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幼馴染の定義

幼馴染の定義とは一体……?


3話です

『また優司っ、そんなこと言って私を困らせようとするのねっ。本当ひどいわっ』

『ゴメンって。まさかあんなことになるとは思わなくてっ!』

『もう優司のバカ~~』


「ふー、今日はここまでかな? あ~、疲れたーーっ」


 僕は椅子をスライドしてPCから離れ、後ろにぐーっと伸びをする。

 今日は凄い一日だったなーっ。転校生が来たと思ったら昔の友達で、その子がまるで雅そっくりの美少女になっていたからな~。


「人生何があるのか分からないってことだなっ」


 しかしなんであそこまで梨江っちが雅にそっくりなのかがよく分からないけどなっ。


「けどやっぱり幼馴染ヒロインさいこーだな~っ。僕も雅みないな幼馴染ヒロインが欲し…………ん?」


 ふと少し気になることが出来たので、部活仲間の山上氏にチャットを送った。彼は既読と返信がかなり早く、送ったと思ったらすぐに既読がつき、1分でもう返ってきた。


『幼馴染の定義についてですか?』

『そうなんだよっ。幼馴染ってどこまでを言うのかなーと思ってさ』

『やっぱり物語においては小中高と共に同じ友達と思いますな~』

『ん~、だよなーっ。やっぱり中学校が違うと幼馴染とは言えないよねー』

『何か訳ありですな。小生に話してみてはどうです? 相談に乗りますぞ』

『実は……』


 僕は軽く梨江っちのことを山上氏に説明した。 


『なるほど。転校してきた相手が小学生の途中まで隣近所で、さらに雅氏そっくりの美少女になっていたと』

『そうそう』

『ラノベでもそんな設定聞いたことないですぞ。夏目氏、かなり特殊なラブコメ主人公のオーラをお持ちで』

『いや、まあそうなのかな?』

『童貞なのが唯一の玉に瑕ですな』

『いや、山上氏もだろっ!?』

『はっはっは。小生は主人公の二次元オタク友達になると思うので童貞でも構わんのです』

『で、どう思う?』

『それはやっぱり二人の問題かと思いますな。幼馴染でも関係は紆余曲折があるものですぞ。要は繋がりの問題ですな』


 確かにそうかもしれない。思春期で疎遠になったり、家が近所でも別々の学校に行くことなんてのはままあることだ。


『分かったよ、山上氏。少し考えてみるよ、ありがとう』

『夏目氏のお役にたてて良かったです。これで小生も妄想する内容が捗りますぞ』


「……ったく、山上氏はこの変な妄想癖があるのが玉に瑕だな」


 果たして梨江っちを幼馴染と思って良いのかと僕は休憩がてら色々と考えてみた。


「どうした龍? 目に隈が出来ているぞ」


 昨日は思案にくれてなかなか眠れず、寝不足のまま学校に登校する羽目になった。

 幼馴染って何だろう……?


「幼馴染? お前の好きなジャンルじゃないのか?」


 聞こえてた!? こいつ僕の脳波を感じとったのか!!?


「いや、声ダダ漏れだから」

「マジか……」

「まじで。…………それで幼馴染の何が分からないんだ?」

「幼馴染の定義って何だろうと思って」

「何? 哲学?」

「哲学じゃねえって。で、宮森は幼馴染って何だと思う?」

「こういう時はググれば良いだろ? OK~、Siri。『幼馴染』」

「全然ググってないじゃん……」

「『幼い頃からの親しい友達』だそうだ」

「え? じゃあ梨江っちとは本当に今でも幼馴染……?」


 その時、ガンと固い物が床に当たる音がする。振り向くと、梨江っちが固まってスマホを落としていた。


「おいおい大丈夫か。梨江っち?」

「…………え?」

「ん? どうした?」

「私達、もう幼馴染じゃ…………なかったの?」


 さっきの話を聞いていたのか、彼女はかなり無表情になり、目はよく分からない方向を見ている。この状況をどう解釈したら良いのだろうか。


「梨江っちー、大丈夫かー?」

「え? …………あ、うん、大丈夫…。けど龍君……もう私達は幼馴染じゃなくなった訳?」

「え?」

「中学校以外はずっと一緒に遊んでいたじゃない……」

「いやけどなんか幼馴染って小中高同じのイメージがあるからさ……っ」

「中学校違ったら、高校じゃあ幼馴染じゃなくなるものなの……?」


 うわっ、なんか泣きそうな顔になってるよ……。宮森なんか言ってく……、なに口を手で押さえながら肩揺らしてんだこいつっ!?


「いや、幼馴染っ、もちろんこっちに帰ってきたんだからまた幼馴染だよっ!」

「……本当?」

「あぁ、本当、本当っ。なっ、宮森?」

「そりゃそうだろ? よく小学校の頃3人で遊んだんだから」

「そうよねっ。良かった~。私だけ仲間外れになったかと思った。これでまた私達は幼馴染になったのねっ」


 そして彼女はあっと言って、何かを思い出したようにそのまま言葉を続ける。


「…また龍君、そんなこと言って私を困らせようとするのねっ。本当にひどいわっ」

「え? ……あぁ、ゴメンゴメン」

「もう龍君のバカ~~」


 そう言いながら、なんだか嬉しそうにグループのとこに向かって行った。なんだかどこかで聞いたことあるような台詞だけど何だったか思い出せない。

 という訳で僕達はまた幼馴染に戻ったのだが、僕はふと小学校の頃に3人で遊んだ懐かしく思い出す。そしてしばらくその記憶に浸っていると、机の引き出しにしまっておいたある写真のことを思い出した。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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