家の中
りょうがは外に出た。今まで見たことの無いような花や人を。りょうがは怖かった。病院では決して見ることのなかった外の世界。あちこちで車が走り自転車や歩行者が目の前を通り過ぎていく。何も覚えていないりょうがにとってそれは恐怖以外の感覚は思いつかなかった。退院手続きが終わり母親と一緒に家へ帰った。家に着いた瞬間にとてつもなく安堵した。家族のことも忘れてしまっていたが会う度に少しずつではあるが記憶が蘇ってきたからだ。だが思い出せたのはほんの少しだけだった。今まで過ごしたことなどは思い出せなかった。母親が今までにあった思い出などをこと細かく教えてくれたがまだ分からないことが沢山あった。自分の部屋へ入るととてもリラックスできた。机の上にはハンドボールが置いてあり壁には中学の頃に使っていたと思われる靴やユニフォームなどが飾られていた。学校の制服は綺麗にアイロンがけされハンガーにかかっている。自分の部屋なのに周りを見渡して机のしたの引き出しをあさっていた。自分の記憶を求めて。1段目には文具などが置いてあった。鉛筆や消しゴムにシャープペン、のりやハサミなど。2段目に手をかけた瞬間なにかがふと頭の中をよぎった。なにかは分からないがとても怖かった。この中になにがあるのかは分からないが。そっと引き出しを開けた。そこには1枚の紙が置いてあった。ただそれだけが。
おそるおそる紙を表にむけると…