水島梨江
ツンデレキャラ発動?
2話です
今僕が書く小説に出てくる幼馴染キャラ『柳田雅』は所謂ツンデレキャラである。
主人公優司に対していつもどこかぷりぷり怒っているけど、時々優しかったりデレデレする一面のある女の子である。
そんな幼馴染キャラ『雅』に外見そっくりな美少女が僕のクラスに転校してきた。彼女はあまりにも僕が書くヒロインのイメージとそっくり過ぎて、リアルに『雅』がいるみたいな感じがしてならなかった。
そして彼女の自己紹介を終え、SHRの鐘が鳴り終わったら怒涛の質問ラッシュが始まる。
「どこから来たの~?」
「彼氏は!?」
「好きな食べ物はーっ?」
沢山の生徒に囲まれてそう質問が飛び交うものだから、少し彼女はおどおどしていた。
(なんだ……、性格は雅に似ていないな)
そう思って僕は少しひと安心していると、声も二枚目な宮森が彼女に問いかけていた。
「君、あの梨江ちゃんかい?」
「……え?」
「!?」
僕はどうして宮森が彼女のことを知っている風なのかと驚いた。ついそっちの方に目線を向け、聞き耳をたてる。
「も、もしかして……ミヤモー?」
「そうそうっ! 覚えててくれたんだっ」
二人はまるで懐かしさを分かち合うかのように喜びあっていた。
「懐かしいね。何年ぶりかな?」
「私が香川に引っ越してからだから、もう4年振りかな~」
ん? 香川……? どこかで聞いたことあるな。……水島梨江、水島梨江……水島梨江!?
「も、もしかして梨江っち!?」
僕は彼女を思い出した流れでつい叫んでしまった。小学五年の時に引っ越した僕の隣に住んでいた彼女と重なる。
そして彼女は僕の方に振り向いて笑いかけてくれた。
「龍君……久しぶりっ」
朝SHRの休憩時間が終わり、現在1時間目の授業中である。そんな僕は久しぶりの幼馴染(?)の再開したことにより、思考が更に混乱を極めていた。
(ど、どうして梨江っちの外見が『雅』そっくりなんだ!? 最近のファッションの流行なのか? それとも……偶然か?)
3限目の終わりになると囲みはある程度減り、彼女も大分落ち着いているように見える。
「なぁ、龍のところに行こうぜ?」
「え? ……う、うん、そうね」
宮森が彼女を誘って、僕のところまで連れてくる。
「や、やぁ梨江っち。久しぶりだね」
「……そ、そうね。あんたも元気にしてた?」
ん?
「あ、あぁ。元気元気っ。そっちは?」
「べ、別にあんたには関係ないでしょ?」
んんっ!?
「あれ? 梨江ちゃんそんな喋りだっけ?」
「え? ……あーー、これは~龍君の前だけはね?」
「……」
そして4限が始まるチャイムが鳴り、彼女も席に戻って行くが、何だろう。台詞回しがやたら雅そっくりなんだけど?
昼休みになり、それぞれのグループに固まってご飯を食べるのだが、梨江っちはもう友達が出来たのか、陽キャな女子に声をかけられてそのグループでご飯を食べていた。
僕が気になって彼女の方を見ていると宮森がニヤニヤしながら、
「どうした? 寂しいのか?」
「はっ!? ちげーしっ」
「なに動揺してんだよ? 冗談だよっw」
「……ったく」
それからしばらく経っただろうか、既に飯を終え僕と宮森がそれぞれスマホをいじっていると、龍君と声がかかる。見ると、梨江っちが笑ってこっちに来ていた。
「おう、どうした?」
「べ、別にあんたの為にこっちに来たんじゃないんだからねっ」
「だから何だよ……、その下手なツンデレは?」
「え? 私…………下手???」
僕が想定外な言葉を言ってしまったのか、彼女は意外そうな顔でショックがっていた。
「おいおい、大丈夫か?」
「え、えぇ……大丈夫……」
そしてふらついた彼女は僕の机に寄りかかりながらぶつっと独り言を言う。
「もしかしたらと思って、結構真似したんだけどな~……」
「ん? 真似? 一体誰の真似をしているんだ?」
「え!? いえ、何でもないわっ! またね龍君っ」
そう言って梨江っちはそそくさとグループの方へ戻って行った。隣にいる親友はなにやらニヤニヤしているし、一体何なんだ?
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