新しい魔道具
遅れてすみません
私が目覚めて早三ヶ月程たった。
………早すぎるって?私もそう思う。だって、あの一件以来平和で、屋敷の皆と楽しく生活してただけだからね。
三ヶ月の間で少し……いや、かなりかな?変化があった。
一つ目は、シルがよく笑うようになったこと。屋敷の中で、同居人の三人以外の人が居なければって条件付きだけどね。笑ったシルは可愛い。誰がなんと言おうと、可愛いと私は思う!
っと、話が逸れてた……。二つ目は、ずっと弄っていた魔道具が完成したこと。まだ試射してないけど、あはは。
結局、消費魔力量が多い事は改善仕切れなかった。今の私なら百発、師匠なら五百くらいかな。シルは……十発打てれば良い方だと思う。
決してシルの魔力が少ないんじゃないんだよ!?むしろ多い方らしい。………じゃあ私はなんだって?察して下さい………。
この魔道具は、"魔弾"っていう魔力が質量を持つまで圧縮した魔力弾を飛ばす魔法を使ってる。
………問題はこの魔弾自体がとてつもなく消費魔力が多い事。師匠曰く、「子供の魔力鍛練用か魔力の遠隔操作の訓練にしか使えない魔法じゃなぁ。よくこれを選んだのう」とのこと。………早めに言って下さいよ、師匠。
そんなわけで、消費魔力量には目を瞑って色々アイデアを詰め込んだものが出来たんだけど、まだ試射できてない。もしもがあったら怖いしね。
というわけで………
「シル~、"コレ"の試し射ちしたいから、付き合ってくれないかな?」
「うん、良いけど……なにそれ?杖みたいだけど変な形してるね。先端部分穴空いてるし、棒のところ金属みたいだし」
この魔道具、名前を決めてないので今は"コレ"って呼んでるけどその内決めよう。絶対。
じゃなくて、コレは妙な形をしてる。………勝手になったんだけどね。仕組み的に仕方なく。
細い金属の筒に、下にいくほど幅を広くしながら湾曲する木製の持ち手。その根元には"引き金"と呼んでいる小さな金属部品が付いている。全体のサイズはそれなりに大きい。特に、金属筒が長くなってしまった。その金属筒には、びっしりと紋様を彫ってある。筒自体が魔力を反発するようにするためなんだけど、このせいで大型化してしまった。……要改良かな。
「私が、造った魔道具だよ。射撃武器なんだ。一番近いのは、大砲かな?ちょっと前に、ゴーアンさんが言ってた」
「そ、そうなんだ。危なくないの?お姉ちゃんが怪我とかしたら嫌だよ?」
「大丈夫!安全機構はあるから!」
直ぐに、私の心配をしてくれる妹が可愛くてツラいです。ひ弱なお姉ちゃんでごめんね!?
「そっか、じゃあ庭に――?」
コンコンっとノックが聴こえた。誰か来たのかな?
そういえば、ヴォルクさんがそろそろ物資が送られてくる時期だって言ってたっけ。
「ごめんね、お姉ちゃん。先に、行ってて?私も、直ぐ行くから」
「わかった。気を付けてね」
「うん!」
シルの笑顔が眩しい。嬉しいのは分かるけど‼️そのあとの全力ダッシュはどうなの……。まあ、いっか。庭にいこう。………やっぱり小型化必須かなぁ、重いぃ。
やっぱり広いなぁ、この庭。どれだけ広いんだろ?私、未だ端っこまで行ったことないもん。
さて、的を準備して、コレに魔力を込めて"衝撃の魔方陣"を待機状態にして……。って、誰か来る?シルじゃなさそうだけど。
数分くらいして、そのヒトは来た。って言ってもが真っ黒いフードで顔見えないし、本当にヒトなのか定かじゃないけどね。人間そっくりな魔物もいるらしいし。……う~ん、何も言ってこないしこれ以上近寄ってこなさそうだから試射やっちゃおう。
先ずは、筒の中で魔弾を作る。っていっても、筒に彫られた紋様で魔力を流すだけで勝手に出来るんだけど。
次に、魔弾に属性をつける。この魔弾の、最大の特徴は様々な"属性"を付加できる事だと私は思ってる。貫通・散開・爆裂・斬撃や、火・風・水・土・氷みたいに色々。組み合わせる事も出来るみたいで私自身も全部は試せてはいない。回復や毒みたいなので乗るみたいなんだけど、消費魔力が増えすぎちゃうんだよね。
今回は、属性は付けない。試射だし。
最後に、穴の空いた先端を的に向けて"衝撃の魔方陣"を起動する。
パシュッ、っと小さな音とほとんど感じないほどの小さな反動を生じさせ、魔力弾が飛んでいく。
それもかなりの速度で。弓矢の数十倍は速いように見えた。………あれ?コレ強くね?
あ、でも威力がそれほど出てない。破壊とまではいかなかったか……。魔力弾の減衰が予想以上だったみたい。威力を期待できるのは、百五十メートル以内かな。……十分すぎるね。
「それは、貴様が造ったものか?それともゴーアンの新作か?」
低い声。男の人っぽい。身長も、はっきりとはわからないけど、百九十センチはありそう。
でも、"貴様"はないでしょ!失礼なヒトだなぁ。
「………私が造った魔道具です。なにか?」
「………ん、いや初めて見るものだったのでな。聞いてみただけだ」
無愛想にそう答えてくる。本当に、失礼なヒトだな!
でも、「………なぜ、この世界にジュウがある」って小声で言ってる。"ジュウ"ってなに?"コレ"に似た武器でも知ってるのかな?
「あ、あの――」
「む、ああ気にするな。続けてくれ」
「あ、はい」
………あとで聞けば良いかな。
次は、属性を付与してみよう。まずは、"貫通"からかな。……この属性付与、自分でしないといけないのが面倒だなぁ。魔方陣で定型化できないかな。
パシュッ、っと同じように発動できた。
……うん、良い感じに貫通してる。貫通だと、射程が少し伸びるみたい。いいね。
次は、火と爆裂の組み合わせでやってみよう。どうなるかな?
パシュッ、ドーン。………的周辺、火の海じゃん。コレ危ないなぁ。くれーたー?みたいになってるし。
って、消化消化!えーっと、水と拡散の組み合わせ!
雨みたいになるのか………。少し時間かかっちゃうかな。
「『結界・真空化』」
なに?的のあったところに、結界が………。
………直ぐに、中の火が消えちゃった。なにしたんだろう。多分、あのヒトがしたんだよね。
「ははっ、面白いな」
………フード被った状態で笑っても、不気味なだけですよ。
………スマホが、書きにくくなってストレスが( ;∀;)
すみません、こちらは息抜きとはいえ投稿ペースが駄々下がりですね。うう、頑張ります。
投稿ペース下がりますが、ご了承ください。………不幸だぁ(;´∀`)