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私の頑張りの成果

あの変な人――自称保護者のリヒターさん――に会ってから、半年ほど経った。また随分と時間が経ってるって?………私もそう思う。

あれ以来、度々リヒターさんは屋敷を訪れるようになった。といっても、そう頻繁に来てる訳じゃないよ。なかなか忙しい人みたいだしね。


私は、あの一件から自作の魔導具を改良してみた。

第一に、消費魔力が激減した。術式を弄ってみたら随分と魔力を圧縮しやすくなったから。勿論、師匠とリヒターさんに笑われ、ヴォルクさんとゴーアンさんには驚かれた。………シルはどこか自慢気だったけど。


次に、リヒターさんの要望で私たち以外にも使えるよう改良品も造ってみた。"蓄魔鋼"という魔力を溜め込む特性を持った鉱石を組み込んでみた。少し手順が複雑化したものの、これで全く魔力を持たない人でも扱えるようになった。………魔力の充填はいるけどね。

これを見たリヒターさんが「"デンチ"みたいだな」って言ってたけど、なんのことだろう。デンチ?


最後に、リヒターさんに向かって射った実弾式の大型魔導具は、あまり改造出来なかった。と言うか、する必要がなかった。精々、"スコープ"という覗くと景色が拡大して見える不思議な道具を取り付けたくらい。

代わりに、弾丸の形状をリヒターさんとゴーアンさんに手伝ってもらって少し変えた。先っぽに行くほど細くなる円柱状にした。威力が増すんだって。前までは、大きな針みたいな形だったからね。それと形を変えると同時に、前まで使っていた衝撃魔方陣方式を爆燃石という鉱石の粉末による着火式に変えた。この鉱石は、込めた魔力に応じて爆発する特徴を持っている。元々、頑丈な上に強化魔法によってさらに頑丈になるから、相性が良かったよ。これも、リヒターさんのアイデアだ。………リヒターさんって何者?


後は、この二つの魔導具と実弾式の大型魔導具の名前が決まった。リヒターさんと屋敷の皆で考えてもらったよ。……その時にリヒターさんが"銃"って道具の事を話してくれたので、弾丸の改造も出来たんだよね。………本当に、リヒターさんって何者?いつも聞いたらはぐらかされるんだよね。

………うん、話を戻そう。結果は、なぜかリヒターさんの意見のものになった。

最初に造った方は、〈魔導銃アルミス〉。

大型魔導具の方は、〈実弾電磁加速式魔導狙撃銃ヘカテス〉

何やら、空想上の神様の名前からとったらしいけど、リヒターさん以外は首をかしげていた。師匠ですら知らないようだった。……どこの神様なんだろう。


この半年であったのはこのくらい。


最近は、シルも師匠も忙しそうで屋敷を空けていることが多い。仕事の関係らしいんだけど、シルは私に未だ詳しく話してくれないんだよね。私自身驚くくらい、心配はしていないけど。師匠が付いてるっぽいからね。


そして、今何故か目の前にリヒターさんと疲れきった様子のファーフルさん、微妙に嫌な雰囲気を纏ったシルとそれに当てられて萎縮しているヴォルクさんがいる。師匠はお出掛け中だ。なにやら、珍しい素材を見つけたとかなんとか。

私が特訓中に呼ばれてきてみたら、リヒターさんに「大事な話がある。座れ」ってだけ言われて数分経ったのが今の状況。………正直、重い。空気が………


「あ、え~っと、私になにか?」

「姉殿に頼みがある。……それとシルフィー、その殺気を押さえろ。ヴォルクが怯えているだろう」

「……正直私は、賛成してません。お姉ちゃんを巻き込みたくないです」


リヒターさんは私を"姉殿"って呼ぶ。シルのお陰だろうけど。

それより、シルフィーさん?私もちょっと恐いよ?私のためって言ってたから言いづらいけど。感情を圧し殺したような声を出すシルフィーは無表情も相まって迫力が凄い。


「何も戦場に出てくれ等とは頼めん。出て欲しくはあるがな」

「……リヒター様、それではフォローになっておりませんし、私はしませんよ。私自身も反対派ですから」


………………………はっ!思考停止してた。

えっ、なに。戦場?私になにさせる気なのこの人!?


「………あの、私に何を――。」

「簡単なことだ。我が軍に姉殿の造った魔導銃を採用したい。その説得のために会議に出てはもらえんか?」

「お姉ちゃん!断ってもいいんだよ!」

「そうですよ。カレン殿が断ろうと魔お――リヒター様が苦労なさるだけですから」

「おい、ファーフル。貴様、何を言っているかわかっているのか?」

「はて、私はカレン殿を思っての発言でございます。咎められるようなことはなにも」


我が軍?会議?説得?

ワタシチョットナニイッテルカワカラナイナァ、ハハハッ。


「私が行けば、シルの……妹の手助けになりますか?」


これが私にとって最重要。シルに関係ないことでシルに負担を掛けたくないからね。


「……ああ、勿論だとも。大いに助かる」

「……お姉ちゃん、ごめんね」

「ううん、いいんだよ。私が、シルの手助けをしたいだけなんだから」

「ありがとう、お姉ちゃん………」


そう、私はシルの手助けをしたい。そのために、八ヶ月も頑張ってきたんだから!

でも泣かないで!?なんで泣くのシルフィー!?


「……では明朝、城まで来てくれ。オーウェンに言えば一瞬だろう」


城?城ってなに?あ、帰らないで!説明してぇぇぇーーー!?

私の思考が追い付かない中に、そしてシルが泣き止まない中に、リヒターさん達はその場から立ち去ってしまった。


翌朝、太陽が顔を見せ始めた頃に、私達は中庭へ集まっていた。お城?に向かうのはゴーアンさんを除く四人だ。ゴーアンさんだけは、お留守番をしてくれるらしい。


「お前ら、気を付けるんだぞ。ちゃんと帰ってこいよ!」

「はい!ゴーアンさん、行ってきます!」

「では、跳ぶぞ?気をしっかり持っておれ」


私は笑顔のゴーアンさんに手を振る。

その直後、奇妙な浮遊感に襲われたと思ったら世界が白い光に満たされた。


暫く、こっちを中心にあげることになりそうです。プロットが最後までできてしまったのです(;・∀・)

………息抜きとはなんだったのか( ̄▽ ̄;)

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