外伝 おおかみの補足part2
──京ヒム開催前日。
謙吾「お、葉瑠じゃないか」
葉瑠「あ、謙吾さん、どうも」
葉瑠は実の兄弟ではないので、『兄さん』と呼ぶのは基本、無月兄さんだけだ。
謙吾「どうしたの暗い顔して」
葉瑠「最近、兄さんがあんまり元気ないんです…」
悲しそうな顔をする葉瑠。
謙吾「(あー、なるほど)」
謙吾「ちょっと父のことを話そうか」
葉瑠「(。・ω・。)?」
謙吾「うちの父さんは可哀そうな人でね、小さい頃に金銭的な面で祖父母が『ひきこもりの伯母』の家に預けられたんだ」
謙吾「父は三兄弟の長男でもう小学生くらいだったのかな、大きかったからその影響もあって、父だけ預けられた」
葉瑠「……」
謙吾「そこで父が陥ってしまったのは、『人の前では装わなくてはいけない』という思考」
謙吾「元々、知能的に問題のあった人だったんだけど、そんな状態の独り身の伯母に預けられて、さらに手が付けられない人になってしまったと僕は睨んでいる」
謙吾「ただ、祖父母にも大きな問題があって、父を真っすぐ育てるだけの力量も、教育理念もない家庭だった」
葉瑠「でも、兄さんからは『クソ親父』だって聞いてますよ」
謙吾「そう、父さんは『史上最低な人間』だよ、理由は避けるけど、兄さんと母は日々父に苦しめられている」
謙吾「兄さんは僕が芸人活動ができるよう、ご近所さんに迷惑が掛からないよう、母がギブアップしないよう、そのすべてをケアするために日々を過ごしている」
謙吾「その合間を縫って、自分のお仕事と趣味、関係各所への改善点報告や演者さん達への鼓舞、応援している人へのお便り、趣味を兼ねた現場視察を行っているんだ」
謙吾「ここ最近でも、本当は話もしたくない父と談笑したり、母の愚痴を聞いてあげたりしていたよ」
葉瑠「……」
謙吾「それでも、兄さんの振る舞いだけを見て、『今すぐ何かに挑戦できる状態』と錯覚し、茶化してくる無能な人間が多くいるんだ」
謙吾「日本の政治家や一部芸能人達の『不祥事』を確認して、『何故金も人徳もあって無能な行動を取るのか本当に理解できない』と日々嘆いていたよ」
謙吾「兄さんはそういった『挑戦する余裕があるのに自分のアドバンテージを無駄にする人間』が大っ嫌いなんだ」
謙吾「だから、ここ最近だと某女性声優さんの件、あの子が出演していた某麻雀アニメ」
謙吾「そこで使用されていたアプリのヒロインが小鳥遊真理さんのキャラだったから、凄く悲しい顔をしていたよ」
葉瑠「あの事件ですか…」
謙吾「もうチケットも売れないみたいだし、ファンからの信用は無くなってしまった、最悪の場合、表舞台からは退くしかない可能性もある」
謙吾「兄さんはそういった『不祥事』も減らしたいと考えているんだ」
謙吾「単純に勿体ないでしょ?何年も努力して磨いてきたスキルを『一時の油断で失う』なんてさ」
葉瑠「う、それ私にもちょっと刺さる」
謙吾「ゴ、ゴメンゴメン」
謙吾「まぁ、心配するのはわかるけどさ、兄さんは今までとは違って『応援してくれる仲間』がいると思って日々を過ごしている」
謙吾「僕も稼げるようになって、少しでも兄さんや母に楽をさせてあげたいけど、うちの事務所はまぁ色々とブラックでね…」
葉瑠「兄さんから聞きました、お仕事の割に待遇が悪いと」
謙吾「(兄さん、喋ったな)」
謙吾「令和になって、国民の語学力がだいぶ落ちているし、テレビもスポンサーが介入してつまらないからねぇ…兄さんも『テレビはつまらないから見ない』ってさ」
無月「葉瑠にいらぬ情報をベラベラと、今忙しい時期なんだから余計な負担を掛けるなよ!」
葉瑠「(と言いつつ、結構人を頼っている兄さんなのであった)」
謙吾「あ、兄さん、明日の準備はバッチリ?」
無月「( *˙ω˙*)و グッ!」
謙吾&葉瑠「(振れ幅が凄い)」
無月「謙吾」
謙吾「?」
無月「少しづつだが、俺の意見に耳を傾けてくれる人達は増えている、世界も変わりつつある」
無月「今すぐは厳しいが、いつか俺が何とかしてやる、だから自分の道を貫け」
謙吾「りょーかい(`・ω・´)ゞ」
葉瑠「!(^^)!」
私からすると『まだまだ世界はつまらない』です。
権力者が弱者を搾取し、戦争によって多く人達が犠牲になっています。
私が活動を継続出来ているのは、『応援している方々』が日々努力されている姿を確認しているからです。
もっと活躍できるお仕事にも興味はありますが、自分の身の周りが今よりも改善されない限りは色々と厳しいのが現状です。
私よりも厳しい環境に身を投じている方々は多くいらっしゃると思います。
私はまだ恵まれている方です、本当に苦しい人はこういった活動をやっていられません。
そうった方々が少しでも減っていく世の中になってくれることを切に願っています。




