第二話 異世界とマップ
週一安定しそう。やったね!
女神アルタナ様によって異世界イルクスへチート付きのゾンビとして転移した俺こと晴海和人。
女神との空間からイルクスへ転移する際、視界が真っ白に染まったかと思うと暗転したもんだから今度こそ元に戻らなくなるかと怯えながら意識を失った。
もっとも、そんな恐怖もこうして回想出来ていることから杞憂だったとわかるが。
何はともあれ、俺は異世界イルクスで目覚めた。
「……………ここが異世界、か。」
目を覚まして辺りを見回すと、かなりかなり広い範囲に広がる草原だった。
一面に広がる青々とした野原。遠目に森が見えたり、小高い丘があったりと、何かしらのシーンで『生きてるって、素晴らしい!』と叫びながら歌を歌っていたりしてそうな場所である。俺は既に死んでいるが。
とりあえずこういう場所でのお約束として息をスーハーしてみる。
「……………普通に息を吸って吐いてしてるだけだな」
さも当たり前の事なのだが、その当たり前がゾンビに通じるのかどうかという問題である。
どうやら問題は無さそうである。
この世界でどうかわからないが、今の俺は日本では普通のし○むらとかで売っている感じのいかにも一般高校生っぽいジーンズにTシャツ、上からジャケットである。普通を自称しているだけあって普通だ。日本なら完全にモブである。
肌も自分の手足を見る限り若干青白いが、十分誤魔化せる程度であると思う。鏡が欲しい。
「さて、ここがどこで何がどうなってるのかわかればいいんだが……」
当然の疑問を考え口にした直後にそれを見つけた。
《現在地周辺のマップを表示します》
突然そんな声が頭の中に響いたかと思うと視界が変わって…………地図、みたいな物に埋め尽くされた。ちなみに半透明でさっきまで見ていた景色もわかる。判別しづらいが。
ええと、視界中央の青い点が自分の居場所で、周辺は黄緑色に染まっていて草原を示していることがわかる。中央から全体にかけて全て草原で、下側、多分南なんだろうが、そちらにはチラチラと深緑色の地域が。恐らく森だ。
右側だから東か、には水色の線が。川だろうか。左側__西かな?は視界の端まで草原、北側であろう上方向も同じだ。
………見え方が完全にCoopleマップと同じなんだが。先程の方角決めの根拠もこれだ。
もしCoopleマップと同じなら、他にも色々な機能がついているのだが、そこら辺がどうなっているのやら。
《マップ機能の一覧を表示します》
うおっ、また頭の中に響いてきてビビった。
どうやら質問系の考えをすると反応する様だ。扱い方がわかってきたぞ。
肝心のマップ機能なのだが、まんま表示しているのが異世界なだけのCoopleマップだった。縮尺、位置検索、行路案内など、機能が一通り揃っていた。
ただし、何故か位置検索以外の機能の文字が薄い。試しに行路案内を意識してみると、脳内にこんな言葉が流れてきた。
《Lvが足りません。行路案内はマップLv20から使用可能です。現在のLv:1》
え?レベルって何?
《レベル:そのスキルの成長に伴って上がる。レベルが上がるとスキルの能力が強化される。》
んんんんん!!?今度はスキル??
《スキル:内容通りにステータスや行動を強化する。スキルを使用することでスキルLvが上昇し、より強力なスキルを使用出来るようになる。》
なるほど、ゲーム要素があるのか。
てことは………ステータスとは?
《ステータス:その存在の有する実力。基本的に数値によって表される。
ステータスを表示しますか? はい いいえ》
やっぱりね。
という事で、はいと念じる。
途端に、視界が真っ黒に染まった。
ちなみにこれら一連は先程からずっと草原に立ちっぱなしで行われている為、誰も見ていないが後で思い返せばなかなかシュールだった気がする。
書けていればまた来週金曜19時に更新します!