プロローグ 零のオフ CASE#1
某SNSを確認する無月。
無月「ん?DMが届いてる」
DMの内容は要約すると副業配信のスカウトだった。
無月「社会人になりたてで不安要素はあるが、お金も貰えるみたいだし、久々に配信再開するか」
~数か月後~
無月「今月の報酬が振り込まれていないのですが、報酬面はどうなっているのでしょうか?」
スタッフ「えー報酬規約が変わりまして-、こちらが資料になります」
始めの3か月は報酬が支払わられたが、その後は明確な理由もなく、資料を渡されて納得させられた。
~某日の個人配信~
無月「よし、いつも通り配信するよー」
いつも通り配信を始める無月。
某配信者「初見ですー」
無月「ん、あなた初見じゃないですよね?それサブ垢じゃないか?」
そのサイトでは無料ポイントでアイテムを投げられ、そのアイテム投げもノルマ達成に繋がる仕様だ。
その当時、運営側からも規約違反の利用についての注意喚起はされていた。
規約違反の主な内容は『サブ垢による無料ポイント水増し』を禁止するためのものだった。
そのサイトではそういった利用者が多く、小さいコミュニティでポイント投げ合い生き残るのが一つの手法となってしまっていた。
某配信者「すみませんー」
退出する配信者。
某配信者「戻りましたー」
堂々とアカウントを変更し、再び無月の配信に現れる。
無月「はぁ~(溜息)」
メインの仕事とそういったしがらみから配信を引退した無月。
そんな主人公がとあるキッカケから再び配信やネット活動を再開し、自分にできることで日本に貢献しようと奮闘するストーリーが今始まる。
アイドル、それは多くの人が熱狂し、様々な媒体で活動し、人々を笑顔にする存在だ。
かくいう俺もそんなアイドルのような存在に命を救われた。
そんなこんなで俺はとあるフリーライブを見に行くことにした。
そのアイドルの名は、『小鳥遊 真璃』無月が12年前に視聴していたアニメのヒロインを務めていた人物だ。
無月は元々ゲーム・アニメ好きではあるが、あくまでキャラクターを推すタイプであり、特定の人物を推すということには女性に対してはほぼ無関心であった。
~2024年6月某日~
無月「ふぅ、やっと着いたわ、やっぱ大阪はちょっと遠いな」
無月「配信してから駅に向かったから、ギリギリ間に合ったな<(`^´)>」
ブーブー、携帯が突然鳴る。
弟「あ、兄さん?無事着いたかい?」
無月「ああ、タブレットで調べながらで問題なく到着した、凄い人だわΣ(・ω・ノ)ノ!」
会場である某ショッピングモールには多くのファンが集い、前列は熱狂的なファンで埋め尽くされている。
弟「兄さんも前列に並びたいんじゃないの?(・∀・)ニヤニヤ」
無月「うーん…人込みはちょっとなぁ、遠目からライブ観ることにするよ」
弟「そっか、まぁそんなにないイベントだろうから楽しんで」
無月「ありがと、お前も無理せずな」
プッ、携帯を切る主人公。
弟はコメディアンとして芸能活動をしている。最近では活躍の場を増やしていて、兄としては負けていられないという感じだ。
無月「それにしてもフリーライブってこんなに人が集まるのか」
無月はネット含め、アイドルやライブについてはほぼ初心者で勝手を知らない新参ファンである。
小鳥遊「皆~今日は盛り上がっていくよ~♪」
ライブ開始
無月「お、始まったな、?」
3階フロアを確認する無月。
謎のおじさん「ใ(^▽^ )ว ใ(^▽^ )ว ♬♬」
無月「お、おじさんが踊っているΣ(・ω・ノ)ノ!」
ライブ会場の上のフロアで傘を持ったおじさんが突然ノリノリで踊り出した。
無月と同じくライブを観戦しているファンも流石に気付き始める。
ファン「なんだ、あのおじさん面白-( ´艸`)」
ブーブー、無月の携帯が鳴る。
弟「兄さん、SNSで確認したけど、大丈夫?」
無月「あぁ、スタッフさんが対応しているから大丈夫だと思うよ」
数曲終わったあたりで傘のおじさんはその場から去ったようだ。
無月「真璃ちゃんそっちのけで目立ってたな(;^_^A」
その後、問題なくライブは進行し、数曲終わったところで異変が起きた。
3階フロアに怪しい男が下フロアを上からのぞき込む。
ライブ中、その場所からの見下ろしは禁止されている。
先ほどの傘のおじさんはあくまで踊っていただけで、見下ろしていたわけでなかった。
スタッフさん2名が声をかけ、男に注意喚起をする。
無月「じ━(ㅍ_ㅍ)━・・・」
凄い剣幕で3階を見上げる無月。
ブーブー、無月の携帯が鳴る。
弟「兄さん?怪しい人がいるみたいだけど、今度はどう?」
無月「今回は結構危なそうな人だと思う、純粋なファンというよりは人込みに興味があるように感じる」
弟「どうする気?」
無月「あと数曲でライブは終了するはず、その後は握手会兼、CD手渡し会がある」
弟「見回りをする気だね」
無月「察しがいいな、動向を確認し、ライブ会場に近づけないよう俺が見張る」
弟「危険な人かもしれないから無理はしないでね」
無月「あぁ、ありがとう、何かあったら連絡する」
プッ、携帯を切る無月。
ライブが無事終了する。
無月「さて、件の人物を探すか」
(ライブ中、3階フロアにも目を配り、男がカフェに入るのを確認した、そこから捜索するか)
無月「見つけた」
3階フロアに上がる階段のある付近に男は座っていた。
無月「(じっと何かを考えこんでいるのか…)」
男は拳を握り一点を凝視していた。
無月は男から数メートル離れた位置に座り、張り込みをする。
無月はかなり目立つ服装をしていたが、スタッフではなく3階フロアで男に遭遇していなかった影響で怪しまれてはいない。
握手会が始まる。
無月「(本当にずっとここにいるんだな…やはり放ってはおけないな)」
数十分間、男は移動せずその場でじっとしていた。
同じく座っていた無月に感づいたのか、男が立ち上がる。
無月「(やっと移動したか)」
男を尾行し始める無月。
男が階段を降り正面玄関のある下のフロアへ移動する。
階段から男の方向を見下ろし、鬼の形相で睨みつける無月、恐らく視線は感じたであろう。
尾行を続け、正面玄関前のエスカレーター付近まで尾行をする。
無月「(これ以上は危険かもしれないが行先だけは確認しないとな)」
無月に気付き、エスカレーターから無月を見る男。
無月「(やば、一旦離れるか)」
一旦その場から離れ、少し時間を置き、正面玄関から内部を確認する無月。
無月「お、どうやら入ってすぐのドラッグストアにいるようだな」
スタッフさんに報告をするべきと思ったが、事が大きくなればイベントにも支障が出ると思い、玄関のスクショを撮り、SNSで注意喚起をする無月。
ブーブー、無月の携帯がなる。
無月「あ、母さん?こっちは無事ライブも終わって今握手会中みたいだよ」
母「弟ちゃんから連絡が来たけど、大丈夫なの?」
無月「あー大丈夫大丈夫、いざとなったら腕っぷしで対処できっから」
3階フロアから大声で談笑する無月。
小鳥遊「CD購入してくれてありがとー(;´▽`A``」
聞こえていてもおかしくないボリュームだったことを天然な無月は気付いていない。
プッ、携帯を切る無月。
ブーブー、無月の携帯が鳴る。
弟「兄さん、大丈夫?」
無月「正直な話をすると、ちょっと怖かったが、まぁ人間観察と思えばいい経験だったかもしれない」
弟「握手会は無事終わったみたいだよ、売り場を周るんだろうけど、あまり遅くならないように気を付けて帰って来てね」
無月「りょーかい、心配してくれてありがとう」
プッ、携帯を切る無月。
無月「さて、何店舗か売り場やゲームセンターを覗いて、ゆっくり帰宅するとしますか<(`^´)>」
弟の名前については、後日考えて変更しようと思います。
仕事や配信をしつつ執筆しているので、更新ペースについては遅くなると思います。
小説を書くのは初めてなので、暖かい目で見守っていただけると非常に助かります。