真実
夕食の時間となりりょうがは階段を降り1階のリビングへ向かう。そこには母親と父親がいた。机の上にはご飯とお味噌汁、サラダや魚の塩焼きがおいてあった。りょうがは席に座りご飯を食べ始めた。母親が「おいしい?」と聞かれ「おいしいよ」と返事をした。父親はなにも話さずただご飯を食べているだけだった。りょうがはご飯を食べてる間も気になって仕方がなかったことがあった。もちろん祐奈のことだ。母親に聞こうとしたがなぜか口が開かなかった。りょうがは聞きたいはずなのに祐奈の名前を口に出せなかった。祐奈のことを考えるとなぜか涙がでてくる。それは親の前でも同じだった。頬を伝う涙はりょうがを暗闇のなかに引きずりこんだ。「なんで俺はあいつの事を考えると涙しかでないんだよ!あいつは俺のなんなんだ!」と叫んだ。さすがに母親も父親も急に叫びだし泣き始めたりょうがを見て心配になったのだろう。母親は「なにか思い出したの?辛いことがあったの?」と聞いた。しかしりょうがはなにも答えなかった。ただ1つだけ母親に聞いた。「今日帰ってきてアルバムを見たんだ。そこに祐奈っていう女の子がいた。祐奈を見ると涙しかでてこないんだ。祐奈のことを考えると怒りがでてくるんだ。祐奈って女の子を母さんは知ってるか?」母親は父親と顔を合わせ静かに話し始めた。「祐奈ちゃんか。何年ぶりにその名前を聞いただろう。祐奈ちゃんはりょうがの幼なじみでね。小さい頃からりょうがと凜音と祐奈ちゃん、そして優って男の子とよく遊んでたんだよ。祐奈ちゃんは体が弱くてね。病気とかになりやすくてよく保育園を休んでたよ。中学1年性の時に祐奈ちゃんはいつも通りりょうがと凜音ちゃんと優くんとで帰ってたんだよ。その時急に祐奈ちゃんは倒れたんだよ。近くに私がたまたま買い物しててりょうがを見て声をかけようとしたらりょうがが泣いて私の所へ来て救急車を呼んで!って言われるもんだから急いで呼んだよ。祐奈ちゃんは病院に運ばれてしばらく入院することになったよ。特に異常はみられなかったから貧血って診断された。でも退院してから家に戻ったら熱が下がらなくなってね。それが1週間以上続いてね。病院で検査したら白血病って診断されたんだね。白血病っていうのは白血球が機能しなくなること。だから病気にかかりやすいの。しかもこの病気は治療にもたくさんの時間が必要なの。祐奈ちゃんは頑張って白血病と闘ったよ。でも肺炎にかかって…」ここから先は聞けなかった。涙しか出なくて…