衝撃の事実
"笑"撃の方かもしれない。
目を開けるとそこは見知らぬ部屋だった。
広いし、色々良くわからないものが置いてある。師匠の地下室そっくりだ。あ、足元に魔方陣がある。これが転移の魔方陣?
バタッ!
「シ、シルフィー!?大丈夫!?どうしたの、突然倒れて」
「う~む、やっぱりシルフィーには堪えるようじゃのう……」
「ご、ごめんなさい。強い光はちょっと………。お姉ちゃん、ありがとう。もう大丈夫だよ」
「良かった~~。無理しないでね?」
「うん。心配かけてごめんね」
本当に良かった。シルが突然倒れたときは驚いたよ。強い光は駄目なんだね。覚えておこう!
「おーい、置いていってしまうぞ?早う付いてこんかい」
「あ、ごめんなさい師匠」
「……ごめんなさい」
そうだった。早くリヒターさんに会わないといけないんだっけ。……でも、シルが倒れたんだから少し位待ってくれてもいいじゃん。あ、ヴォルクさんに拳骨落とされてる。ヴォルクさん、ありがとうございます。
薄暗かった部屋を出ると、大きな廊下に出た。天井が高い。本当に、お城の中なのかも。
「ほれ、こっちじゃ。先ずは、リヒターに会わねばな。会議はその後じゃ。どうせ、未だ半分も集まっとりゃせんよ」
「……シルフィーさん、しんどい様でしたら俺が背負いますよ?」
「……ありがとうございます。大丈夫です」
おーい、シルフィーさんや。また無表情になってるよー。まあ、仕方ないかもしれないけど。私は、笑顔のシルが大好きなんだけどなぁ。
それとヴォルクさん、本当にありがとうございます。
暫く、多分二十分くらいかな?廊下を歩いた。時折、トカゲみたいな人や青い肌をした人とすれ違ったけど、一様にシルと私だけ無視されてる感じがする。感じ悪いなぁ。
中庭らしき所に着いた時に、そこで訓練らしき事をしていたトカゲみたいな大男に話しかけられた。大きいなぁ、首が痛いよ。
「む、これはこれはメイザース将軍ではないか。こちらにはどういった要件で?」
「リヒター様直々に呼ばれたのでな呼ばれたのでな。来てやったのじゃ。……それと、口は慎めよ小僧。お主は格下じゃろうが」
「……なぜ誇り高き竜人族である私がエルフ何ぞに口を慎まねばならんのだ」
あ~、大体掴めたわこの人の性格。自尊心が強いというか自分の種族が一番だって思い込んでる感じかな。
それより、シルに一言もないってどういうことかな?偉いって言ってたと思うけど?
「副将である貴方が上官を敬うのは当たり前でしょう!師匠だけでなく、シルフィー将軍にも挨拶をするのが当たり前ではないですか!」
そうだそうだ!もっと言ってやって下さいヴォルクさん!………ん?シルって将軍だったの?師匠と同じ!?
「………それこそ愚問だ。人間、それも"殺人人形"風情に敬うなどありえん。それよりなんだ、また人間を連れて来て。人間は大人しく餌か奴隷にでもなっておけばいいものを」
カッチーン。頭に来た!私だけなら未だしも、シルに対してそれはないわ。ぶっとばしてやる!
「………ラドフさん、一戦お願いできますか?」
「何故、せねばならんのだ。貴様風情――ッ!?」
「……もし勝てたら、将軍の席を譲ってもいいですよ」
「本気か?人間が竜人族である私に勝てるはずがあるまい。良いだろう、受けてやる」
一瞬のうちに抜刀したシルが、ラドフ?とか言う目の前の大男の首もとに刀身を当てていた。……あの、キレてますよね、シルフィーさん。殺気が冷たすぎて怖いですよ!?無表情どころか感情が一切見えなくなってるし!
そんなこんなで、中庭(?)で模擬戦をやることになった。ただ、本物の武器を使った何でもありらしい。ほぼ実戦と同じだ。
「お姉ちゃん、応援してね?勝ってくるから」
「頑張ってね、シル!でも、怪我は嫌だよ?」
「うん、頑張る!」
ただ手を握っただけだったけど、シルは凄い笑顔だった。……ヴォルクさん、鼻の下伸びてますよ?見ちゃったんですね?あれは、私だけのものだったのにぃ~!
少しして、模擬戦は始まった。
最初は、五メートル位離れていたのに、一瞬でシルが距離を詰めた。……うん、全く見えない。今では、強化魔法を全開にすれば辛うじて見えるけど、使ってない現状では全く見えてない。速すぎるよ、シルフィーぃぃ。
「凄い。いつも速いとは思っていたけど、今日は一段と疾い」
「ヴォルクさんには、見えてるんですね。凄いや」
「いや、完全には見えてない。多分、師匠でも見えてないんじゃないかな。それほどまでにシルフィーさんは凄い」
いやいや、強化魔法も人狼特有の獣化も使わず見えてるヴォルクさんも十分凄いと思う。
ヴォルクさんは、私が師匠に弟子入りしてから二人の時は、敬語を止めた。なんでも、妹弟子位には素で居たいらしい。私としてもこっちのヴォルクさんの方が好きだからいいけど。
拮抗は、三十秒位かな?
拮抗っていっても、一方的に大男が攻めてただけだけど。それでも明らかに手加減をしていたシルにそれだけしか持たなかった。あっという間に、鱗ごと切り裂かれ傷が増えていく大男。その後、全身切り傷だらけになった頃――といっても十秒後くらい――に「降参だ。もうやめてくれ」とだけ言って逃げていった。
一言くらい謝罪していかないのか!?
よし、次があったら私がぶっ飛ばそう。そうしよう!
……ヴォルクさんには気づかれたかな。嫌な顔されてしまった。暫くは自重しておこうかな……ははっ。
その後、悠々と戻ってきたシルフィーの頭を撫で――お願いされた。断れないよ――手を繋ぎながら歩くこと十分。ようやく目的地に着いたらしい。
巨大な扉が目の前にある。
「入るぞ?カレンや、決して妙なことを喋るでないぞ」
小さく頷く事しか出来なかったけど、伝わったらしい。良かったけど、緊張してきた。
「オーウェン・メイザース及びシルフィー・ベネトナーシュ、只今到着致しました!」
「うむ、入るがよい」
凄い威圧感のある声が聞こえてきた。まだ扉開いてないし、魔法かなにかを使ったのかな。
それより、私達って家名あったんだね。シルと一緒に家を追い出されて以来家名なんて無かったはずだけど。……あれ?なんで追い出されたんだったけ。
まあ、いいや。とりあえずリヒターさんと会うんだったよね。あの人、偉い人だったんだ。王様みたい。魔族の王様だし魔王様とか?ないよね、はははっ。
扉が開いた。どうやってるんだろ、魔法?
部屋の真ん中まで行き、そこで跪く。あとは、ヴォルクさんに合わせてればいいってシルは言ってたよね。
「良く来てくれた。顔を上げよ」
「「「はっ!」」」
ヴォルクさんが顔を上げるように小声で言ってくれた。こういうときに本当に頼りになる人だ。
顔を上げた先では、強そうな竜人族、獣人族といった魔族と呼ばれる人たちが居て、その真ん中の玉座に見知った顔をした人がいた。………えっ、嘘だよね?
「貴殿がシルフィー将軍の姉君か。うむ、良く見ると似ているな。私は、魔王のジークフリーデ・リヒターだ。妹君であるシルフィー将軍は、大変尽力してくれている。貴殿にも、期待しているぞ」
「は、はいっ!」
「うむ、もうよい。下がれ」
「はっ、失礼します」
そのままその場を後にした。
この後ある会議にも参加しなければいけないらしく暫くはこの城――魔王城っていうらしい――に居なければならないらしいが………。
それよりも、なんであの人が魔王やってんの!?リヒターさん!
えっ、知らなかったの私だけ?………先に言っててよ、うわぁぁーーん!
三日連続投稿でした。
ここから物語は加速を始める……といいなぁ( ̄▽ ̄;)
予定より話が進まず、話数が増えてしまってますが、まあ気にせず行かせてもらいます。




