがとうございます♪」

無月「そうだ、龍巫女の子にも、登録者70万突破おめでとうって伝えてあげてくれ」

葉瑠「わかりました♪」


都話「あれ絶対切り抜き見てますわよね」

那虎「無月なら絶対デーモンの召喚の切り抜き見とるよ、きっと」


遠目からその模様を観察する人影。

謙吾「兄さん、同性の友達ちゃんと作れてるのかなぁ心配だ…」

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