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1話 何回目かの死
?「…死ぬな…」
そう言って男は傷だらけの男を腕に抱えながら悲痛そうな顔をして震える声で言った。
?「…そんな、顔…する、なよ…」
傷だらけの男は言った。
男は自身がもう幾ばくもなく「死ぬ」と言うことが分かっていた。
?「…おまえが居なければ、俺は…俺はどうすれば良い…?」
そう言う自身を抱える男を見て傷だらけの男は
?(何回目だろうな。おまえのその表情を見るのは。何回目だろうな。おまえのその言葉を耳にするのは。)
そんな事を思い微笑しながら男は眠気に身を任せはじめた。
?「眠るな!!頼む…!!ああっ!神よ…!!」
男は神に祈るが腕の中にいる男は虫の息でもう助からないと言うことは分かっていた。
だが、願わずには居られなかった。
ああ…あいつの声が聞こえる…
俺の、大切な親友の声が…
俺はもうすぐ死ぬ。
また…戻るのか…
そんな事を思いながら意識はそこで闇へと落ちた。