episode1 零の決意
~2023年6月某日~
無月「ネットサーフィンでもするかー」
いつも通り動画サイトFORTUBEを開く無月。
そこで昔遊んだことのあるバトルホビー「クロスゴマ」の新シリーズ発売を知る。
無月「何!クロスゴマの新シリーズだとΣ(・ω・ノ)ノ!」
無月はその昔、大きい大会で結果を残すほどのコマバトラーだった。
しかし、年齢的な問題があり、小学生の部で世界大会を目指すことは叶わなかった。
無月「もう何年前になるか、懐かしいな」
無月「今いる大人達がどんな人達なのか、一応調べてみるか…」
そこに待っていたのは、悲惨な光景だった…違法改造を正当化するような発言をする者、子供達を差し置いて大会で活躍しようとする者、店舗・メーカーさんに迷惑を掛ける者。
過去のクロスゴマを知る無月には、地獄のような光景だった。
無月「ぐぬぬ・・・(ーー;)」
その当時、無月は現職のままでいいのだろうかと迷走していた。
配信業による副業も断念し、何か新しいことをやりたいとは考えていた最中での出来事だった。
無月「とりあえず、小学生の大会を見に行こう」
こうして「クロスゴマ」を鼓舞する無月の物語が始まった。
~2024年3月某日~
某喫茶店にて
猫山「ほー、クロスゴマですか、大人でもバトルホビーをガチる人がいるんスねぇ~」
無月「あんた、ちょっと馬鹿にしてないか(#^ω^)」
無月「あくまで、子供達が楽しむホビーを立て直したくて行動した話なんだからな」
猫山「あぁそうでした、めんごッス」
無月「(この人、いつもこんな感じで取材しているんだろうか…心配になるわ)」
無月「まず、始めたのは現場調査だ」
猫山「ホウホウ」
無月「体験会、大会、大型大会に出向き、自分の目で確かめたことをメーカーさんに報告、自分の考えを伝えた」
猫山「なるほど、よくある『カスハラ』ではなく、真っ当な内容を送ったんスね」
無月「察しがいいな、現場・ネットを調査した結果、自分本位な大人と表現は悪いがまさに『カスハラ』がネットに溢れていた、まさに某SNSで溢れる負の感情に近い」
無月「だからこそ、正直な感想と意見を伝える俺のような人間は稀有だったんだと思う」
猫山「なるほどねぇφ(´・ω・`)メモメモ」
無月「その甲斐あってか、クロスゴマでいい流れが生まれ始めた、俺は直接的には何もしてないが、少しずつ新しい動きが増えて行動してよかったと今でも思っている」
猫山「フムフム、それで現在はクロスゴマを遊ばれているのですか?」
無月「( ̄▽ ̄;)」
猫山「なんスか、その顔は」
無月「攻めた行動には代償が伴うってことだ、子供達に悪影響を与える人間を監視、糾弾する存在になるということは、もう『真っ当にはクロスゴマを遊べない』ってことだ」
猫山「え、そ、それでいいんですか」
無月「まぁ、最後まで聞いてくれ」
無月「クロスゴマを再建する過程で俺は国内TCGの『戦略王』に注目した」
猫山「?、今度はカードゲーム?」
無月「某企業の公認配信者時代にデジタル版戦略王をプレイしたことがあり、ゲームへの復帰からデジタル版の某配信企画を応援することにした」
猫山「配信?」
無月「まぁ企画というのは、配信者の方々がデジタル版戦略王でトーナメントを競うという内容だった、俺はそれを陰ながら応援していた」
無月「その過程で、『各コンテンツはリンクしている』という結論に至った」
猫山「?(=゜ω゜=;)・・・・・」
無月「例えば、今サンドイッチを食べているとする、そのサンドイッチには『食パン』『レタス』『ハム』『マヨネーズ』のような『複数の商品』が一つにリンクしている状態にある」
猫山「なるほど、クロスゴマに当てはめるなら『人』『コマ』『漫画』のように分類できるってことッスね」
無月「この『リンク理論』に当てはめれば、『クロスゴマ』『戦略王』にもリンクする可能性のあるジャンルがある、それが『配信』『動画』『ゲーム』だ」
猫山「なるほど、だから配信者の方々も応援する必要があるということッスね」
無月「察しが良くて助かるよ、その結果の甲斐あってか、今となってはカードゲーマーの中からもクロスゴマを紹介する動画をアップしてくれる人達が出てきた、プレイしたいという気持ちはあるが、他にもやることが出来てしまった今となってはちと厳しい」
猫山「犬星さんも色々大変なんスねぇ」
無月「まぁ今は応援している人達が笑顔でいてくれれば俺は満足なのさ」
無月「ここ最近は別のコンテンツを良くしようと行動している、新作の面白いゲームもどんどん発売され、個人配信も継続して、自分なりに充実した毎日を送っていると思っているよ」
プルルルル…、無月の携帯が鳴る。
無月「お、弟からだ、すまない、ちょっと席外すわ」
猫山「了解ッス」
携帯に出る無月。
無月「どうした、謙吾」
謙吾「ちょっと心配になってね、取材順調?」
無月「あぁ、去年の思い出話を話しているだけだからな、まぁ大丈夫だよ」
謙吾「それならよかった、1月の震災から少し立て込んでるみたいでね、世界情勢も芳しくない状況だよ」
無月「そうかぁ…このままだと物価の上昇は避けられないか…」
謙吾「兄さんが掲げる、企業さん達を応援する流れをもう少し拡大させる必要があるね」
無月「俺なりにもう少しやれることをやってみるよ、お前の方でも周りの人達にいい影響を与えて、いい流れを作ってくれると助かる」
謙吾「りょーかい、とりあえず、ラジオとコンクールに全力を注いでみるよ」
無月「ありがとうなグッ(๑•̀ㅂ•́)و✧」
プッ、携帯を切る無月。
猫山「(あの兄弟、とんでもねぇ話してるな…一体何者だよ)」
無月「これも取材の範囲内に入るのか?」
猫山「あ、いえ、これはそのぉ…」
無月「メディアをあまり信用していないが、今の会話は聞かなかったことにしてくれると助かる」
猫山「無償で取材させてもらってるんですから、内密にします」
無月「助かるよ、俺が拡散するのには限界があるからな、君の協力も今後は必要になってくる」
会話を終えた二人は喫茶店に戻っていく……。
取材の最中、俺が目指すべき道は、何者にも縛られず、その場に存在するだけで皆を鼓舞できる『アイドル』であり、危機的な状況をいち早く察知し、対応可能なら対処する『ヒーロー』であり、周りを納得させることの出来る『ネゴシエーター』ような、そんな存在ではないかと思い始めた。
まだまだ未熟者だが、応援してくれる人達がいる限り、俺は何度でも立ち上がる。