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東京
4号線の信号が点滅していたのを覚えている。
僕は多分1時間に2本の電車も
街灯の灯りだけが頼りの帰り道も
そんなに嫌いではなかったし、
3分に1度の電車や、高く、高く光っているビル街に
憧れていた訳ではなかった。
小鳥さんを知ったのは東京に来て1年が経とうとする
大学2回生の春だったと思う。
小鳥さんが僕を知ったのもまた同じ春だった。
おそらく僕は彼女を認知するのが大学の中で遅かった。
真っ白に透き通った肌と
肩までの少し癖がかった黒い髪に
まばたきする度にそよ風でも吹きそうな
長く曲線を描く睫毛。
大学1回生の春彼女が噂になったのは
言うまでもないように思う。
僕が彼女を知るのはこの1年後で、
入ったのはいいものの入学式以来行っていなかったサークルに1年ぶりに足を運んだのがきっかけだった。
何故だか僕はその時、
1つ上だった彼女がひどく大人びて見えた。