第三話 ステータス
書き上がった時刻:18:55
ギリギリだった……@ゲーセン
『死んだ異世界人』晴海和人 Lv1
HP:200/200(+0)
MP:297/300(+0)
EP:99/100(+0)
物攻:100(+5)
物耐:75(+4)
魔攻:200(+10)
魔耐:150(+8)
【称号】死んだ異世界人
【名前】晴海和人
【種族】人
【所属】なし
【職業】なし
【取得済スキル】
・攻防スキル
[攻撃力強化Lv1][物攻強化Lv1][魔攻強化Lv1][防御力強化Lv1][耐久力強化Lv1][物耐強化Lv1][魔耐強化Lv1][与ダメージ増加Lv1][被ダメージ減少Lv1][HP減少量低下Lv1][MP使用量低下Lv1][EP減少抑制Lv1][詠唱短縮Lv1][無詠唱Lv1][魔法効果増加Lv1][強化スキル増幅Lv1][低下スキル減衰Lv1][取得経験値増加Lv1][必要経験値減少Lv1] [全武器攻撃力強化Lv1][全武器攻撃耐性Lv1][全属性魔法強化Lv1][全属性魔法耐性Lv1]
・技術スキル
[戦術Lv1][マップLv1][剣術Lv1][魔法Lv1][魔術Lv1][受身Lv1][刀術Lv1][拳闘術Lv1][槍術Lv1][斧術Lv1][指導Lv1][狩猟Lv1][水泳Lv1][解体Lv1][鑑定Lv1][料理Lv1][隠密Lv1][詐称Lv1]
・その他スキル
[日本語Lv57][英語Lv16][イルクス語Lv50][言語理解Lv30][言語読解Lv10][ヘルプLv--][魔道書Lv--]
【取得済称号】
『死んだ異世界人』『理性ある死者』
う、うわ…………………なんだコレ…………………文字が多すぎて読める気がしねぇ。ていうか、あるやつぶっ込んだ感がひしひしと……乱雑なんだなアルタナ様。
ステータスを表示させた瞬間、視界が真っ黒に染まった様に見える程大量の文字が現れ、俺は意識を手放しそうになった。
両脇までは無いものの、視界中央を完全に真っ黒に染め上げた文字の数々。なんとなく何を書いてあるのかわかるが、どちらにせよ意味がわからない。
少しずつだが読み解していく。
疑問に思うこと(殆ど全て)を頭の中に響く声から回答を得て、それを適当にまとめると、
HP→ハートポイント。ベタかつ一番重要なアレ。無くなると死ぬ。ただし俺は既に死んでいるのでよくわからない。
MP→マジックポイント。同じくベタで重要。魔法を使うと消費する。
物攻→物理攻撃力。そのままの意味。
物耐→物理耐性力。同じくそのまま。
魔攻→魔術攻撃力。そのまま。
魔耐→魔術耐性力。そのまま。
攻撃力強化→そのまま以下略
防御力強化→そのままry
・
・
・
・
・
etc……………
と戦闘シュミレーション系でよく見るような物が殆ど全部。ゲームしてようがしてなかろうがわかるようなものが大体だった。
[料理]やら[狩猟]やらがあることから自活は出来るようスキルは用意されているみたいだが、なんだよ[隠密][詐称]って。忍者にでもさせるつもりか。
他の人のステータスを見ていないのでHPとかの数値が多いのか少ないのか全くわからないが、3ケタじゃ少なそうだ。多分レベルが上がると増えるはずなので生き残る、じゃなかった、存在を維持する為になんとかしてレベルを上げないと。
で、問題はそういうすぐわかるもの以外。つまりは『特殊スキル』やらなんやら言われそうなやつだ。
[詠唱短縮]があるから魔法には詠唱が必要だという事がわかるが、本来詠唱を短縮しまくった果てに行き着くはずである[無詠唱]もなぜ一緒に入っているのか。
コイツだけレベル数値がないがそのままの意味で間違いなく、既に大活躍している[ヘルプ]の説明によると、
《[無詠唱]のスキルにも詠唱短縮の効果があるため、現在のスキルレベルで無詠唱で行使出来る魔法は無詠唱で、詠唱が必要になる魔法は[無詠唱]で詠唱短縮し、さらに[詠唱短縮]の効果でさらに詠唱を短縮します。また、この重ね掛けによって無詠唱化する場合もあります。》
とのことだ。
つまりこの殆ど同じ効果を持つ二つのスキルは効果が重複しても片方の影響を打ち消すことなく合わせて発動するので、どちらか片方だけよりさらに詠唱を短くして魔法を使う事が出来るという事だ。地味に便利そうだな。
[鑑定]と[ヘルプ]も混ざっている気がしたが、実は割と違っていて、ヘルプは確かにほぼ何でも回答するが、対象のステータスを表示出来ない。しかし鑑定ならばステータスも見ることが出来るという、上手く使い分ければ情報戦でかなり強くなれる。相手の位置もマップを使いこなせるようになれば丸わかりになりそうだし。
というのも、現在はグレー、つまり使用不可状態だがマップ機能に〈対象位置検索〉があり、どうやら対象の現在位置を検索して把握した上でマーキング出来るらしい。
この対象には店舗等建物の立地だけでなく物体、わかりやすくいえばとある石ころの現在地や逃げた動物がどこへ行ったのかもわかるらしい。そして動物を追跡出来る、つまり生命体の追跡が出来るため当然人の位置情報もわかってしまうようになるということだ。
Coopleマップでもこんな芸当は不可能だった。異世界故のチートスペックマップだ。
そしていずれ起こるであろうこの世界の人々との邂逅の際に意思疎通する為に必要なもの。言語能力だ。
まず元の世界でのスペックが数値化した。
日本で生活していた以上日本語は当たり前として、学校では必修科目な上、グローバル化が進んで社会人になっても重要になっていたであろう英語だ。
Lvが不揃いでこの数値はなんだと思ったが、いつかの成績表に載っていた国語の偏差値が今くらいだったかなということで納得しておいた。高校のテストでは70〜80点台はキープしていたし。
そう考えると英語が偏差値16だった扱いになるが、そもそも母国語じゃないから実用面で見ると違ってくるから日本でのそこら辺は意味が無い、ということだろう。ちなみに成績はテスト点平均50点以下でしたよ……なんだ悪いか!?(虚空に向かって心の中で叫んだ。時折なじられたが同士はいっぱいいたぞ)
そしてこの異世界イルクスに来たので植え込まれた新しい言語、イルクス語だ。
レベルを偏差値と仮定して50なら普通の会話は出来るだろう。記憶を探るとそれらしきものがあった。日本語の意味との互換性が脳内で構築されているのできっと大丈夫だ。多分、きっと。
そんなやつ以外の説明見てたらとんでもない危険要素を孕んでいるやつがあった。
それが【EP】だ。
《EP:エネルギーポイント。活動を維持するために必要な生命力。自我を維持するアンデッドに存在するパラメータ。ゼロになると自我を失い、回復させるために周囲の生命力を奪って強制回復する。通常は任意量の生命力を吸い取るが、強制回復する場合は対象の生命力を最後まで奪い尽くす。》
なんだこれは。確かにゾンビになり、自我を保つためにはそれ相応のものが必要にはなるだろうが、自我を失い、あのホラー映画に出てくるようなゾンビになって殺伐し、その後元に戻るなんて怖すぎるし真っ平御免である。
などと色々と問題のあるステータスを、俺は未だに草原のド真ん中に立ちっぱなしで考察するのであった。
…………………だからシュールだぞ俺、そうのちの俺は思ったとかどうとか。
次回「主人公、ようやく移動する。(多分)」