同好会立ち上げ
梨江動きます
5話です
……
『おやすみ雅』
『うん、おやすみ優司』
俺は雅との連絡を終え、スマホを閉じて眠りにつく。
────
「よし、投稿っと」
僕は今日も自作の最新話を投稿した。内容は勿論自信作である。そしていつものようにMSREさんからお褒めの言葉が届く。それは当然嬉しいことなのだが、実は最近ptの伸び悩み状態が続いている。
「うーん、どうしたものかな……」
こういう時はアイデアが重要だから、自問自答の日々が続く。
翌日僕は思索しながらクラスに着くと、宮森が珍しく机に肘をついてぼけーっとしていた。
「どうした宮森?」
「…あぁ、龍か……。いや、なんでもない……」
「そうか? なんか訳ありな気がするが……」
「分かるか親友!?」
あんな状態でいたら誰だも分かると思うが……、
「あぁ、勿論分かるさっ」
「聞いてくれよー龍~、実はな詩織のやつがさ~」
僕は宮森の話を聞いてやった。最近その子の対応が冷たいらしい。そりゃあ5人掛け持ったり、これからの進展がなかったりしたら、冷たくなるのは分かるような気がする。
「そろそろ誰かに絞る時期じゃないのか?」
「うーん、あの子達と色んなことして盛り上がるのが楽しいからさ、まだ誰かと付き合うって感じじゃあないんだよな~」
これは誰かと付き合うとかしばらく無さそうだな……。
「何の話しているの?」
「梨江っち」
横からひゅっと彼女が話に入ってきた。相変わらず彼女は綺麗で可愛く、雅を具現化したような感じである。
「あ~、宮森のモテ自慢の話だよ」
「あーー、相変わらずミヤモーはモテるもんねー。そこは小学校から変わってないんだ~」
「まあな。否定はしない」
「うぜーw」
僕達は和気あいあいと話していると、梨江っちが言う。
「あ、そうだ。私達まだli◯e交換してないじゃない。幼馴染なんだし、二人のID知りたいな」
「あぁ、良いよ。龍は?」
「勿論構わないよ」
「せっかくだし、グループも作らないか?」
「良いね、賛成ー。龍君は?」
「勿論、構わないさ」
そうして僕達三人はSNSの場でも交流が出来るようになった。グループの名は小学校の名を用いて『北小会』にして、僕がぽちぽちとID登録していると、早速梨江っちから連絡が来た。
『宜しく龍君(笑顔のスタンプ)♡』
幼馴染とはいえ女子から♡がある文が届くと少しドキッとする。これで彼女とは幼馴染であり、僕の書く小説のファンであり、今度はチャット友達になった。そういう友人が出来て嬉しい限りである。
そして家に帰りPCを立ち上げ、いつものように小説を書いて投稿して、しばらくのんびりしていると、スマホが揺れる。見ると梨江っちからチャットが届いていた。
『今日も読んだよ。面白かったー、良かったよ~』
いつも通りの感想で胸をなで下ろしていたら、追加の文が届く。
『けどなんかptの付きが悪くないけど、良くもないからさ、もしかして伸び悩んでる?』
僕は今まさに悩んでいることをドンピシャに言われたから、かなりドキッとして直ぐに返信する。
『そうなんだよ。もしかしたら内容が平凡なのかもしれなくて……良い案が浮かばないんだよ』
まだ自問自答しようとしていた内容をつい彼女にぽろっとうち明けてしまった。こういう小説での悩み事は出来る限り自分で解決するを信条にしていたので、やらかしたと思った。僕は急いで消そうと思ったが、既に既読がついて少ししてから返事が来る。
『やっぱりそうなんだね』
『うん……』
『良い作品書きたい?』
そう問われてしまっては答は一つだった。
『うん、もちろん!』
『じゃあさ、他の人とかの意見も聞かないとね』
『しかしどうやって……』
『私も考えてみるね』
『え、でも……』
『自分で考えて浮かばない時は誰かに相談した方が良いわ』
『確かにそうだけど……』
『それに私は龍君の読者だから、読者なりのアイデアってあると思うの。だからいつでも相談に乗ってね?』
彼女にそう言ってくれて僕はとても嬉しかった。これで彼女は僕の幼馴染であり、僕が書く小説のファンであり、チャット友達であり、そして良き相談相手になった。
『ありがとう梨江っち』
『うん、どういたしまして~』
そしてもう一度彼女から追加文が来る。
『おやすみ龍君』
『おやすみ梨江っち』
そして翌日の昼休みに彼女はにこにこしながら僕のところに来て提案を持ちかけてきた。
「同好会作ろうと思うの」
「え? 同好会? 何の?」
「もちろん、龍君の小説を読んでもらうための同好会よ」
「へ? それって……?」
「それはね……」
そして彼女は放課後、新たな部活を作るべく、職員室に向かってそれを登録して、早々に新たな同好会を立ち上げた。その名も『サブカルチャー研究同好会』。
時は10月中旬、現在会員2名(僕は文芸部と掛け持ち)。
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