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捕獲


驚くべきことにセルジュは偽クラリスが犯罪行為や嫌がらせを行った日時や場所を全て記録して、統計的な傾向を完璧に調べていた。


授業に出ないで、そんなことしてたんだ・・・とある意味感動した。


さぞかし時間がかかったろうに・・・。


「大変だったでしょ。ありがとね。セルジュ」


と御礼を言うと


「いや。授業に出て既に知ってる話を聞くよりは大分ましだからね」


とあっさりしたものだ。


セルジュの統計によると、犯人は水曜日の放課後、西校舎で犯行に及ぶ可能性が80%以上だという。


私達は水曜日の放課後、バラバラに分かれて、西校舎周辺をうろつくことにした。


クラリスは西校舎近くの人気のない中庭で読書をしている。


犯人はクラリスのアリバイがないこの時間に犯行に及ぶに違いない、と私達は予想した。


私は油断なく周囲に目を光らせる。



その時「待て!」というパトリックの声がして、離れたところでジェレミーとフランソワが緑色の髪の女子を追いかけて行くのが見えた。


やっぱり現れた・・・と思っていると、突然背後から誰かに羽交い絞めにされて、口に刺激臭のある布を押し付けられる。


腕の感じは女の子なのに異常に力が強い。顔を上手く動かせないから良く分からないけど、マスクか何かを顔につけている・・・?


口に押し当てられた布には間違いなく揮発性の神経毒が塗布されている。


息を吸わないように気をつけながら、私はジルベールの読みが当たったことに純粋に感心していた。


ジルベールは作戦会議で、犯人の真の狙いは私だと断言した。


犯人がわざと偏った時間と場所で犯行を行ってきたのも、私達をおびき寄せるための計算だろうとジルベールは言った。


だから、クラリスの模倣犯を捕まえることに私達の意識が集中している時に、犯人は私を狙いに来るに違いない。


だから、本当の囮は私だったんだ。


必ず近くにジルベールが居てくれるはず。だから、私の役目は犯人にこのペイントボールを確実にぶつけて後で追跡出来るようにすることだ。


手の中に隠し持ったペイントボールに力を入れる。


神経毒を吸わないように息を止めて、ペイントボールを犯人の足元に思いっきりぶつけた。


犯人は驚いたのだろう。そのまま逃げだした。


・・ああ、それでも少し吸ってしまったかも、と意識が遠のいた時、ジルベールが私を支えてくれたのが分かった。


「スズ様、お見事でしたよ」


という優しい言葉を聞きながら、私はゆっくり意識を失った。



ほとんど神経毒を吸わなかったおかげで、私は30分ほどで目を醒ました。


フランソワが心配そうに私の顔を覗き込んでいる。


パッと起き上がると、フランソワの準備室だった。


「大丈夫か?」


と聞かれて、コクリと頷いた。


フランソワによると、パトリック達があの時間に周辺にいた女生徒たちを全員集めたらしい。


これからその中に犯人がいるかどうか調べるところだという。


「もし、スズが大丈夫そうだったら、一緒に来るか?」


と聞かれて


「勿論!今回は来ると思っていたから、布を押し付けられた瞬間に息を止められたの。だから、神経毒はほんのちょっとしか吸ってないと思うわ」


と言うと、フランソワは安心したように微笑んだ。


フランソワは西校舎にある教室の一室に入っていく。


私もその後に続いて教室に入ると「きゃー!」という女生徒たちの歓声が聞こえた。


「せんせ~、お~そ~い~。ずっと待ってたんだから~」


「フランソワ先生が私達に聞きたいことがあるって伺いました~」


「先生のためなら何でもします!」


と口々に言う女生徒たち。


10人くらいいるだろうか?その中には、ジゼルとアメリとベアトリスという知り合いの生徒たちも混じっている。


ジゼルは見るからに機嫌が悪そうだ。ベアトリスはぼーっとした様子で、アメリは戸惑った面持ちをしている。


フランソワは冷たく


「君たち、一列に並んで立って貰えるかな?」


と指示を出す。


「え~、何~?お話するんじゃないの~?」


とぶつぶつ言いながらも生徒たちは素直に一列に並んだ。


セルジュがライトを取り出し、生徒一人一人に特殊な光を当てていく。


「えー、何それ?ウケル」


と言った生徒からは何の反応も出なかった。


慎重にセルジュがライトを当てていくと、ベアトリスの手に強い光の反応が出た。


「あら、何かしら?」


と焦る様子もなくベアトリスが言う。


ジェレミーがさりげなく、ベアトリスを少し離れた椅子に座らせて、その脇に立つ。


ベアトリスは椅子にぼーっと座っている。


次にセルジュはジゼルに光を当てるが何も反応しない。


私は思わず


「セルジュ、足!足を見て!」


と叫んでしまった。


足にライトを当ててもジゼルからは何の反応もない。


その瞬間、ドア近くに立っていた女生徒がドアを開けて逃げ出そうとする。


しかし、そこにはジルベールが立っていて、逃げようとした女生徒の腕を掴んだ。


「逃げ出そうとするとは、これこそ『語るに落ちる』ということですかね」


と言うジルベールに捕まってもがいている女生徒は・・・


アメリだった!


セルジュがアメリの足元にライトを当てると、強い光が靴や足元から発生した。


・・・どうしてアメリが!?


全員が戸惑いを隠すことが出来なかった。


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