プロローグ
*『悪役令嬢は殺される運命だそうなので、それに従います。』の続編になります。
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魔法学院には誰も住んでいない修道院がある。
年代の割には丁寧に修繕された跡があり、大切に使われてきたことを想起させる。
修道院の中心に中庭があり、それに正対する形で小さなテラスが設置されている。
中庭は草が乱雑に生い茂り、人の背丈より高い草も茫々に生えている。
その草叢の中に蠢く影があった。
黒いフードを深く被った人影が中庭の草を掻き分けて何かを探している。
なかなか見つからないらしく、苛々した舌打ちが時折聞こえる。
「あ・・・違う。もう・・・本当にあるの?」
などと独り言を溢しながら探し続ける人影。
溜息をつきながら
「全然手伝ってくれないし・・・。どうして私一人で・・・全く・・・」
と愚痴をこぼす。
どれくらい時間が経っただろうか?
「あ!?」と言う声と共に、満足気な忍び笑いが漏れる。
その指には白く輝く鱗が握られていた。
「ふふふ・・・。これさえあれば・・・」
とニンマリ嗤う人影に気がつく者は誰もいなかった。




