旅
起きた。二人は寝てる、いや起きてる。ぐりぐりしてる。俺はむくりと起き上がった。
「「あ~~~!」」
「起きてるならご飯を食べよう?昨日は何も食べてないし」
「「え~~!」」
まだ、脇腹にぐりぐりしてる。頭を撫でてやり誘う。
「行きましょう、姫様たち」
「「はい!」」
もう少ししっかりして欲しい今日この頃、これから先大丈夫だろうか。とかなんとか考えながら、一階へと向かった。朝ごはんの匂いがしている。あまり美味しそうじゃない?そんな気がする。どんな匂いだって言うのだろうか。まあ、ご想像にお任せする。食べた、案の定美味しくなかった。塩辛い、薄味の(旨味の少ない)スープだった。それにパン固かった。スープにひたひたにして食べた。二人も何とか食べきった。
「ふぅ、きつかったね?」
「「はい・・・・」」
「まあ、そのうち何とかなるよ、俺の魔法もあるしご飯も出せるかもしれないしね」
「「本当ですか!!?」」
「うん、それじゃあ、旅を続けようか、保存食買ってっと」
「「保存食・・・・・」」
「ははは、まあいいけど、あ、出せそう。サンドイッチ、はい、二人ともあげるよ」
「「いただきます!」」
「ん~~~!!美味しい!!柔らかい!」愛華
「ほんと!美味しい!この甘み!!」涼香
「ははは、じゃあ行こうか。ついでに情報収集してっと。」
そうか、戻って大きな街を目指したほうがいいらしい。王都もそちらにあるらしかった。逆戻りだな。まあいいけど。二人と一緒に門番さんの所へ向かった。
「今日もいい天気だねぇ~お二人さんも元気そうで。村出るんだろ?」ジム
「はい、お世話になりました、」
「全然、こっちこそ塩貰っちまって悪いね!!」ジム
「いいんですよ、お金欲しかったですし」
「そりゃあちげえねぇー!はっはっはっは!」ジム
「では、またいつか会えたら会いましょう!」
「おう!多分ないがな!」ジム
「「さようなら!」」
「おう!じゃあな!」ジム
そして村を離れた。二人は手を繋ぎたがった。
「あの~一郎さん手つないでいいですか?」涼香
「ん?いや戦闘になったとき邪魔だからそれはな・・・・・」
「私もつなぎたいです」愛華
「いや俺は手が使えないと戦えないからさ」
「「私達が戦います!!」」
「へ?いや、まあでも戦闘になったら手放すからね?いい?」
「「はい・・・・・」」
「じゃあいいよ、」
「「ぎゅ!」」
恋人つなぎする涼香であった。愛華は普通につないだ。
「熱くない?」
「「あったかいです」」
「そう・・・・」
「あ、車とか作れそう」愛華
「そうだね」涼香
「その手があるか。作ってみるか、車っと、こんな感じかな」
「「すご~い!!」」
「乗ろうか。一応魔力で動くようにしたし。オートマだから二人も慣れれば運転できるよ?乗用車だし、後ろで寝転がれるから二人は遊んでていいよ?」
「やったーー!!」愛華
「私はそばにいます、抱っこしてください、コアラのように」涼香
「え!?いや運転中は危ないしな・・・・」
「大丈夫です魔法で軽減するようにしておきましたから!」涼香
「いいなぁ!涼香私もやりたい」愛華
「駄目です!私の特等席です。助手席で我慢して、膝枕もあるよ?」涼香
「いやいや、いいって言ってない!?」
「いいよそれで、ひっざ枕ー♪」愛華
「決まりだね、一郎さん乗って下さい。私は靴脱ぐので」涼香
「だから――――」
「おいてきますよー?」涼香
「俺が運転手だよ!?」
「はいはい、分りましたから。どうぞ?」涼香
「なんでそんなに横暴なの!?」
「速く速く!」愛華
「わかったよ」
「やりました!(小声)」涼香
「ふぅ、乗った?」
「「は~い」」
「涼香ちゃんもうちょっと離れて?」
「涼香です、離れませんお父さんとはいつもこうです」涼香
「うそでしょ!?それは無いよ!?お父さんも無理がある!!?」
「本当です。愛華も知ってます」涼香
「ほんとだよ~(チラチラ)」愛華
「謎の目配せ!休憩したら降りてね?疲れるし」
「はーい・・・・・」涼香
「シャツまくらないで!?おかしいよ!?涼香ちゃん?」
「涼香です。呼び捨てにしてくれないとやめません」涼香
「わかった、す、涼香やめて!」
「はい・・・・・」涼香
「なんでしゅんとするの!?俺が悪いの!?」
「一郎さんが悪いです。こんないい体してるのに隠してる」愛華
「何が!?ちょっと筋肉あるだけでしょ!?」
「「それが悪い・・・・」」
「わかったよこれから太るから」
「「やめて下さい!!」」
「わかったから!大声出さないで!運転に集中しなきゃ」
「「はーい・・・・・」」
「あ、ゴブリン」
ぐしゃ
「いっか」
「馬車だ、追い越そう、」
「「「「うわぁーー!!」」」」
「なんか驚いてたね?」
「「はい・・・・」」
「元気ないね?どうかした?」
「あ、首筋になんかついてる(棒)チュ~~~~~」涼香
「いや!!?ついてないから!!やめて!!下ろすよ!?」
「はい・・・・・・」涼香
「ハァ、疲れる。やめようね?そういうの?好きな人でもそんな事しないと思うけど・・・・」
「そんなことありません!!」涼香
「いや、一般的にそうだよ?」
「違います!!一郎さんは一般的じゃありません!!」涼香
「なぜ俺の性癖!!!?」
「だって、一郎さんの息子さんが大きくなってきてるから」涼香
「いや!!?なってないからね!!?どこでそんな事覚えてくるの!?やめよう!」
「は~い」涼香
「息子さんって何?子供いるの?」愛華
「いないよ!」
「あとで教えてあげる」涼香
「やめて!!?」
「大事な教育ですので・・・・」涼香
「違うでしょ!!?」
「いいえ(ふるふる)」涼香
「演技臭い!」
「(お手上げポーズ)」涼香
「ふざけてるでしょ!?大人をからかうと駄目なんだからね!?一緒に寝ないよ!?」
「わ、わ、分りましたやめます」涼香
「ええ~!!息子ってなぁに~!!」愛華
「ちんちんのことです」涼香
「言っちゃった!!?駄目だってば!!もうこういう会話なしね!?」
「っへ~!!そういう意味なんだ!!なんで大きくなるの?」愛華
「駄目だからね!!?教えちゃ!!」
「それは、感じているから――――」涼香
「ああーーーー!!!!」
「聞こえないよ、一郎さん静かにして?」愛華
「駄目駄目絶対!!それ以上はシャレにならないから!大人になってからね!!いいかい!!絶対だよ!!」
「ええ~!!」愛華
「気持ちいいと感じて大きくなるんだよ(小声)」涼香
「おい!!そこ!!なんか言ってるでしょ!!」
「運転に集中してください。一郎さん危ないです」涼香
「へぇ~!!」愛華
「絶対なんか言った!!やめようよ、そういうの良くないってば!!」
「「私達もう大人ですから」」
「子供!!!絶対子供だから!!」
「でも、雑貨屋のお母さんがあんたたちいい女だねぇって言ってくれましたよ」愛華
「そうそう、大人の女は男を立てるんだよって、言ってました」涼香
「いやいや、それは心得を言ってるのであって君たちが大人だってことではないんじゃないかな」
「「いやいや、私達奥さんに間違われたし」」
「それで何も言わなかったのか!?駄目だよ絶対俺は、綺麗な奥さんを貰うって決めてるんだから。」
「それじゃあ私でもいいですね?」涼香
「ちっちゃすぎるよ」
「小さくありません!」涼香
「まあまあ、私でもいいんじゃないですか?」愛華
「ダメダメ、お子ちゃまだもの。もっと大人の色気がある人じゃないと」
「「大人の色気・・・・・」」
「ほらほら全然でしょ?(笑顔)」
「「ニヤニヤしないでください!!」」
「いや!笑っただけだって!!」
「「ニヤニヤしてます!!」」
「どこがさ!」
「「運転に集中してください!」」
「してるよ!!」
「「・・・・」」
「何も言わなくていいよ?」
「「静かにしてください!」」
「はいはい・・・」
「「はいは一回です!」」
「はい・・・・」
「「ジトっとした目で見ないで!!」」
「は~い」
「「返事を伸ばさない!」」
「はい・・・」
「「なんですかその間は!!」」
「いいでしょそのくらい(苦笑い)」
「「駄目です!」」
「はいよ!」
「「よはいりません!」」
「はい」
「「よろしい!」」
「ご褒美にキスしてあげます」涼香
「いやいや、おかしいよね?俺はほしくないな!全然!!」
「駄目です!これは罰です!私たちに口答えした!むーー」涼香
「いやいや待って!おかしいから!!」
キーーッ
「ふぅ危ない、駄目だよ?もうこの席はお終い!悪ふざけが過ぎるからね?後ろへ行ってください」
「いやいや!!いやぁ~!!一郎さんのばかぁ~!!!色気がないとがぁいっでぇ~わだぢ達を放りだずんでずがーー!?」涼香
「泣かないでよ!放り出さないから!?俺は付き合うなら大人の女性って決めてるだけで二人をないがしろにしたりしないから。わかった?」
「あー泣かしたぁ~!一郎さんがぁ~」愛華
「いや、そうだけど、勘違いだから、二人を大事にするから。だから泣き止んで?」
「「プロポーズですか!?」」
「違う!!子供にしたりしない!」
「え~!!!」愛華
「うあ””””~ん!!」涼香
「あ~!!泣かしたぁ!!」愛華
「いや俺悪くないよね!!!」
「オトナがセイトーカするときに使う言葉だぁ!!」愛華
「違うから!!」
涼香が顔を胸に押し付けてぐりぐりしてる。いやいやってしてる。どうしたものか・・・・進もう・・・・・・・。そのうち涼香も泣き止んだ。ぐりぐりしてるがまあいいか。摩擦であったかくなってる。
「二人はいつから仲良しなんだ?」
「小学校1年生からです」愛華
「そうか、幼馴染って感じか・・二人だったから混乱も少なかったんだろうな?」
「そうですね、それはあると思います」愛華
「二人だけだったらと思うとぞっとするね、大人がいてよかったよ」
「一郎さんだからよかったんです!他の人は認めません!!」愛華
「認めないって何が!?」
「守護者としてです!!」愛華
「守護者ってのは――――」
「私達の守護者って意味ですよね?」愛華
そう言って上目遣いで訪ねて来た。
「うっ!それはだなぁ~!残念だけど――――」
「私達の騎士様ってことですよね?」愛華
「だから!そうじゃなくて!!――――」
「じゃあ私たちを守ってくれないんですか?」愛華
「そう言う事じゃない、ただ守りに強いって事!それだけ、守って見せるさ」
パシャ
「その顔かっこいいですね?もう一回お願いします!」愛華
「無理無理!できるわけないだろ!?」
「え~!!かっこよかったのにぃ~!!」愛華
「・・・・・・」涼香
「どうした?」
「(かぁ)・・・・・・・・」涼香
「(。´・ω・)ん?」
「(ぐりぐり)」涼香
「私も!それ(ぐりぐり)」愛華
「や!ちょ!脇はくすぐったいって!!事故る事故るから!!」
「へへへぇ~じゃあやめます、次の宿では構って下さいね?(上目遣い)」愛華
「まあ、ほどほどにな?ありがとな?気使ってくれて」
「むふふふふ~~!当たり前です!」愛華
「あ、ゴブリン!」
グシャ
「車固いな、全然へこまない、次の街にもすぐに着くと思うから準備頼むよ?いい?二人とも?」
「はーい!」愛華
「ふぁーい」涼香
「大丈夫かなぁ~、次は確かクレセントブルクだったかな?大きな街だしゆっくりしようか」
「「はい(ふぁい)」」
「涼香ちゃん降りたら歩いてよ?」
「ふずかでふ!!」涼香
「す、涼香いい?」
「ふぁーい」涼香
「お!大きな門が見えて来た!そろそろ車しまおうか、降りるよ~?」
「「はい!(ふぁい)」」
「停車します、お降りの方はお知らせください」
「ピンポーン!」愛華
「お、バス乗ったことあるんだね?」
「当り前です!」愛華
「そっかぁ、じゃあおりますよ~」
「「はい!(ふぁい)」」
「ほら離れて?靴ここね?そういえば足ちっちゃいね?女の子だからかな?」
「ちっちゃくないです!!もう大人です!」涼香
「ごめんごめん、可愛いなと思って」
「か、可愛い・・・・・」涼香
「ほら降りて降りて?」
「はい・・・・・」涼香
「もう歩いてすぐだね?車しまってっと!アイテムボックス!あ、言わなくてもできるか」
「「あははははは」」
「これ、二人の鞄ね、背負っておいて」
「「はい」」
「手つなぐ?もう大人だから手はつながなくてもいい―――」
「「つなぎます!!」」
「ならいいけど・・・ここがクレセントブルクか・・・・」
「「つきましたね」」
「ああ、おっきいね?」
「「はい」」
「あ、門番さんこんにちは」
「おう、こんにちは、何の用事で来たんだい?」ガーク
「冒険者になりたくて」
「へぇ?そっちの嬢ちゃんたちも?」ガーク
「「はい!」」
「そうか、そりゃあ頼もしい、俺はガーク、いつもここにいるからよろしくな?この街は入る時も出る時も税金かかんないからな」
「俺はイチローです」
「愛華です」愛華
「涼香です」涼香
「二人とも可愛いな!嫁さんか?」ガーク
「違い――――」
「「はい!!」」
「なんかいったか?そうかそうか、それはスゲー、若いのに稼いでんな!冒険者頑張れよ!」ガーク
「違いますからね!?俺は保護者です!!」
「そうかそうか、(生暖かい目)」ガーク
「もういいです!!じゃあ!」
「じゃあな、嬢ちゃんたち!」ガーク
「「はい!」」
「とりあえず冒険者ギルドに行こう、ってあったな、ここか、だからどこか言わなかったのか・・・・」
「入りましょう!」愛華
「ああ、じゃあ入るか」
ぎぃ
「おうおうおう!女二人も連れていいご身分だな!!?」ゴルズ
「二人とも手放して」
「「はい」」
「おうおうやる気か?いいぜかかって―――」ゴルズ
制圧した、床に倒し腕を後ろに回しうつ伏せで固定する。一瞬だった、何が起こったのかわかったものはほとんどいなかっただろう。受付嬢と目が合う。
「これはどうしたらいいですか?」
「あ、ああ、え、えと、処罰するのでこちらに連れてきてください」ミラ
「はい、じゃあ、自分でいけますね?逃げないでくださいね?」
「このっ!!!くそ!!どうなってやがる!!当たらねぇ!!このっ!!くそがぁ!!」ゴルズ
「はやく行って下さい。蹴りますよ?」
「うるせい、こっちに来やがれ!!」ゴルズ
「時間切れです、そら!」
ドンッ
「ぐはっ!」ゴルズ
カウンターに洗濯物のように干される男、中から屈強な人たちが出てきて連れてかれた。カウンターに傷がついてる。鎧着てたもんな・・・。まあ、複合アーマーって感じだったがな。まあ剣が当たったのが大きいだろうな・・・。でも見れば冒険者ギルドは傷だらけだった。あまり目立たなくはなっているがそれでもわかる年季の入りようだった。二人を呼んで受付に向かった。その間、ギルドにいた全員がイチローに目を向けていた。
その時、フードの者が目を光らせていたのをイチローだけが知っていた。